「きれい好き」という嘘―行動しない「好き」は本物なのかー
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:Motobu(ライティング・ゼミ9月コース)
オフィスの大掃除の日、同僚の机だけが島のように清潔に保たれていた。共用スペースの埃を払う音が響く中、彼女は優雅にスマートフォンを操作している。
「私、きれい好きなんです」
その言葉に、僕は思わず違和感を覚えた。確かに彼女のデスク周りはいつも完璧で、見るからに気持ちがいい。文具は色調が統一され、書類は分類ごとに整然と並び、観葉植物までもが計算されたように配置されている。まるでモデルルームの一角を切り取ったかのような洗練さだ。だけど、本当に「きれい好き」と言えるのだろうか?
共用スペースの掃除を手伝ってくれないかと声をかけた時の彼女の返事が、今でも耳に残っている。
「自分の机は既にきれいですから」
彼女にとって「きれい好き」とは、自分の領域だけを美しく保つことなのだろうか? もし本当に「きれい好き」なら、他の場所にも気を配り、共用スペースの掃除にも自然と手を貸したくなるのではないだろうか。掃除という行動が生み出す清潔感が心地良いと感じるのであれば、自分の机に限らず、周囲にもその気持ちを波及させるはずだ。それこそが、ある種の「きれい好き」の形だと思うのだ。
そんな疑問を抱いていた矢先、先日参加した天狼院書店の整理術講座で、講師がふと口にした言葉が頭に残った。
「整理整頓は好きか嫌いかの問題ではありません。必要なことを必要な時に行動できるかどうかの問題です」
この言葉が、僕の中で大きく響いた。「好き」という感情と「行動」との間にある深い溝が、一気に浮かび上がってきたのだ。講師はさらに続けた。
「大切なのは、今やるべきことに対して、適切なタイミングで行動を起こせるかどうかです」
この言葉をきっかけに、僕の中で「好き」という言葉への見方が変わり始めた。ある物事を「好き」と言うのは簡単だが、果たしてそれはどこまで真実なのか? もしかすると「好き」とは、行動に伴ってこそ初めて成立するものではないのか。
ふと考えてみた。周りにも「〇〇好き」を自称する人はたくさんいる。でも、その「好き」が行動として本当に現れているのだろうか? また、その「好き」が他者に良い影響を与えるものであれば、それはなおさら本物の「好き」だと言えるのかもしれない。
そしてこの問いは、思わぬ形で僕自身に突きつけられた。
僕は「読書好き」を自認している。本棚には新刊が溢れ、読書記録アプリには読了数が積み上がっていく。月に数冊を読む自分を誇らしく思ってきたし、読書は自分にとって大切な趣味の一つだと思っている。だが、ふと立ち止まって考えると、その読書から得た知識や気づきは、どれだけ実際の行動に移せているだろう?
本を読んで「なるほど」と思うだけで満足し、実践のないまま次の本に手を伸ばしていないだろうか。頭の中に積み重ねた知識の山は、一見すると自分を豊かにしているように見えるが、実際には行動に移されず、自分だけの満足で終わっていないだろうか。こうしてみると、僕の「読書好き」は同僚の「きれい好き」と本質的に同じではないか。
行動に移らない「好き」は単なる自己満足にすぎない。「きれい好き」であれば、自分の机だけでなく、共用スペースの美化にも自然と手が伸びるはずだ。「読書好き」であれば、本から得た学びを実践し、周囲にも良い影響を与えるべきだ。
そこで、僕は読書の方法を変えることにした。読書ノートには「アクションプラン」の欄を設け、得た知識を実生活にどう活かすかを具体化していく。たとえば:
– 明日の朝会議で試してみたいファシリテーション手法
– 週末に取り組む新しい整理収納のテクニック
– 来週から始める朝型生活のための具体的なステップ
そして最も重要なのは、これらのプランに期限を設定することだ。「いつか」は「決して」の婉曲表現でしかないからだ。いつか取り組むつもりでいることは、結局のところ、取り組まないまま忘れ去られていくことが多い。だからこそ、行動に落とし込むための計画には具体的な期限を設ける。それが、自分の「読書好き」を本物にするための最初の一歩なのだと思う。
あなたはどうだろう?
「〇〇好き」と自認するものはあるだろうか?
そして、その「好き」は行動として現れているだろうか?
真の「好き」は、自己満足で終わるものではない。それは必ず行動となって現れ、他者や環境に良い影響を与える。特に、他者や環境に対してポジティブな変化をもたらすことで、「好き」はただの個人の感情以上の意味を持つようになるのだ。それこそが、本当の意味での「好き」なのだから。
「今日から、あなたの『好き』は何を変えますか?」
***
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