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直感


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:ガーベラ(ライティング・ゼミ11月コース)
 
 
「そういえば〇年ごろ○○店の一番奥の窓口にいなかった?」
 
 
夫が窓口で対応している場面が鮮明に浮かんできたのは
結婚して三年が過ぎた頃の事でした。
夫に出会う一年以上前の出来事です。
 
 
用あって入った店の窓口には三人の担当者。
一番奥の人だけが若者でした。優しそうな雰囲気です。
奥の人が担当だったらいいなぁ……。
 
 
しかし、順番から一番手前の人が私の担当でした。
ああ……残念。
その後、そちらに出向く用も無く
その時の事は完全に記憶から消えていました。
 
 
知り合ってから夫は別の支店に勤務していました。
勤務先の移動があり急にその時の事を思い出したのです。
 
 
「そうそう、俺一番奥だった。それ俺だ」
 
 
やっぱりそうだ! 一度だけのほんの一瞬の出来事を思い出した事に自分でも驚きました。
 
 
夫と出会ったのは私が29歳の時です。
当時は25日を過ぎたらクリスマスケーキが売れないという事に例え、結婚は25歳までに、25歳を過ぎたら売れ残りと言う様な風潮がありました。
 
 
好きでもない人と付き合うくらいなら一人の方がいい。
長年付き合っていた彼氏と別れた後、25歳を過ぎても結婚願望が無く、生活力がある訳でもない娘を親はかなり心配していました。
 
 
そんな親の心配をよそに、彼氏をつくる訳でもなく、かといって仕事のスキルを磨く事もせず日々を過ごしていた私にスイッチが入ったのは28歳の時でした。
 
 
一歳年上の姉に、子供が生まれたのです。私にとっては甥っ子です。
甥っ子の事が可愛くて仕方がない。
 
 
私も子供が欲しい!! それには相手が必要!! 突然結婚のスイッチが入ったのです。
 
 
お見合い結婚は嫌、理想は恋愛結婚。ですが都合よく相手が現れる事はなく、これから先もドラマの様な出会いは無さそうです。
 
 
就職した先は、男性と言えばおじさんばかり、若い男子は何処へ……
ボーッと待っていても、白馬に乗った王子様は現れそうにない。
こうなったら、自分が馬に乗って狩りに出かけていくしかない。
 
 
現実を嘆いていても仕方ない。行動あるのみ!
 
 
スイッチが入った私は、紹介してくれそうな人に結婚相手を探しているから誰かいい人がいたら紹介して欲しいと真剣に訴え。
 
 
世話好きの方がやっている結婚紹介所に足を運び。
 
お見合いパーティがあると聞けば参加。
 
 
しかし、しかし、です。
 
 
お見合いパーティでカップルになりデートをしても
紹介してもらった人とデートをしても
 
 
なんだか違う。違うのです。
残念ながらもう一度会いたいと思った人は現れず、紹介やお見合いを重ねる事12回。
 
全ては憶えていないけれど、若かった未熟な私が嫌だと思ったことは……
 
Aさん
財布がラグビーボール型の小銭入れ。硬貨と一緒に何種類かの紙幣が小さく折りたたまれ何枚も入っていました。
とにかくお金を支払う時、スマートじゃない。
 
Bさん
車に絨毯のようなものが敷かれていて、土足厳禁だったこと。
私とは趣味が合わないみたいです。
 
Cさん
ヘビースモーカーだったこと。
ごめんなさい。たばこのニオイは苦手なの。
 
Ⅾさん
最近購入したマンションの話を二時間近く聞かされることに…(ごめんなさい興味ない)
髪は寝ぐせ、歯には朝食べたであろうと推測される卵。
せめて初対面の時は、身なりは整えていて欲しいの。
 
Eさん
最近の女性は家事もろくにできないと怒っている。
ちょっと時代が古いかなぁ 結婚したら大変そう。
 
Fさん
家事も協力するので、奥さんになる人には絶対働いていて欲しい。
絶対と言われると困る。子供が小さいうちは出来れば家にいたいと思うの。
 
 
自分の事は棚に上げ、私の相手はこんな人しかいないの?
(私はいったい、何様だったのでしょうか? )
 
どんどんやる気を無くし、気分は落ち込むばかり。
 
普通の人でいいの! 普通の人 普通 普通って何??
 
