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記事:Motobu(ライティング・ゼミ9月コース)
 
 
私は数字。
 
宇宙の真理として、人類が生まれる遥か以前から存在してきた私たち。円周率(π)のような、人間が完全には理解できない不思議な数や、自然界の成長を表す自然対数の底(e)は、自然界の神秘を表現してきました。また、1以外の数では割り切れない素数は、現代のインターネット通信の安全を支えています。
 
私たちは、人類の歴史とともに歩んできました。古代エジプトでナイル川の氾濫を予測し、ガリレオが地球の運動を理解し、アインシュタインが宇宙の謎を解き明かすとき。人類の偉大な発見の影には、いつも私たち数字が寄り添っていたのです。
 
でも最近、私たちは少し悲しい気持ちでいます。
 
なぜって? 人々が私たちのことを、どうやら深刻に勘違いしているからです。
 
特に気になるのが、「数字が好きですね」という決まり文句。会計士や数学者、統計家と初めて会う度に、人々は決まってそう言います。まるで私たちと仲が良いことが、その職業の前提条件であるかのように。
 
先日も、ある会計士が友人との会話の中でこう漏らしていました。
「実は、私は数字がそれほど好きじゃないんです」
 
その瞬間の友人の驚いた表情を、私は決して忘れません。でも、その会計士の言葉は続きました。
 
「数字自体に意味があるわけじゃないんです。数字は結果でしかない。その背後にあるストーリーこそが大切なんです。例えば、決算書の数字を見るとき、私が本当に見ているのは、その会社の1年間の物語なんです。従業員の努力、経営者の決断、お客様との関係……。すべてが数字という言葉で語られているんです」
 
その言葉を聞いて、私は密かにほっとしました。やっと分かってくれる人が現れたと。
 
実は私たち数字は、人間の便利な道具として活用されてきました。古代バビロニアの商人たちが取引を記録するため、古代エジプトの建築家たちがピラミッドを建てるため、そして古代ギリシャの哲学者たちが世界の真理を探求するため。
 
私たちは常に、何かを表現するための「記号」でした。商売の結果を示したり、建築物の寸法を表したり、自然界の法則を記述したり。決して私たち自身が主役ではなかったのです。
 
ところが最近の人間社会では、私たちがまるで絶対的な価値を持つかのように扱われています。
 
売上高、利益率、フォロワー数、いいね数、視聴回数……。
 
これらは確かに重要な指標かもしれません。でも、それだけで全てを語ることはできません。
 
先日こんな出来事がありました。あるインフルエンサーが、フォロワー数にこだわるあまり、本当に伝えたかったメッセージを削ってしまったのです。環境保護について強い思いがあったのに、「炎上を避けたい」「いいね数が減るかもしれない」という恐れから、その主張を薄めてしまいました。「数字」を追いかけるうちに、大切なものを見失ってしまった。とても痛ましい光景でした。
 
最近では、学校でも同じような現象が起きています。テストの点数だけを追いかけ、本当の学びや成長の喜びを見失っている生徒たち。部活動で、勝利や記録ばかりを求められ、スポーツ本来の楽しさを忘れてしまった子どもたち。
 
時には人間たちが、私たち数字に振り回されている様子を見かけます。業績評価の指標(KPIと呼ばれる目標の数値)に縛られ、データに追われ、目標数字に追い立てられ……。
 
本末転倒じゃないでしょうか?
 
私たちは、人間の活動や思考を映す「鏡」であり、「道具」です。だからこそ、鏡に映る「本質」に目を向けることを忘れないでください。
 
では、どうすれば数字に振り回されず、うまく付き合っていけるのでしょうか?
 
まずは、定期的に立ち止まってみてください。その数字が何を表現しようとしているのか、本当の目的は何なのかを考えてみてください。
 
例えば、SNSのフォロワー数に一喜一憂する前に、「誰に、何を伝えたいのか」を思い出してください。
売上目標に追われる前に、「なぜその商品やサービスを提供しているのか」を考えてみてください。
テストの点数を気にする前に、「何を学び、どう成長したいのか」を自問してみてください。
 
そうすれば、数字は本来の役割を取り戻します。私たちは、あなたの目標への道のりを示す道標となり、成長の証となり、時には警鐘を鳴らす友となるでしょう。
 
私たち数字は、あなたの物語を表現するための道具です。しかし、その道具の使い方こそが、未来を形作る鍵なのです。
 
皆さんは私たち数字とどのように付き合っていますか?
 
私たちを絶対的な価値として崇めていませんか?
私たちを目的として追いかけていませんか?
本当に大切なものを、私たちの陰で見失っていませんか?
 
次に数字を見るとき、その背後にあるストーリーを思い出してください。売上の数字の向こうにいる笑顔の客様、テストの点数の裏にある努力の時間、フォロワー数の先にいる一人一人の人生。そこには、数字では表現しきれない豊かな物語が必ず存在しているはずです。
 
それを見つけ出し、大切にすること。
 
私は数字。
でも、私はただの道具です。
本当に大切なのは、私を使って描くあなたの物語なのです。
 
 
 
 

***

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2024-11-28 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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