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サップヨガは、自分の心に呼応するウソ発見器だ


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記事:izmy(ライティング・ゼミ9月コース)
 
 

「自分の心と身体のシンクロに気づくこと」これがヨガの醍醐味である。
例えば片足立ちのポーズではバランスが取れず身体が揺れる。先生によると、この揺れに対する心の反応は、日常生活の変化やトラブルに直面した時に生まれる自分の思考のクセ、なのだそう。これはスタジオレッスンでも実感することはできるが、「サップヨガ」では、より、心と身体が一体化する瞬間を体感することができる。
 
サップ(SUP)とは、サーフボードのような専用のボードに立って、パドルを漕いで水面を進んでいくウォータースポーツである。このボードの上でヨガのポーズをとるのがサップヨガだ。サップが流行り始めた当初は、泳げない私には無縁と感じていたが、ビーチで楽しむ人々の姿に心惹かれ、ついに挑戦を決めた。
 
チャレンジの地は宮古島。以前、訪れた際にお世話になった現地の先生へ予約を入れた。場所のイメージもできていて、先生も信頼できるから、安心だ。
 
当日は気持ちよく晴れていた。朝9時に水着など濡れても良い服装でお店に集合。歩いて近くのビーチに向かうと、すでにボードが水面に浮かんでいた。小さな入り江になっていて、ほとんど波は立っていない。これなら安全に過ごせそうだ。
 
今回はヨガがメインなので、パドルは不要。ボードは砂袋とつなげてあり、係留した状態となっている。流されてしまう恐れはない。
 
砂浜でサンダルを脱ぎ、裸足で海に入っていく。水面が腰の高さくらいのところでボードに到着し、両手をつき、腹ばいになりながら恐る恐るボードに乗っかる。
乗れた! 第一段階クリア!
 
「サップは、座っていても立っていても、大きな動きを加えない限りは安定している乗り物です」
私の緊張を察してか、日焼けが似合う先生が明るい笑顔で、説明してくれる。
「もし水面に落ちる場合は、水深が浅いので足から落ちると、砂地に強く足を打ちつけてしまいケガにつながります。なので、背中から落ちてください」
受け身を取る、ということか! 柔道の経験がないから、それはそれで怖い! ボードの上で無理せずに、落ちないくらいのところで動くようにしよう。
 
60分間のチャレンジタイムが始まった。
 
足首回しなどの簡単なストレッチから始め、あぐらで座った状態で片腕を伸ばして身体を横に倒す。顔を空に向けると、澄んだ青とちょっとまぶしい太陽の光を受け、体側が伸びてとても気持ちが良い。
 
のんびりタイムの後は、格闘の連続となった。
 
四つん這いになり、右足を伸ばしながらボードから離す。両手と左足の3点で支えることになるので、左重心となって傾き、ボードの揺れも大きくなってくる。安定したら左手も伸ばすのだが、支点が少なくなるほど揺れるので、体勢の維持が難しい。揺れと格闘していると一気に身体が暑くなり、汗がじわりと出てくる。これはスタンダードなヨガポーズだが、サップになると水面が柔らかい分、地面よりも支える力が低下し、難易度がグッと上がっている。
 
この後も様々なヨガポーズをとるが、立位に近づくにつれて、ボードの揺れは大きくなる。揺れに抵抗することに全集中して、呼吸も止まってしまう。心臓もドキドキ。
「呼吸してますかー? 呼吸が浅くなると筋肉が緊張してしまうから、大好きな宮古島の風景を思い浮かべながらリラックスしていきましょう」と先生が声をかけてくれる。
 
そうだ、今が「自分の心と身体のシンクロ」を感じるときだ。
鼻から大きくゆっくり息を吸って吐いてを繰り返しながら、自分と対話してみる。
 
揺れて怖いよね。普段ヨガレッスンを受けているからもっとできると思っていたのに、こんな穏やかな水面でも結構揺れるし、びっくり! 日常でも、初めてのことには不安になるし、想定外が起こると慌てて焦りがちだよな。意地になって格闘するくせに、臆病だから、すぐにテンパっちゃって、呼吸も浅くなりがちだよなぁ。
 
でもさ、これまで無縁だと思っていたサップをチャレンジできたことは経験値がひとつ増えて、すごく良かったじゃん! うまくいったポーズもあったから、グッジョブ!! というか、目の前に広がる、宮古島の青い海と空、とってもキレイで好きだー!!
 
だんだんと前向きな気持ちになり、目線も一歩先に向けられるようになると、徐々に鼓動と呼吸が落ち着きを取り戻した。
ボードの揺れも少なくなり、「かっこよく堂々と!」と、まではいかないけれど、なんとなくフェンシングの構えのような戦士のポーズをとることができた。
 
レッスンの最後、ボードの上で仰向けになって、ゆったりとお休みしながら、思った。
 
サップヨガって、ウソ発見器みたいだな。
揺れに必死で抗うと、乱れた鼓動と呼吸が筋肉に伝わり、ボードも応えるように更にぐらりと揺れていた。「無理してるよ~」というアラートのようだったな。
 
ドキドキしたり呼吸が浅くなっているときは、がんばり過ぎているよ、というサインなのよね。自分に優しく正直に向き合って、呼吸を整えることで、身体も心も穏やかさを取り戻せる、ということを体感した。日常でも、揺らぎのサインを感じ取って、自分の気持ちに寄り添っていきたいな。
 
まぶしい太陽の光と、優しい波の揺れを感じながら、心地よく、すうっと、深呼吸をした。

 
 
 
 
***
 
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2024-11-01 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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