 
考えてみたら、子供ができるかもわからない。誰の子でもいい訳ではない。
先ずは、一緒にいたいと思う人でなと難しいということです。
ああ……もう無理、結婚は諦めるしかない。
結婚のスイッチが入って1年半が過ぎたころ、結婚相手探しが困難であることに気づき徐々に諦めモードに。
 
 
そんな時に、父親の友達から紹介されたのがNさんです。
封筒に入った経歴と、写真。
写真を見ると、登山に行った時のものなのか? 山を背景に小さく人が写っていました。
 
 
とにかく人が小さすぎ、小さすぎて顔が全くわからない。
どうしてこれがお見合い用の写真なのだろう? どんな顔の人なのだろう? と気になり一度会ってみることにしました。
 
 
お見合いと言うほど、堅苦しいものではなかったのですが、顔がわからないという事で待ち合わせは父の友達のお家。
そちらに向かって歩いている途中、私の横をポコポコと軽自動車が通り過ぎました。
 
 
今の軽自動車だったら嫌だなぁ~ まさかそんなことは無いよね。
なんてことを思いながら待ち合わせのお宅に着くと、先程の軽自動車発見! ひぇ~ 嫌な予感的中でした。
 
 
今と違い私が若かりし頃は、男性は車好きが多く、無理してでもかっこいい車に乗る人が多かったので、軽自動車と言えば、女性が乗る車というようなイメージでした。
 
 
はじめてしっかりお顔を拝見、かっこいい訳ではないけれど、よさそうな感じの方です。
おじさんが着るようなジャンパーを着ていたのがちょっと気にはなりましたが……。
 
 
人に会うのもエネルギーがいる。紹介&お見合いも13回目、少し疲れました。この人が駄目だったら暫く休戦することにしよう。
私はとにかく今日を楽しもうと思ったのでした。
 
 
例の軽自動車に乗り向かった先は喫茶店。
よく思われなくていい、普段の自分で行こうとリラックスしたら急にお腹が空いた私。コーヒーを飲むNさんの前でしっかりモーニングをいただきました。
 
 
そして、当時上映し話題になっていたキアヌ・リーブス主演の映画を見にいきました。
映画は面白く見ている間は話す必要もないので、初デートにピッタリでした。
 
 
映画を見終わった後は、お互い映画好きという事もあり映画の話でも盛り上がりました。
今迄あった人とは違い、凄く楽しい。この人だ! 絶対にこの人を逃すわけにはいかない!
 と直感が働きました。
 
 
もう一度会いたい。デートに誘われたい。いや私から誘えばいい。
気になるおじさんジャンパーはどうする? 性格と違い洋服は取り換えることが出来るから大丈夫。
帰りにはもう軽自動車の事も気にならなくなっていました。(中からは外観は見えないし、車なんて動けばいいのよね……と言う具合に)
 
 
私の場合は直感に従い、好きか嫌いかという感情に自分が合わせていく。好きだったらどう考えたら幸せになれるのか? という事が自動的に発動されるようです。
 
 
その後順調にデートを重ね、一年後に結婚したNさんこそ、私の夫です。
自分が気に入る相手はそうそういないという事を、若い時に知ったので夫以外の人だったらもっと幸せだったのに……なんてことも思わず暮らせています。
 
 
その後、あの軽自動車はどうなったのか? と言うと…… 
結婚後、自動車税を支払う時、税金が安く軽自動車でよかった~ と嬉しくなりました。
しかし、子供が生まれたのを機に安全な普通車に買い替えました。(夫はケチだった訳ではなく、家(夫の実家)に入るまでの道が狭くて軽自動車しか選べなかったのです)
 
 
夫に知り合う一年以上前の事をふと思い出した時、ひょっとしたらこの結婚は「直感」が働くように仕組まれていたのかもと思えたのでした。
 
 
 
 
***

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2024-12-26 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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