メディアグランプリ

完璧じゃないからこそ押したい「投稿ボタン」

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:Motobu(ライティング・ゼミ9月コース)
 
 

「また今日も投稿できなかったな……」
 
真夜中の2時。スマートフォンの画面を見つめながら、僕は溜め息をつく。下書きフォルダには、投稿しようと思いながら結局アップできなかった文章がいくつも眠っている。それらは全て、自分なりに書いた大切な言葉のはずなのに、いざ投稿しようとすると何かが足りないような気がして、そのまま埋もれていってしまう。
 
SNSが当たり前になった今、誰もが気軽に情報発信できる時代になった。テクノロジーの進歩により、数タップで世界中の人々と瞬時につながることができる。しかし、その気軽さとは裏腹に、投稿への心理的ハードルは年々高くなっているように感じる。完璧でないと投稿してはいけない。誤字脱字があってはいけない。文章の構成も練られていなければならない。そんな思い込みが、僕たちの自由な表現を妨げているのだ。
 
先日、前職場の同僚から聞いた話が、今でも心に引っかかっている。ある管理職の方が、部下のSNSをチェックしていたようで、「あいつ、昨日の夜に飲み会の写真をアップしてたけど、締め切りの仕事が終わってないんだけどな……」とつぶやいていたという。
 
その話を聞いて以来、僕は投稿する際、必要以上に周囲への影響を考えるようになった。仕事で誰かに迷惑をかけていないだろうか。約束したことは全て果たせているだろうか。そんな自問自答が、投稿ボタンを押す指を躊躇わせる。
 
特に僕は、読書が好きで、読書の中で学んだことや、その学びの過程をSNSでシェアすることに二の足を踏んでいる。先月、『独学の技法』という本を読んで、その要点をツイートしようとした時のことだ。「リベラルアーツの重要性」について書こうとしたものの、まだ、リベラルアーツについて、十分に学べていないことに気がつき、投稿を躊躇してしまった。
 
投稿を読んだ人から「そんなこと言っているけど、できてないよな」「こんな基本的なことを今さら……」という声が聞こえてきそうで、せっかくの学びを記録することができなかった。
 
しかし先日、あるエンジニアの方のツイートを見て、考えが変わった。その方は、新しいプログラミング言語の学習過程を赤裸々に投稿していた。「ここでつまずいた」「この概念が最初は全く理解できなかった」といった投稿には、多くの「いいね」がつき、「自分も同じところで悩んでいた」「参考になった」というコメントが寄せられていた。
 
このエピソードから、僕は重要な気づきを得た。SNSでの投稿は、必ずしも完璧な成功体験である必要はないのだ。むしろ、失敗や試行錯誤の過程を共有することこそ、多くの人の共感を呼び、価値ある対話を生むきっかけになる。その理由は、誰もが完璧を目指しながらも、実際には様々な困難に直面しているからだ。
 
本来、SNSは人々をつなぐコミュニケーションツールのはずだ。気軽に近況を報告したり、悩みを相談したり、喜びを分かち合ったりする場所。しかし今や、自己アピールの場、あるいは自己評価の場として捉えられることが多い。「いいね」の数で投稿の価値を測り、コメント欄での反応に一喜一憂する。他人の目を気にしすぎるあまり、自分の言葉で語ることを避け、無難な投稿に終始してしまう。
 
そこで、僕なりの新しい投稿のアプローチを考えてみた。
 
それは「学びの途中経過を積極的に共有する」というものだ。
 
例えば、AIの勉強では、AIを使って日々の業務を効率化してみようと挑戦した時点で投稿してみる。「うーん、細かい調整が必要そうだ……」という投稿でも、同じようにAIを利用しようとしている人の助けになるかもしれない。読書感想も、本を読み終わる前に、その時点での疑問や気づきを書いてみる。完璧な理解や分析を目指すのではなく、「今の自分」をありのままに表現することを心がける。
 
すると予想外の反応があった。「自分も挑戦してみたけど、うまくいかなかった」「こういう解決方法があるよ」という温かいリプライをいただき、思わぬ学びが得られた。この経験から、不完全な投稿にも大きな価値があることを実感した。
 
結局のところ、SNSは完璧な自分を演出する場所ではなく、不完全な人間同士が繋がり、共に成長していく場所なのだ。そう考えると、投稿のハードルが少し下がる気がする。私たちは誰もが、完璧ではない自分との対話を続けながら、少しずつ前に進んでいける。
 
明日からでも、まずは小さな一歩を踏み出してみませんか?
例えば、今日学んだことを、たとえ理解が完璧でなくても、「今の自分の言葉」で投稿してみる。或いは、仕事での小さな失敗談を、それを乗り越えた方法と共に共有してみる。完璧な投稿を目指すのではなく、等身大の自分を発信することから始めてみよう。
 
この記事も、実は何度も投稿を躊躇った。しかし、この迷いや躊躇いの気持ちを共有することで、同じような悩みを抱える誰かの心に響くかもしれない。そして、それこそがSNSという場所が持つ、かけがえのない価値なのだと信じている。
さあ、あなたも今日から、完璧を求めすぎない投稿を始めてみませんか?

 
 
 
 
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2024-12-05 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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