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CINEMAの中でヒロインになった私は、過去から解き放たれ、未来を旅する

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*この記事は、「絶対麗度ライティング」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

絶対麗度ビューティー・レコーディング・ラボ

記事:春紀 沙和(絶対麗度ライティング)
 
 
「女性として、この瞬間を悦び、愉しんでいる」
 
秘めフォトCINEMAの中でヒロインになった私は、そんな風に見えた。
 
クリーム色の繊細なレースに、赤や黄と咲く花の刺繍とアップリケが鮮やかな、お気に入りのランジェリーに身を包む。
穏やかな日差しの中、髪をかき上げ、微笑みながら、時折アンニュイな表情で画面を彩る。
 
「私だって、男に産まれたかった」
 
何度も強く思っていた私は、もういなくなったみたい。
 
 「俺、合コンでめっちゃモテるねん! 彼女すぐできた!」
と自慢する、西の最高学府に通うイケメンでもない友人達。
 
「俺は幹部候補生としての道を進んでいる。他の同期とは違うから」と大学の同窓会で誇らしげに語る、超大手企業勤務の同級生達。
 
勉強を頑張って、受験で結果を出したはずも「可愛くない」からモテない私。
 
「女性部下を持ったことがないから、どう接して良いか分からない」
「女の幸せを掴みたかったら、バリバリ仕事なんてやるものじゃないし、できないから」
 
一生懸命働きたいのに、もっと上をめざしたいのに、会社の先輩や上司にこう言われる私。
  
「大学まで同じように勉強して、遊んで、笑い合っていた男子達と、どこで、なぜ、こんなに差ができてしまったの?」
 
私が、男だったらモテていたのに。仕事ももっと任せてもらえたのに。自分の欲しいものは全て手に入れられた、はずなのに。
 
全ては、私が女として産まれてきたせい。
性別という、どうあがいても変えられないもので私を縛り付ける社会が、嫌い。
 
 「私だって、男に産まれたかった」
 
仕事に対する姿勢、上司とのコミュニケーションの取り方。仕事で自分の思い通りにいかないのは、性別のせいだけではないこと、自分の能力や性格に限界があること。それらに気づいたのは、社会人になってから数年後のことだった。
転職後、望んでいたはずの激務でメンタルと身体を壊してからは、出世欲が薄くなり、自分のペースでプライベートも大事にしながら働く方が性に合っていることに気づき、納得して働いている。
 
壊れた自分を回復させるためなのか、いつしか「女だから」などと考えることをやめ、「女性らしいもの」や美しいものを避けるようになっていた。
 
秘めフォトに参加した理由は、療養のために始めたトレーニングで鍛えた身体を、何かの形で残しておきたかったから。
 
華やかなレースや刺繍が施された、いかにも「女性らしい」ランジェリーは、異性の欲望を満たすための道具に過ぎない、と思い込んでいて、毛嫌いしていた。
 
初めて足を踏み入れた撮影現場。
 
「綺麗!」「可愛い!」「カッコ良い!」とポジティブな言葉で溢れていた。
 
緊張で顔が引きつった私のことでさえ、みんながたくさん褒めてくれる。
 
目の前に広がるのは、美しい世界。みんなそれぞれこだわりのランジェリーを身に纏い、カメラの前では、凛としながらも艶めいていた。
そこに、異性の欲望を満たすための「セクシー」は存在していなかった。
 
あの日から秘めフォトの不思議な魅力に惹き込まれ、何度も参加するようになった私。
 
回を重ねるにつれ、日常生活でも、以前のように「女性だから」と気負うことが少なくなり、ありのままの自分を受け入れられるようになった。
良い意味で力が抜け、鎧が取れるような感覚。
どんどん、女性だからこその悦びや愉しみを見出していった。
 
ジェンダー論はあえて脇に置いて。秘めフォトは、女性だからこそ愉しめる。
身体の丸みとしなやかさの中にある力強さ。
儚げで愁いを帯びた艶やかな表情。
柔和な雰囲気の中に溢れ出る、知性とセクシー。
それは全て、女性だからこそ、纏うことができるもの。
 
そして、ランジェリーにも魅せられ、お気に入りのブランドも見つけた。
というより、セクシーで美しいランジェリーとともに、自信たっぷりにカメラの前に立つ、麗しい秘めフォトの先輩たちが導いてくれた。
ランジェリーは、自信を与えてくれるもの。女性の身体に優しく寄り添い、引き立てるために、こだわってデザインされたもの。
私にとって、この上ない相棒になった。
 
参加する女性達の妖艶でエレガントなオーラが、会う度にどんどん増していく。そんな姿を見るのも愉しみの一つ。
 
「女性って、本当に美しい。女性にしか、出せない魅力がある」
 
それは、異性を虜にするためだけのものではない。
自分の心を潤し、満たすためにある。
 
誰にも見せることはなく、ずっと秘めたまま、私は女である悦びを見出し、愉しむ。
 
異性にチヤホヤされたい、男性と張り合ってバリバリ仕事をして出世したい。そんな欲望は叶わなかったけど、それはもう私の願望ではない。
 
「女性だから」と気負うことなく、卑下することもしない。
美しいものを美しいと思い、愛でる。そして時には涙を流す。
そんな自分を愛し、慈しむ気持ちを持ち得た私は、前よりも人としての深みが増している気がする。
そんな私は、きっと、前よりも美しい。
 
秘めフォトCINEMAのクライマックス。
 
ランジェリーを脱ぎ、産まれたままの姿でベッドに横たわっている。
カメラの方を真っ直ぐ見つめた後、静かに微笑む。
 
その瞬間、私は最強になった。
 
自然にこぼれる、心の底からの穏やかな微笑みは、過去のしがらみから解き放たれ、あらゆる感情を超越した証。
 
「女性に産まれてきて、良かった」
 
女性であることを悦び、愉しむ旅は、まだまだ続く。
 
 
 
 
***

この記事は、天狼院書店の「絶対麗度ライティング」にご参加の方が書いたものです。

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2024-12-28 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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