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キウイの皮、そしてサボり方

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:村人F (ライティング実践教室)
 

キウイを避けていた。
嫌いだからではない。
むしろ好きだ。
カットフルーツ盛り合わせで入っていたらテンションが上がり、食べるのも最後の方である。
好きな果物ランキングでもトップのいちじくに次いで2位の座に輝いている。
 

しかし、スーパーでキウイを買って食べることはなかった。
皮を剥くのが面倒だったからである。
私はとにかく料理しない人間なんで包丁でそんな器用な真似はできない。
だから避けていたのだ。
 

「いや、半分に切ってスプーンでほじればいいじゃん」
こういう無慈悲な正論が聞こえてくる。
確かに一般的にはそれで済むから手軽なフルーツなのだろう。
 

ただ、私にとっては包丁を出す時点でやる気が無くなってしまうのだ。
なんならスプーンを使うのも嫌だ。
つまりキウイ程度の手順ですらズボラ人間には高いハードルになっている。
そのため丸々1個買って食べるということはなかった。
 

だが、毎日のようにCMで「手軽でおいしい!」やら「気軽にたくさんの栄養が取れるよ!」やら聞かされ続けたせいだろうか。
突然、天啓が舞い降りた。
 

「皮ごと食べられるんじゃない?」と。
 

考えてみたら「キウイの皮は食べられない」と聞いたことはなかった。
あくまで剥かれた状態でしか見たことがなかっただけである。
だからパイナップルのように絶対に無理というわけではないはずだ。
 

そう思い調べてみると、やはり正解だった。
皮を剥くのは表面の毛の食感がイマイチだからであり、そこさえ我慢すれば一緒にいただいてよかったのである。
むしろ皮も栄養たっぷりだからより健康的になるという。
 

こうなると一気に道が開ける。
障害だった包丁とスプーンの2大巨悪を封印できたのだから。
もう遮るものはない。
 

私は意気揚々とスーパーへ駆けこんだ。
選んだのは毛のフサフサが少なめのキウイである。
前知識でそこが嫌がられていると知っていたからこそできる芸当だ。
 

そして帰宅し、早速かぶりつく。
 

しあわせ。
 

有機栽培とか高めの物を選んだこともあったが、メッチャ甘かった。
酸味のバランスもいいし、なにより口の中の全てキウイという状態が最高である。
懸念だった皮の食感も問題ない。
しかも栄養満点。
完璧なフルーツだ。
 

こうしてすっかり虜になった私はしばらく、毎朝キウイ生活を続けている。
早起きのご褒美にちょうどいいプチ贅沢習慣ができあがった。
 

しかし、ふと思った。
キウイの皮以外にもあるのではないかと。
世間から見れば大した手間ではないのに、それが嫌で避けていたことが。
 

半分に切ってスプーンでほじるのもあるが、料理にはそういう手順が多くあるように思う。
特に食材切り。
キャベツをみじん切りやら、ニンジンを短冊切りやら。
そういう下準備の存在が私を料理から遠ざけていた。
 

いつもやっている人からみたら簡単なことだろう。
とはいえ不器用かつ普段調理しない私にとっては超えられないハードルなのだ。
 

たが、こういう思いを抱えている人は他にもたくさんいるのである。
そして、そのうちの誰かが効果的なサボり方を開発しているのだ。
 

キウイの皮を剥くのが面倒なら、一緒に食べてしまえばいい。
野菜を切るのが嫌ならカット野菜を買えばいい。
この具合に、嫌がっていた準備をする必要がない状況も既に整備されているのだ。
 

もちろん「ほぼもやしだからコスパが悪い」というのもわかっている。
しかし、それを遥かに上回るメリットを感じているのだ。
だからそれによって料理するようになれば別に問題ないだろう。
 

実際、私も包丁さえ使わなければ他はさほど苦痛ではないので、今では週3で焼きそばを作っている。
自炊0から比べたら大進歩だ。
 

これも、キウイの皮やその他の食材を切る工程を飛ばしていいと気付いたからだ。
このようなサボりであれば、大歓迎といえよう。
 

きっと料理以外にもそういったサボれるハードルはたくさんあるのだろう。
ジムに行かない理由を考えてみたら「着替えるのが面倒だった」とか。
ならば普段着のままでも行ける場所に通えばいい。
この具合に現代はズボラに対しても細やかな配慮がされている。
これらをフル活用していい習慣ができるのなら、どんどん使い倒すべきだ。
 

今日の3時のおやつはキウイにしようか。
スナック菓子やらチョコレートに比べたら、遥かに健康的である。
そういう選択肢を気軽に取れるのは、キウイが皮ごと食べられる手軽なフルーツだからだ。
このサボりで見えた新たな世界で、いろいろやっていこう。

 
 
 
 

***

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2024-09-20 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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