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ありがとうトルティーヤ


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記事:コオリヤマ(ライティング・ゼミ9月コース)
 
 

「おいしそう」
 
トルティーヤは面白いように膨らみ、ひっくり返すと、良い塩梅の焦げができていたのだ。
 
最近、私は引越しをした。
引越しした家の近くには商店街のある立地。
さっそく、いろいろ散策してメキシコ料理屋さんを見つけることができた。
 
メキシコ料理と言えばタコスである。
お店のタコスは、もちろんスパイシー。タバスコでさらに辛くする。
お店のこだわりなのか、コロナビールが瓶ではなく缶で出てくる。
それがまた、とてもおいしい。
味に感動して、短期間に数回通ってしまった。
 
ある日、お店へ向かうと、店休日にようでやっていなかった。
 
私は、もうお腹ペコペコで、タコスのクチである。
こうなってしまっては、子供のようにわがままになってしまう。
 
どうやってもタコスを食べたいのだ。
辛味のあるひき肉。シャキシャキのレタス。酸味のあるトマト。
それにタバスコをたっぷりかけて、コロナビールで流し込みたいのである。
今それはかなわない。なぜなら、お店が閉まっているから。
無いものを、さらに欲しくなってしまうのが人間の業である。
 
だだをこねてどうしても作ってもらう。相手が母親なら、そんなわがままが通るのであるが、お店がやっていないのは、もう、しょうがない。
 
しょうがない。
自分で作るか。
 
近くのスーパーで材料を買うことにした。
レタス、トマト、チーズ、アボカド、ひき肉、レシピサイトを見たらおそらく調理できるだろう。
 
問題はタコスの命、トルティーヤだ。
具材を巻いている生地。
行きつけのお店のトルティーヤは、ほどよく薄く、ほどよく焦がしてあり、香ばしい。
イメージだが、パンを作る時のようにしっかりしたオーブンがないと作れないのだろうなと思っていた。
 
鼻から作ることしか考えてないので出来合いのトルティーヤをスーパーで探した。
トルティーヤってないんですね。スーパーに。
確かに、トルティーヤをスーパーで1度も見たことない。
 
どうしたものか。
 
レシピサイトに、トルティーヤと打ち込んだ。
さぞかし手の込んだ調理をしないといけないのであろうと思っていたが、案外手に入る材料で作れる事がわかった。
 
薄力粉、強力粉、ぬるま湯、オリーブオイル、塩少々。
これでトルティーヤができるらしい。
ちょっとびっくりした。
頭の中で考えてるとなにかと難しく思ってしまいがちだが、いざレシピを見てみると、あっけらかんとした材料しか書いていない。
材料を買い、さっそく自宅で作ってみることにした。
 
薄力粉と強力粉100グラムずつと塩を少々、ビニール袋に投入。
袋の中で振ってよく混ぜる。混ぜ切ったところで、ぬるま湯とオリーブオイル。
ここの分量がちょっと難しいのだが、何とかうまくいきそうだ。
 
ビニールの中で混ぜ、塊ができ始めたら、手のひらで揉む。
5分ほど揉み砕いたらビニールに入れたまま、30分放置。
 
その間にタコスの具材を作っていく。こっちの方は切ったりするだけだから、特に問題はなかった。
 
30分経ったトルティーヤの生地を伸ばし6等分にする
1個を手に取り軽く指で伸ばしたあと、生地を棒で、ぐいぐいと薄く伸ばしていく。
お、なんだかトルティーヤの形になってきたぞ。
 
よく熱したフライパンの上に乗せるトルティーヤは面白いように膨らんでくる。
ひっくり返すと良い塩梅の焦げができていた。
反対も同じように焼いたら完成。
6枚作ったので6回タコスが食べられる権利を私は獲得した。
 
スーパーにコロナビールはなかったので、ビールは適当なものを。キンキンに冷えてやがる。
 
うめえ。
 
自分で作った料理は、大体その労力の反動からか、おいしい。
ただ今回はちょっと違う。
 
簡単そうな料理しか今まで作ってこなかったが、今回はちょっとだけ難易度が高かった気がする。だって母親も作ったとこみたことがない料理だもの。
満足感のおかげで、おいしさで2倍だった。
 
6枚のトルティーヤは、すぐさま無くなった。お腹はいっぱい。
ビールも350ミリリットルを2本空け、ほろ酔いである。気分はいい。
 
行きつけのタコスが食べられない。自分のわがままをチカラにして、未経験の料理の壁を1つ壊すことができた。
スーパーにトルティーヤの出来合いのものがあったら、この満足感は得られなかっただろう。
 
人間は、わがままで、成長することもあるのだな。
お腹周りも成長しそうであるが。
 
ありがとう! トルティーヤ!
グラシャス! タコス!
 
 
 
 

***

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2024-11-15 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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