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減点方式をやめて加点方式にしたら、人生が少しうまく回り始めた話


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:かず(ライティングゼミ・9月コース)
 
 

朝は6時に起きて、まずは窓を開けて新鮮な空気を吸って深呼吸。顔を洗って歯磨き、コップ一杯のミネラルウォーターを飲む。それから朝日を浴びながらヨガをする。掃除をした後は、季節の野菜と果物をたっぷり使ったスムージーの朝食。読書をし、身支度を整え、早めに出社。仕事をそつなくこなし、同僚たちともうまく関係を築く。定時に仕事を終えた後は、買い物をして家に帰り、栄養たっぷりの手作りの夕食を食べる。入浴し、軽くストレッチをした後は念入りにボディケア。資格取得のための勉強をし、早めに就寝。
 
内容は人それぞれ違っても、こんな「完璧な一日」を思い描き、実行に移そうとしている人は少なくないのではないだろうか。「完璧な一日」を過ごし、少しでも理想の自分に近づくために。
 
だが、多くの人は残念ながら挫折するのではないだろうか。挫折以前に「完璧な一日」など、おくれないことを薄々わかっている。そしてやっぱり実行に移せず「ああ、やっぱり私はダメなんだ」と自己嫌悪に陥る。そんなことを新年や新学期など、節目の度に繰り返す。
 
私もそんな一人である。
 
「完璧な一日」を送るためには、まずは「完璧な一日」とは何かを決めなければならない。朝は6時起きでいいのか、5時のほうがいいのではないか。スムージーだけでは体が冷えるのではないか。スープも作ろうか。ヨガだけではなくジョギングも必要なのではないか。掃除も丁寧に。掃除機がけだけではなく、床をきちんと磨こう。毎日家中は無理だから曜日によって水回り、窓ふきもしよう。トイレ掃除は毎日だな。
 
そんなことをしていると「完璧な一日」はどんどん更新される。上限はない。もっともっと。まだまだ。向上心があるのは悪いことではない。だがこれは同時に今の自分「完璧な一日」を送れない自分を常に否定し続けることにもなりかねない。
 
否定されるのはつらい。他人からももちろんだが、他人は距離を置けばいいだけの話である。だが、自分からは24時間365日離れられない。一日中監視され、常にダメ出しをされていてはたまらない。嫌になって挫折するのは当然である。
 
だから「完璧な一日」を設定したうえでの減点方式ではなく「とりあえずやってみる」の加点方式にしてみた。
当時私は、体重が増えたままになったことを気にしていた。3キロほど落としたい。このダイエットをするにあたってどうするか。まずは栄養バランスのいいレシピを探そう。食事メニューを考えて、材料を買いに行こう。ああ、やっぱり運動もしないと。あまり激しいものは続かないだろうからストレッチくらいだろうか。いつから始めよう。それまでにちゃんと準備しないと。そんなことをぐるぐる考えているだけで、時間はどんどん過ぎていく。そんなことがずっと続いていた。
だが、ある時体重はストンと落ちたのである。ほんの一週間ほどだったと思う。目標の3キロではなく2キロほどだったがそれでもずっと長い間どうにもならなかったものがいきなり減ったのだ。何をしたか。答えは単純である。食べる量を減らした。それだけである。
 その後食事の量は徐々に戻したが、特にリバウンドすることもなかった。残りの1キロも生活習慣が変わったことによって勝手に減った。その後多少の増減はあるが、十分許容範囲内である。
 
ダイエット以外にもこの「とりあえずやってみる」方式は私の生活を良いほうへ変えた。別に嫌ならやめればいいだけの話である。実際いつの間にかやめてしまっていることもある。人生は長い。無理なことは続かないのだ。
 
「完璧な自分」を目指し「完璧な一日」を設定し、それを行動に移し続ける。それも素晴らしいことだと思う。だが、そこまで強靭な意志や行動力がないという人は「とりあえずやってみる」というのはどうか。何か小さなことをひとつ。それすらできなくてもいちいち否定したり責めたりしない。そんな日があってもいい。また明日からすればいい。100点を目指さなくても、20点でも30点でも続けていけば必ずいい変化が訪れるものである。どのみち100点という満点は日常生活にはないのである。上限のない完璧を目指して疲れ果ててしまうより、目の前の小さなことをコツコツやってみる。
 
今年ももう残り少ない。新年からこれを始めよう、そう思って計画をしている人も多いだろう。新年といわず、今日これからでも、小さく「とりあえずやってみる」というのはいかがだろうか。案外やってみると、年内にもあっさり望んだ結果が手に入ってしまうかもしれない。

 
 
 
 
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2024-12-12 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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