外国人観光客はマナーが悪い。そう思っていた自分を恥じた出来事
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記事:Shota(ライティング・ゼミ9月コース)
「外国人観光客はマナーが悪い」
最近、友人がそうぼやいていた。
地下鉄に乗った際、キャリーケースを引いた数人の外国人観光客が車両を独占していたことに腹がたったみたいだ。
ちょうど同時期、SNSでどこの誰かも分からない人が拡散していた、「外国人観光客のマナーの悪さ」を批判する記事を読んで、私もそう思っていた。いや、思い込んでいた。
そんな私の考えを変えてくれた、あの日の出来事には感謝してもしきれない。
「間に合った!」
私は内心でそう叫びながら、出発寸前の地下鉄に駆け込んだ。
横一列に向い合せで並ぶ座席シートはすでに先客で埋まっている。仕方なく、私は扉に背中を預ける形で文庫本を読んでいた。
数分後、目的の駅の数駅手前で、赤ちゃんを抱えた女性(以下、A氏と呼ぶ)が乗車してきた。
A氏は社内を一通り見渡した。おそらく座れる場所を探したのだろうが、席は空いていないため、A氏は立つしかなった。
「誰か席を譲るかな」
私は内心そう思った。周囲は優先席ではないため席を譲る義務はないが、子供を抱えた母親に席を譲るのはマナーだと思っていたからだ。
しかし、席を譲る者は一人としていなかった。
私はその光景に驚いた。いや、幻滅した。という表現が正しいかもしれない。
シートに座る者が誰一人として席を譲らないだけではなく、先ほどまでスマフォゲームに熱中していた男性は目をつむり、多くの者はスマフォに視線を移し、見て見ぬふりをしていた。
「マジかよ……」
そう思った矢先、大きなキャリーケースを手にしている、一組の男女が席を立った。見た目から、どちらも外国人観光客だろうと思う。
「ヘイ!」
席を立った男性が、A氏の肩を叩きそう言うと、右手の親指で自分たちが先ほどまで座っていた席を指さした。
「席を譲ってくれた」
声をかけられた母親はそう思っただろう。「ありがとうございます」と小声で言うと、少し申し訳なさそうに空いた席に座った。
「かっこいい!」
私はそう思った。
席を譲った男女はおそらく恋人同士だと思うが、自分が女性なら今の光景を見て惚れていたかもしれない。
それくらいスマートで何の違和感もなかった。
席を譲らなかった人たちへの怒りも自然と消えていた。もちろん、「席を譲ろうかな。どうしよう」と迷っていた人も中にはいたかもしれないが、思考から行動までの速さでは確実に負けた。
「♪♪♪」
地下鉄内に、次に目的地を告げるアナウンスが響くと同時にA氏は席を立った。
A氏の目の前に扉があったため、そこから出ると思っていたが、少し遠回りをして席を譲ってくれた外国人観光客の元へやってきた。
「ありがとうございました」
A氏はそう言い降車していった。日本語が通じたか不明だが、おそらく大丈夫だろう。
席を譲った男性はA氏が抱えた赤ちゃんに笑顔で手を振っていた。
赤ちゃんも笑顔で手を振り返したら最高だったのが、赤ちゃんはとても可愛い寝顔で気づいてもいない。
いずれA氏が今日の出来事を赤ちゃんに伝える日が来たら良いな。そんなことを考えていると、私の目的地の駅に到着した。
「とても素晴らしい行動ですね」
私は席を譲った外国人観光客にそう伝え、地元でオススメのお店を紹介したい衝動に駆られたが、あいにく、どこの国の方なのか分からない。例え分かっても私に日本語以外を話すスキルはない。
少し残念に思いながら、笑顔で会話をしながら降車する外国人観光客を、私は無言で見送った。
この日の出来事を振り帰って思う。
「外国人観光客はマナーが悪い」
そう言っていた友人は正しいのだろうか?
そう拡散されているSNSの記事は正しいのだろうか? と。
もちろん嘘ではないだろう。不運にその場に居合わせた可能性もある。だが、たった一回の出来事とSNSの記事が錯乱し、固定観念が生まれたのかしれない。
A氏が乗車してきたとき、席を譲らなった多くは当然ながら日本人だ。そんな中で席を譲ったのは外国人観光客だ。
「そんなの偶然だ!」
そう言われれば確かにそうかもしれない。が、他人の意見やSNSの記事を鵜呑みにして、自分が経験していない出来事を信じすぎるもの問題だと思った。
実際に私が遭遇した外国人観光客は、友人やSNSが騒ぐ外国人観光客とは、似て非なるだと思う。
今回の出来事のおかげで、「外国人観光客はマナーが悪い」という思い込みを、私は捨てることができた。
それに、席を譲るか迷う時間で行動を起こす。ということまで学ぶことができた。
とても素晴らしく、最高の一日となった!
***
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