メディアグランプリ

薬膳はポップでキュートでおいしい料理である。


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:前田苺日子(ライティング特講)
 
 
「これが薬膳料理ですか?」
私の作る薬膳なるものをはじめて見た大半の人はこのように言う。
 
そして、食べてみて
「薬膳のイメージがガラッと変わりました」
「家でもできそうです」 
「これなら家族も食べてくれそう」
そう言って足取り軽く帰宅する人が多い。
 
さて質問です。今この文章を読んでいるあなたは「薬膳」と聞くとどんな料理をイメージしますか?
 
✓体にはいいかもしれないけど、美味しくなさそう
✓薬臭いイメージ
✓苦そう
✓茶色一食で食欲がわかない
✓作り方が難しそう
✓特殊な薬が使われている
✓すごく時間がかかる
✓デザートは杏仁豆腐
 
だいたいこんなところでしょうか?
こんなイメージを持った人は、「楽しく美味しい食事」ではなく「身体にいいと言っても、苦痛を伴うまずいごはん」である。
 
もう一つ、私の中のデータをもとに言うならば、「女は頭で食べて、男・子どもは本能で食べる」
どういうことかと言うと、女性は「これは体にいいよ」って言われたら、体にいいからと素直に食べるけど、男性や子どもは、体にいいことより美味しいことの方が優先したいから、喜んで食べやしない。
 
のだ……。
 
薬膳会に来る人は、みんな最初は「自分と家族の健康のために、日々の食事で何とかしたい。頑張って勉強しよう」そんな気持ちで参加する。         
 
が……しかし……「これが薬膳?」という料理が並ぶから驚かれるのであった。
 
そもそも朝鮮人参が入っていたら薬膳料理というわけでもないし、香辛料がたっぷり使われているものが薬膳料理でもないのだ。
 
大事なことは、その人の体質にあった料理であること。もう少し付け加えるなら「中医学」という中国の伝統医学の理論に基づいて、食べる人の体質にあった施膳がされていることなのである。
さらに、私は、入手困難で高い生薬は使わず、普通のスーパーで入手可能な食材を使う。
 
これが薬膳? と思った人が次に質問するのは、「なぜ、こういうお料理を作ろうと思ったのですか?」である。
 
私には、中医学や薬膳料理を教えてくれた先生が何人かいるけれど、その中の一人の先生がこう教えてくれた。 
 
「薬膳は、ポップでキュートでおいしくないといけないんだな~」 
 
先生は、東洋医学を専門とする現役の医師である。医師ではあるが、料理がとても上手で、患者さんを診てその人の体質にあった料理をぱぱぱっと作ることができる。実際に診察室で料理はできないからそんなことはしないけれど、でも本当に料理上手で、しかも見た目も美味しそう。実際に食べても美味しい料理であり、そしてちゃんと身体にいい。
 
症状によっては時間をかけじっくり煮込んで作った料理もあるが、とにかくどれも見た目に美しく、そして美味しいのである。ドラマに出てくる宮廷料理よろしくってくらいの華やかさと美味しさを兼ねそろえている料理は、病気治療だけではなく心までも癒されるのである。
 
その先生についた最初のころは、「ま~え~だ~それ直していい?」といつも私は盛り付けを直されていた。いや……私の盛り付けを直してくださっていた。そして必ず「美しくないといけないんだよー」と……ちゃちゃっと直してお客様に提供していた。
 
もう一つ、先生にはこだわりがあった。
 
「おかあちゃんはさ、おうちの中のお医者さんなんだよ。おかあちゃんが家族のことを思って作るごはんは、それが家族にとってのおくすりになるんだよ」いつもそう言っていた。
いつしか私は先生から「まえだのかあちゃん」と呼ばれていた。私がここに来る人の(患者さんだったり、施設の利用者さん)おかあちゃんとなって、「おくすりにも勝るとも劣らないご飯を作りなさい」って意味だったのかは不明である。
 
先生の本心はわからないけど、だいぶ自分のステージをあげてもらった気がする。
 
そんな修行? 苦行? を経て今がある。そして私はいつしかポップでキュートで美味しい薬膳料理を作れるようになっていた。
 
先日、薬膳料理の会で作ったお料理の一つをご紹介しよう。
・ほうれん草の土佐ジュレがけ
・ミニパプリカのセビーチェ
・かぼちゃとナッツのソテー KURATAペッパーを添えて
・長芋のグリル 三河の白たまりと柚子胡椒のせ
・わかさぎの南蛮漬け 
 
これは何種類か出した料理の中の一つで『五行の前菜プレート』として出したものである。料理名にもちょっとこだわりを持ってみた。もちろん理論的にもちゃんと中医学の理論が入っている。
 
とはいえ、 
・ほうれん草の和え物
・パプリカのマリネ
・かぼちゃとくるみの炒め物
・長芋焼き
・わかさぎの南蛮漬け  
名前を変換させたら、ぐっと日常に近づいてくる。
 
会に参加された方も、
「明日○○買って来よう」とか
「家に帰って家族に作ります」とか
「薬膳のハードルがぐっと下がったのでまた美味しく食べて勉強したいです」
「これなら家族も食べてくれます」 
そんなうれしい感想をたくさんいただき、会は終了した。
 
薬膳料理は、ポップでキュートで美味しいものである。そして、その薬膳料理が作れる『おかあちゃん』がどんどん増えることを願いつつ、みなさんに料理を提供していきたい。
『おかあちゃん』が作るごはんで、家族みんなが笑顔で楽しく日々を過ごせることを願う。
 
 
 
 

***

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2024-11-28 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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