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塾経営者ですが言いたいこと「勉強を好きになってはいけない」

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:石井 宏明(ライティング・ゼミ9月コース)
 
 

塾経営者の立場でこれを言うのはちょっとびっくりするかもしれません。しかし、これはとても大事なことだと思います。「勉強」という漢字を見てください。「強いて勉める」と書きます。つまり、無理やり頑張ることです。好きなことを何時間でもできるのは当たり前で、堕落こそすれ、人格が向上するということはありません。ゲームばかりをしている我が子を見て、「あの集中力が勉強に生かされたら……」と言うお母さんがいますが、それは集中力ではありません。嫌いではあるが、自分にとって必要なので「嫌々」一日二時間の勉強をするところに意味があるのです。そこから、忍耐力や創造力、工夫が生まれます。ですから、「勉強好きな子供に育てましょう」というのは、聞こえは良いのですが間違った発想なのです。
仕事中毒という言葉があるように、勉強中毒があります。勉強していないと不安で不安で仕方がなくなり、一日中勉強するようになります。これは危険です。病気の一種と言っても良いでしょう。こうなると精神を病んでしまいます。勉強は、文字通り「強いて勉める」のが健全なのです。
勉強に限らず、スポーツでも芸術でも、自らの能力を伸ばすには、ある程度の「負荷」は絶対に必要です。甲子園を目指す球児達が毎日苦しい練習をしているように。腕力をつけるのに、ただ空中で腕を曲げ伸ばししていたのでは効果がないように。苦しい経験の積み重ねが人格を向上させ、ひいては社会から求められる人間を育てていくのです。何ごとにも逃げずに努力をしてきた人間というのは自然と分かるものです。勉強という辛い作業は、確実にそうして人間を育てていきます。一言で言うと、勉強の目的は「生きる力」を身につけることです。子供たちに必要なのは学力であり、集中力であり、忍耐力であり……、「力(パワー)」なのです。勉強は、それを獲得するための大切な作業です。
知識や学歴には文字を見て分かるように「力」はありません。そして、今、子供たちに最も必要で、勉強を通して、あるいはスポーツを通して伸ばさなければいけない「能力」、それは「努力」です。これも、ほとんどの方が誤解しています。努力は誰にでもできると。ですから、すぐに「努力すればできる」とか、「努力が足りない」とか言ってしまいます。「努力」は「努める(がんばる)力」であり、能力の一つです。能力ですから走力や腕力と同様、個人差があり、訓練によって伸ばす必要のあるものなのです。勉強は、この「努力」を伸ばします。
では、これらの「力」はなぜ必要なのでしょうか? それは、もう哲学の分野ですが、人を幸せにし、自分も幸せに生きるためだと思います。
一方で、仕事に過度にのめり込み、家族を犠牲にしてしまう「仕事中毒」の例もあります。会社から帰ってもずっと仕事のことを考えていて、家族との時間を作ることができません。休日も仕事をしないと落ち着かず、常に仕事モードでいなければならない状態に陥ってしまいます。このように、適度な「負荷」を超えてしまうと、人生のバランスを失い、かえって心身を蝕んでしまう危険があります。勉強も同様です。勉強自体を目的化してしまい、本来の目的である「生きる力」を身につけることを見失ってはいけません。
健全な勉強とは、単に知識を詰め込むことではありません。むしろ、自らの限界に挑戦し、壁にぶつかり、そこから乗り越える経験を重ねることです。例えば、難しい問題に立ち向かい、一生懸命考え抜く作業を通して、忍耐力や創造力、工夫力が養われるのです。そして、やがてはその努力が実を結び、問題を解決できた時の達成感が、更なる挑戦へとつながっていきます。
このように、勉強は決して楽しいものではありませんが、その過程で身につける「力」こそが、将来の人生を豊かにする源泉となるのです。辛酷な修行を乗り越えた侍が強くなるように、子供たちも勉強を通して、社会で求められる「生きる力」を鍛えていくのです。
ですから、学校や家庭で大切なのは、子供たちに勉強を強制するのではなく、目的意識を持たせ、乗り越えるべき壁を与え、挑戦する過程を共に歩んでいくことです。そうすることで、自然と勉強を嫌うのではなく、必要な「負荷」として受け入れられるようになるはずです。
結局のところ、勉強の本質は以下の点に集約されます:
勉強は学力を向上させるために必要
勉強は人格を向上させるために必要
勉強は努力を向上させるために必要
勉強は生きる力を向上させるために必要
そして、これらの理由こそが、「勉強を好きになってはいけない」という一見矛盾した結論に導きます。なぜなら、勉強が楽しいものになってしまえば、それは単なる趣味と化し、真の「負荷」としての価値を失ってしまうからです。適度に苦しく、しかし乗り越えられる挑戦としての勉強こそが、子供たちの未来を切り開く力となるのです。

 
 
 
 
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2024-12-05 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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