自分の文章は、誰かに媚びていないか?
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:團 雅司(ライティング・ゼミ11月コース)
政治家の発言について触れるが、これは特に政治的な意図があって書いているわけではない。
むしろ、ある衝撃的な発言に接したことで、現代のコミュニケーションの在り方について深く考えざるを得なくなった経験を共有したいと思う。「減税を実現させる。でも、財源を探すのは与党の仕事だから、自分たちの考えることではない」
—この言葉を最初に耳にしたとき、私は自分の耳を疑った。政策立案に携わる者がこのような発言をすることに、深い失望を感じずにはいられなかった。
このような無責任極まりない発言が、どうして社会で許容されるのだろうか。
政権交代や政治改革を掲げる声は確かに大きく、結果として参議院では与党が少数に追いやられた。
しかし、本当に政策の本質や実現可能性を理解した上での投票だったのだろうか。
この疑問は、政治に限らず、我々が社会参加する上での課題を突きつけているように思える。
近年、SNSの活用が上手な人物が選挙で当選するケースがあった。
その事実自体はまあ問題ではない。
SNSはあくまでもコミュニケーションの手段に過ぎず、新しい時代における政治的対話の場として機能する可能性を秘めているからだ。
問題は、その受け取られ方にある。
表面的な共感や同調だけで、政策の実現可能性や将来への影響を十分に検討せずに判断が下されているように見えるのだ。
本質を理解した上での結果でなければ、民主主義の根幹を揺るがす重大な問題となる。
投票した人々は、この結果に対して本当に責任を持てるのだろうか。
それとも、
「自分たちは投票しただけで、実現するのは政治家の責任だ」
とかいう立場を取るのだろうか。
この問いは、民主主義社会における市民の役割と責任を改めて考えさせる。
このように責任を問われると、、
「それならやはり、投票など行わないほうが良いのではないか」
という極端な結論に走る人も現れるかもしれない。
明らかに本末転倒だ。
民主主義の根幹は、市民一人一人が主体的に考え、判断し、その結果に責任を持つことにある。
現状を見ると、好き勝手な発言をばらまいて責任を取らない風潮が社会全体、特にネット空間で蔓延している。
SNS上では、自分の主張に反対する意見を一切認めず、攻撃的な態度で臨む人々が目立つ。
建設的な対話や議論ではなく、相手を貶めることに終始する言説が飛び交う。
気がつけばSNSは、非常に荒廃した場所と化し、本来あるべき「対話の場」としての機能を失いつつある。
この状況を目の当たりにして、私自身、徐々にSNSへの書き込みや閲覧を控えるようになった。
しかし意外なことに、それによる不都合はほとんど感じていない。
もともと流行に疎い性質なので、この歳になって時流から外れることにさほど困惑も覚えない。
むしろ、こうした先端的な議論から距離を置いてみると、自然とストレスが軽減されてきた。
考えてみれば当然のことだ。
「他人の書いた文章によってストレスを感じる」
という状態自体が、健全なコミュニケーションとは言えなかったのだから。
そんな中で参加しているライティングゼミでの経験は、私に新たな気づきをもたらした
ネットに公開され、誰かの目に触れることを前提とした文章を書く練習。
一見すると、SNSから距離を置こうとする私の態度と矛盾するように思えた。
しかし、この活動を通じて、文章を書く本質的な意味について改めて考える機会を得た。
結論は意外にもシンプルだった。
文章を書く本質とは、誰かに何かを伝えるため。誰かのためになる文章を書くこと。
この基本に立ち返ることで、多くの問題が解決できるのではないだろうか。
つまり、「誰かに、何かを伝える文章を書く」という大原則さえ意識していれば、決して荒んだ文章にはならない。
この小さな心がけを習慣にできれば、いわゆる炎上も避けられるはずだ。
ここで冒頭の野党政治家の発言に立ち返って考えてみる。
あの発言は、有権者から「こう言ってほしい」「こうしてほしい」という期待を、十分な検討もなく単に代弁しただけのように見える。
もし本当に自分の信念から生まれたアイデアであり、実現のための前提条件も理解していれば、あのような無責任な発言にはならなかったはずだ。
ただ有権者に耳障りの良い言葉を繰り返すうちに、その主張は空虚なものとなってしまった。
本気で政策を実現する意思があれば、減税による税収減少の影響も当然考慮に入れたはずだ。
国家運営に必要な資金の調達手段を放棄しておきながら、
「財源を考えるのは与党の仕事だ」
などと発言してしまうことの無責任さ。
これは単なる政治的な問題ではなく、文章を書く素人であっても考えなくてはらない問題でもある。
公の場での発言も、文章を書くことも、その内容に対して責任を持たなければならない。
この原則は、政治家だけでなく、SNSを利用する私たち一人一人にも当てはまる。
安易な同調や批判ではなく、真摯な対話と議論を通じて、より良い社会を築いていく必要がある。
耳障りの良い言葉は、瞬く間に人々の間に広がってゆく。
そうした言葉に惑わされた人々の未来はどうなるのだろう。
もし悲惨な結末を迎えたとき、そのような政策を支持した人々は何と言うのだろうか。
「それは自分たちの責任ではない」
と切り捨てられた市民は、どのような思いを抱くのだろう。
このようなディストピア的な未来を避けるためにも、私たちは自分の言葉と行動にもうすこし気を遣うべきだろう。
SNSをはじめとする新しいコミュニケーションツールを、より建設的な議論の場として活用していく知恵が、今求められているのではないだろうか。
***
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