あたり前って、どれくらいあたり前? コミュニケーション力を上げるヒント
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記事:みやび♪(ライティング・ゼミ 9月コース)
「ほうれん草は、体にいいから好き嫌い言わんと、食べなさい!」
そう子どもに言い放つ、大阪の母がいた。
他でもない私自身だ。
私もまた、同じように言われて育ってきた。
そして、この言葉が「あたり前」の日常会話だと信じて疑わなかった。
しかし、それは本当にあたり前なのだろうか?
今なら分かる。
ほうれん草が食べられなくたって、実はそんなに大した問題じゃない。
確かにほうれん草には、鉄分が豊富で体にいいとされている。
が、しかし、それを絶対的な「あたり前」として押し付けることに、どれほどの意味があるのだろう?
いったい、誰が、ほうれん草は体にいいから食べなさい、と言い始めたのだろうか。
「ほうれん草は体にいいから残さず食べるべき」
「嫌いでも、食べるのがあたり前」
という、無意識のすり込みが日々の会話に潜んでいるのではなかろうか。
小さいころはほうれん草が苦手だった我が愚息たちも、今では普通においしいと言って食べている。
もちろん、母の私も今は、さらにおいしく、たくさん食べている。
ほうれん草が好きか、嫌いか問題は、いま考えてみれば、取るに足らない「あたり前」に縛られた些細な出来事だ。
もう少し、視点が変われば、「あたり前」も変わる話をしてみよう。
ドイツの主食は、パンである。
これは、私がドイツに行ったときの話である。
いろんなお店で、プレッツェルを多く目にした。
日本では、プレッツェルというと、ハードタイプで形は同じだか、お菓子なのだ。
私はそのイメージがあたり前にあった。
しかし、ドイツでのプレッツェルは、ソフトタイプで、主食のパンなのだ。
もちろんタイプの違うパンもある。
そんなことを知らない私は、初めての時、お店屋さんで、どんなパンがほしいか、と聞かれて、プレッツェル以外のパンを答えた。
私は、自分のあたり前が、食の楽しさを狭めていたことに気づいた。
以来、塩味がおいしいプレッツェルを好んで食べた。
ことばのニュアンスは、それぞれ少しずつ違うのだけれども、私たちは、勝手に自分の中で、刷り込まれたこと、思い込んだことをあたり前のことだと思い、それを前提として話してしまう。
するとどうなるか?
さらなるケースを聞いてもらいたい。
黒色を明るい色だとあたり前に思っている旦那さんと、黒色は暗い色だとあたり前に思っている奥さんがいる。
この夫婦は、部屋をもっと明るくしようと計画をしていた。
「部屋をもっと明るくするために、壁の色を明るい色に塗り替えよう」
すると、旦那さんは、黒色のペンキを用意し、奥さんは白色のペンキを用意した。
お互いに自分のあたり前を信じ、それを前提としている行動だ。
奥さんは、黒色を明るい色だとおもっている旦那さんをおかしい人だと思うかもしれない。
私もそう思う。
これは、私のあたり前とこの奥さんのあたり前が同じだからだ。
では旦那さんは?
「あたり前」の衝突はこうして生まれる。
この二人のその後の会話はどうなるのだろうか?
想像するとちょっと怖い感じがするのは私だけだろうか?
しかし、ここまで極端でないにしろ、リノベーションの仕事をしている私は、夫婦のあたり前の感性が違う場面に、おもしろいくらい出くわす。
このようにして、私たちは、人生の中で、いろんな経験を通して、刷り込まれ、思い込んでいくことが増えていく。
そしてそれを前提として話をすることが増える。
私たちは、自分の「あたり前」を基準に物事を判断しがちだ。
しかし、それが相手にとっても「あたり前」とは限らない。
この辺りに、コミュニケーション力が上がる秘訣があるように思う。
その秘訣はシンプルだ。
相手の「あたり前」を知ること。
それを自分とどれくらい違うかを意識すること。
または、相手のそのあたり前を想像すること。
そこから始めれば、今よりもコミュニケーション力が上がるのは間違いないだろう。
そして、もう一つ大切なことは、相手の当たり前を認めること、受け入れることであろう。
これが信頼の土台となり、円滑な会話につながる。
相手の世界観を受け入れることで、より良い関係が生まれるだけでなく、違いを楽しむことができるのだ。
私は、この自分にとっての「あたり前」の違い、いわゆる意外性に触れることが好きだ。
特に子どもたちとの会話では、ほうれん草の話のように、親の当たり前を押し付けてしまうケースが多いように感じる。
子どもといえども、ひとりの人間である。
大きくなれば大きくなるほど社会性の中で、彼らには彼らのあたり前が増えていく。
そのことを知っておきたい。
実は、もっと大切なことがある。
それは、自分の「あたり前」を疑うことだ。
案外、あたり前でないことが多いことに気づくかもしれない。
何をするにもコミュニケーション力は大切だと、誰もが思うだろう。
そのためにもまずは、自分のあたり前がどのくらいあたり前なのか。
もしかしたら、まったくあたり前でないかもしれない、ということも受け入れることをオスススメしたい。
今晩、家族に尋ねてみませんか?
あたり前に「おいしい料理」ってどんな感じなのか? って。
私もこれらのことを心に刻み、コミュニケーション力をさらに向上させていこうと思う。
***
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