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ストレスフリーの帰省術:家族全員がwin-winになる方法


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:エミリー(ライティング・ゼミ9月コース)
 
 
「そろそろ新幹線のチケットを取らないとな……」
 
夫がぽつりと漏らした言葉に、私は少しだけ心がざわついた。
 
義両親のいる夫の実家に行くのは、正直なところ、私にとって少し重たい行事だった。
 
もちろん、義両親は優しいし、孫をとてもかわいがってくれる。
 
だけど、それでも私は義実家に行くとき、どうしても肩の力を抜けない自分がいる。
 
自分の振る舞いを気にしすぎてしまうし、どこか「嫁としてこうあるべき」という役割を演じているような感覚がつきまとってしまう。
 
同時に、夫もまた気を遣っているのが分かる。
 
私が緊張しているのを感じ取って、彼自身が「妻と親の間でうまくバランスを取らなきゃ」と思っているのだろう。
 
そんな夫の様子を見て、帰省が「家族のための時間」ではなく、なんとなく「義務的な行事」になりつつあることに気づいた。
 
「このままじゃいけない!」
 
そう思ったのが数年前。お互いにストレスを感じる帰省を見直し、新しい方法を模索することにした。
 
 
そしてたどり着いたのが、今の帰省スタイルだ。
 
私たちが選んだのは、夫婦それぞれが自分の実家に子どもたちを連れて帰省する、という形だった。名付けるなら「ワンオペ帰省」といったところだ。
 
 
私が自分の実家に帰省するときは夫は来ない。その代わり、夫が義実家に帰省するときには私が行かない。
 
最初にこの案を夫に話したとき、正直少しだけ緊張した。
 
「変に思われるんじゃないか」「自分だけ楽をしていると思われるんじゃないか」といった不安があったからだ。
 
けれども、夫は意外なほどあっさりと賛成してくれた。
 
「それ、いいかもしれないね。オレも、自分の実家でもママの実家でも気を遣わなくて済むし」と言ってくれたとき、ほっとしたのを覚えている。
 
そして実際に試してみたら、このスタイルは私たちにとって思いのほか心地よいものになった。
 
例えば、夫が義実家に子どもを連れて帰省している間、私は家で一人の時間を満喫できる。
 
スパやマッサージに行き、ひとり静かに癒しの時間を得たり、読みたかった本に没頭したり、時には何もせずただぼんやりと過ごすこともある。
 
日常の喧騒から離れたこの時間は、私にとってまさに「贅沢なひととき」だ。
 
そんな時間を持つことで、また次の日から頑張ろうという活力が湧いてくる。
 
一方、夫も義実家での時間を楽しんでいるようだ。私がいないことで、彼自身もリラックスして過ごせるのだろう。
 
義両親もまた、私に気を遣う必要がなくなる分、純粋に息子と孫たちとの時間を楽しめるようだ。
 
これが双方にとって最適な形になったのだと思う。
 
逆に私が実家に帰省する際も、夫は家に残る。
 
私の両親は「娘と孫だけが帰ってきてくれることが嬉しい」と言ってくれるし、私もまた気楽に過ごせる。
 
両親と子どもたちだけで過ごす時間は、特別な思い出を作るきっかけにもなっている。
 
このスタイルには、家族全体の幸福を増やす多くのメリットがある。
 
まず、夫婦間のストレスが大きく減った。
 
以前はお互いに「パートナーの実家で良い嫁・良い夫を演じなければ」と無意識に感じていたけれど、それがなくなったことで、帰省そのものを心から楽しめるようになった。
 
そして、子どもたちにとっても、祖父母との絆を深める貴重な時間となっている。
 
また、夫婦それぞれが「自分だけの時間」を持てることも大きなポイントだ。
 
日常生活では、仕事や家事、育児に追われ、自分自身のための時間を取るのが難しいことも多い。
 
だからこそ、こうした帰省のタイミングで意識的に「自分を休める時間」を作れることは、心と体のリフレッシュにつながる。
 
さらには、数日ぶりに会った子どもたちがいつもよりも可愛く感じされるようになった。
 
一方で、このスタイルを実現するためには、夫婦間の信頼とコミュニケーションが重要だ。
 
私は夫が義実家で子どもたちをしっかり見てくれることを信頼しているし、夫もまた私が実家で子どもたちを任されることを信じてくれている。この信頼感があってこそ、この方法が成り立つのだと思う。
 
さらに、帰省スタイルを変えたことで得られた意外な効果もある。
 
それは、家族の会話が増えたことだ。
 
例えば、夫や子どもたちが義実家から帰ってきた後、「親戚のお姉ちゃんが遊んでくれたよ」「初めてきしめんを食べたけど、すごく美味しかった」といった話をしてくれる。
 
私も実家から戻ったときには同じように、帰省のエピソードを夫に共有する。こうして互いの家族の状況を知ることで、義実家や実家への親しみも自然と深まっていくのを感じる。
 
もちろん、この方法がすべての家庭に合うわけではないだろう。
 
でも、少なくとも私たちにとっては、これがベストな選択肢だった。
 
家族全員がそれぞれの役割を果たしながら、それぞれの幸せを追求する。
 
この柔軟な考え方こそ、家族が健やかに、そして笑顔でいられる秘訣なのかもしれない。
 
「帰省」と聞いてため息をついてしまうすべての人に言いたい。
 
「こうあるべき」という固定観念を手放して、自分たち家族にとって最適な形を探してみてほしい。
 
それがどんなものであれ、きっと新しい幸福を見つけることができるはずだから。
 
 
 
 
***

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2025-01-09 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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