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お冷を求めたら、そとのコンビニを指さされた

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:コオリヤマ(ライティング・ゼミ9月コース)
 
 
「eat OK?」(食べますか?)
 
お店に入るなり、キテレツな英語を披露した。
私が外国人で中国語ができないとわかると、笑顔だった店員さんは、困り顔に。
 
私は日本人の男だ。
台湾へ英語も中国語もできないのに、ひとり、旅行に来てしまった。
言語は子ども、体は大人、海外小学一年生なのだ。
 
台湾桃園国際空港から、なんとか台北市内のホテルにチェックイン。
異国での緊張により、クタクタのお腹ぺこぺこだ。
 
この異国の地で、唯一の友達”スマホ”にてご飯屋さんを検索した。
なんでも台湾の名物はニューローメン。牛肉麺と書いてニューローメンだ。
写真を見ると何とも美味しそう。
 
だが、なにせ私は小学一年生である。ご飯を注文するのに緊張して何かやらかしてしまいそうだが、空腹に耐えかねて私はホテルを出た。給食が待っている。
 
台湾の台北と言う街は日本と似ている。
だが、ところどころ西洋風な建物もあり、どことなく異国だなぁという感じはしっかりしている。
横断歩道の青信号はやや小走りのピクト。走ったほうがいいのかなあと思ったが、現地の人たちは歩いているので歩いた。
 
目的のお店に着くまでに、数店舗、日本にもあるコンビニが目につき、心の平穏を少しだけ取り戻した。
 
おもむきのある街を抜け、さらに雰囲気のある路地へと入る。やたら狭い歩道歩き、やたら多いバイクの横も歩く。バイク大国なのだろう。
 
目的のお店へ着いた。大きなガラス張りの店舗で、これまた雰囲気抜群。漢字で牛肉と大きく書いてあったので、おそらくここだなとあたりをつけた。
 
入店をためらっている。なんと言って入ればいいのか。
リアル小学校のとき、校舎になかなか入れなかった記憶が蘇る。いまは、やさしく教えてくれる親も先生も、いないのだ。
自分でなんとかするしかない。
 
食べるが「eat」だから、それに「OK」をつければ、ご飯がしたいことがもしかしたら伝わるのではないだろうか。よし! これで行こう。
 
いざ入店。引き戸のガラスドアを開くと女性のかわいらしい店員さんが笑顔で迎えてくれた。
この笑顔を私はぶち壊してしまうのだが。
 
私「eat OK?」
 
店員さん「…?」
 
困った表情。あきらかに伝わっていない。どうしよう。店員さんが困っている。
 
「eat OK? 」は調べたら「食べますか?」と言う意味になるらしい。いきなり入ってきた国籍不明の男が「食べますか?」といきなり聞いてきたら私ならば泣いてしまう。英語もできない馬鹿ですいません。
 
しかし、ご飯は食べたい。
人差し指を出し1人をアピール。
麺をすするジェスチャーで何とかお店に入れてもらえた。
 
「日本人です」と伝えるのを忘れていたので、どこの国の人かもわからなかっただろう。
店員さんも一生懸命メニューを指差してこれでいいかと聞いてくれている。
 
「OK!」
 
わかる言葉の時だけは声が大きくなった。人生で一番大きいの「OK!」だったと思う。
 
ニューローメンが出てきた。
ちくしょう! やったぜ。
一発で目的のご飯を注文できた。
 
牛肉がたっぷり入った澄んだスープ。細麺より少し太い麺。見るからに美味しそうである。
さすが名物。
 
緊張と緩和で、喉はカラカラ。
この美味しそうなニューローメンを食べる前に喉を潤したいと、当たり前のように私は思った。
 
店員さんにウォータープリーズと伝えた。
あまり反応がよくない。
 
店員さんは、外にあるコンビニを指差した。
最初は外に自販機があるのかなと思ったが、ない。
やっぱりコンビニを指差している。
 
あぁ! お冷、出ないのだ。
このお店というか台湾の方はご飯と一緒に水分をあまり取らないらしい。
庶民系のご飯屋さんには飲みたきゃ持ち込みが普通なのだそうだ。
あとで調べて知った。
 
お冷がでない場面に初めてでくわし、頭の回転がどんどん回る。混乱というものだ。
汗が吹き出してくるが、水は出てこない。
理解。水なしでニューローメンを食べることを決意。
他のお客さんも水飲んでいないし。見渡しでもやっぱり置いていない。
 
コンビニで買えばよかったのだけれど、ご飯屋さんに買ってきた飲み物を持ち込むなど日本人としてはどんでもない抵抗があったのだ。とっさにそんなことできない。
 
異文化上等。
こんな些細な食事にも、国というものが現れるのだな。
 
ニューローメンは、もちろん、おいしかった。
途中店員さんがテーブルに置いてある生のニンニクを勧めてきた。一緒に食べろと言うことか。めちゃくちゃおいしかった。臭いは気にしない。
お腹が減っていたので、一瞬で平らげた。
 
ガーリックスメルで、お会計を、何とかすまし汗だくでお店を後に。
 
さきほど、指さされたコンビニで水を買った。その水のおいしいこと、おいしいこと。
郷に入っては郷に従え。郷ひろみ。2億4000万の瞳で空を見上げる。
台湾に入国してわずか3時間でこのカロリー消費である。
 
初海外は、はじめての体験だらけだ。
不安だらけの小学一年生も勇気をもって立ち向かえば、2学期を迎えられるはずだ。
次は台湾名物「火鍋」が食べたい。いや、「台湾ステーキ」か?
 
4泊5日の旅は、始まったばかりだ。
 
 
 
 
***
 
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2024-10-17 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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