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TOEIC450点からネイティブ英語が聞けるようになった秘訣


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記事:峯山政宏(ライティング・ゼミ)
 
 

「なんで、こんな短い会話も聞き取れないんだ」
 
 25年前、僕は大学生活の中で大きな挫折感を味わっていた。そして、本気で英語を話せるようになりたいと思い、英語と真正面から向き合い始めた。
 
 それまで得意だったはずの英語が、大学の授業では全く歯が立たなかった。高校までは、受験英語さえできれば優秀生扱いだった。しかし、大学の講義が始まり、教授が流暢な英語で語り出した瞬間、僕の頭は真っ白になった。「何を言っているんだ?」、「全く聞き取れない」。
 
 瞬く間に、僕は英語劣等生に転落した。文法や単語を覚えるのは難しくなかったが、リスニング力が決定的に欠けていた。英語で話しかけても、外国人に首を傾げられたり、「どういう意味ですか?」と尋ねられるばかり。その度に自分の語学力の無さを痛感し、劣等感が募っていった。
 
 そんな僕の脳裏に浮かんだのは、自らのバイブル的な存在だったスラムダンクという漫画の安西先生の言葉。「諦めたら試合終了だよ」。この一言が僕を突き動かし、英語学習に全力を注ぐ決意を固めさせた。
 
 アルバイトで貯めたお金を惜しみなく使い、高価な教材や塾や個人レッスンにも200万円を費やした。しかし、現実は甘くなかった。TOEICのスコアは450点のままで、ネイティブの会話は依然としてほとんど理解できず、話すことはさらに困難だった。
 
 焦りと挫折の中で、「これだけ努力しても無駄なのか」という絶望感が胸を締めつけた。英語の音を耳にする度に、悔しさと無力感が押し寄せ、夜中に枕を濡らす日も少なくなかった。200万円を費やしても、聞き取りの壁は依然として高かった。
 
 そんなある日、ふと立ち寄った大学近くの古書店で、一冊の本と出会った。それが「古代への情熱—シュリーマン自伝」だった。シュリーマンはトロヤ遺跡を発掘した有名な考古学者だが、驚くべきことに彼は生涯で18カ国語を話せるようになっていた。
 
 その事実が僕の心を揺さぶり、「どうして彼はこれほど多くの言語を習得できたのか?」という疑問を抱かせた。限界だと思っていたものが、もしかしたら乗り越えられるのかもしれないと、小さな希望が芽生えた瞬間だった。
 
 シュリーマンの学習法は、派手な教材とは無縁でシンプルだった。自分の言いたいことを英語で書き、それをネイティブに添削してもらい、その正しい発音を録音してもらう。そして、その音声を繰り返し音読し、暗記するというものだ。ただこれだけである。
 
 「本当にこんな方法で英語を聞き取れるようになるんだろうか?」疑念はあったが、僕は藁にもすがる思いで、この方法に賭けてみることにした。
 
 この勉強法をやる上で最初にやったことは、オンラインで教えてくれるフィリピン人の英語教師を見つけた事。彼女は親切で、手頃な料金で僕の文章を添削し、音声も録音してくれた。初めてそのクリアな発音を聞いたとき、胸の奥に鋭く響いた。「これだ。この音こそが目標だ」と確信した。僕はその音声を何度も聴き、口に転がすようにして暗記していった。
 
 それでも、道のりは決して平坦ではなかった。「L」や「R」の発音がうまくいかず、録音を何度も聞き返しては自分の未熟さに打ちのめされた。「これで本当に良くなるのか?」そんな疑念が胸をよぎった。しかし、それを振り払うには、ただ愚直に続けるしかなかった。
 
 数カ月が過ぎたある日、英語教師が微笑みながら言った。「Your pronunciation sounds very natural now(あなたの発音は自然に聞こえるわ)」。その一言が、僕にとって暗闇に射し込む大きな光となった。なぜなら、無駄に思えた努力が報われた瞬間だったからだ。自分でも、英語の会話が少しずつ聞き取れるようになり、自然に言葉が口をついて出るのを感じた。
 
 その後、僕はこの練習を1年間に100回以上繰り返した。そして、次に受けたTOEICでは、スコアが450点から895点に跳ね上がった。結果を手にしたとき、喜びが胸の中で弾けた。1年前、ただ英語を聞くだけで息苦しくなっていた自分を思い出し、その変化に驚きを禁じ得なかった。胸の中に大きな自信が芽生えた。
 
 あれから25年が経過。今、振り返って思うのは、英語学習で本当に大切なのは、高額な塾に入ることでも、高額な教材を購入することでもなく、自分に合った学習法を見つけて愚直に続けることだということ。
 
 シュリーマンが教えてくれたのは、努力の方向性と学びの本質だった。もし、今英語の壁に立ち向かっているあなたがいるなら、まずは自分の思いを短い英語の文章にしてみてほしい。僕の経験が、あなたの新たな希望となることを願っている。

 
 
 
 
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2024-11-07 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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