一夫多妻制は育児の効率がいい、かもしれない
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記事:曽布川 洋平(ライティング・ゼミ9月コース)
タイトルからすでに拒否感を示す方がいるのは承知しています。はじめに断っておきますが、一夫多妻制を肯定する文章ではありません。色々な「家族の形」を想像するなかで、育児の効率について考える、という真面目な文章だとご理解ください。
一夫多妻制とは、文字通り一人の男性が複数の女性と結婚し、生活する制度のことです。現代の日本では複数の女性と結婚することは違法ですが、イスラム社会では未だ残っているようです。なぜ一夫多妻制に対して拒否感があるかと言えば、男性優位の旧い考え方を連想させるからではないかと思います。
そこで、今は男女に差がないことを表すため「一妻多夫制も同様に考える」としたいと思います。男女が逆転しても構わないです。以下では、一夫多妻で書いていきますが、気になる方は男女を全て逆にして読んでください。
それでは本題です。
パパが仕事に行くと、ママが一人で育児をする時間が生まれます。ワンオペというやつです。ママ1人に対して、子ども、特に0から3歳くらいの乳幼児が2人以上だと、秩序を保つことが難しくなります。子どもたちはママが定めた防衛ラインを突破して好き勝手に振る舞い、ママを発狂させます。
ちなみに、保育園では0歳児の場合、3人ごとに保育士を1人、1-2歳児では6人ごとに1人配置する必要があり、さらに子どもが少なくても最低2人の保育士が必要とされています。これは育児のプロが、効率よく子どもをみる設備が整った環境での配置です。注目すべきことは、プロでもワンオペを避けるということです。
やはり、一人の大人が、ワンオペの時間が長くなることは大変です。ワンオペ時間が増える理由は、「核家族化」が進んだ影響と言えます。
核家族化、と言うとイメージが湧かないので「サザエさん」で考えてみますと、
「『サザエ、マスオ、タラちゃん』と『波平、フネ、カツオ、ワカメ』は別々に暮らす」
ということです。こうなると、カツオとワカメがタラちゃんと遊んだり、サザエが出かける間にフネがタラちゃんをお昼寝させる、みたいなことは不可能になります。当然ですが、人手が多い方がサザエさんの負担は小さくなります。
ところで私は、我が子や他の子どもの育児を観察して、人手が増えなくても効率が上がる方法に気づきました。それは、
「1人の大人が2人の子どもをみるより、2人の大人が4人の子どもをみるほうが楽になる」
ということです。何人かのパパ、ママに話しても賛同を得られたので実態に近いかと思います。
冒頭に触れた一夫多妻制とは、1人のママが2人の子どもをみる代わりに、2人のママが一緒に暮らして4人の子どもをみることです。普通の家庭でも、夫も含めて2人の大人で2人の子どもでは?と思うかもしれませんが、実際には「誰が働くか」ということを織り込む必要がありますので、敢えて一人分をカウントしません。ママが2人になると、それぞれのママは(パパは、でも構いません)ワンオペから解放される時間が増え、育児の負担を軽減することができます。
ただ、言うまでもありませんが、現代の日本では一夫多妻制を取ることはできません。重婚は禁止されています。
では何か、近い形のものがあるでしょうか? 考えられるのは、
「ママ友同士で助け合う」
という形です。
そもそもワンオペの一番辛いところは「代わりがいない」という点です。
普段は1人で3人の子どもをみていたとします。例えばママの体調が悪くなってしまっても、育児に休みはありません。また、自分の時間を作る、ということも難しくなります。もちろんパパがいますが、いつも必ず協力できるとは限りません。そんな時、お互いに一時的にでも預かってくれるママ友がいたら、ずいぶん楽になるでしょう。これを「ママ友互助会」と呼びましょう。
よさそうな仕組みに見えますが、問題はそういう関係性のママ友がどのくらいいるか? ということです。1時間だけでも預かってもらえる、そして自分でも1時間なら預かることができる、という関係のママ友でさえ、いない人も多いのではないでしょうか。
では、一夫多妻制と、ママ友互助会の中間のようなものはないでしょうか。例えば、
「数組の仲の良い家族が共同生活」
は、どうでしょうか。
これなら法的にも可能です。一緒に暮らすので、生活コストも下がりますし、育児の負担も軽減できます。
ですが、想像できるように、共同生活にはいろいろな苦労があるでしょう。二人の生活でさえ、成り立たない人たちはたくさんいます。家庭ごとに生活のリズム、価値観、収入など、いろんなものが違います。もしかしたら、家族間でカップルの交換が起きてトラブルになるかもしれません。
まとめますと、サザエさん型の家庭の形が減少し、核家族というワンオペになりがちな形態が主流になっています。育児の負担を自然な形で減らし、親がイライラせずに楽に育児をすることは、子育てにも良い影響があるのではないでしょうか。
そこで、子どもを育てる仕組みとして、ママ友互助会や共同生活、そして一夫多妻制(あるいは一妻多夫制)を想像してみるのは、いかがでしょうか?
そもそも、そんなに甲斐性のある夫がいない? 耳が痛い話です……。
***
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