メディアグランプリ

書くことは味わうこと

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:Motobu(ライティング・ゼミ9月コース)
 
 
パソコンの画面に向かい、キーボードに手を置く。しかし、指は動かず、言葉は出てこない。「なぜ書けないのだろう?」と自問する日々。それでも、書きたいという想いだけは消えなかった。この記事は、そんな私がAIとの出会いを通じて「味わう時間」の大切さに気づき、文章を書くことの意味を見つけた物語だ。
 
「どうしても表現したいことがあるのに、うまく言葉にできない」という葛藤を抱えながら、私はライティング・ゼミに参加した。数回目の受講となる今回は、特別な体験が待っていた。それは、文章の作成にAIを取り入れたことだ。
 
最初は半信半疑だった。「AIが私の思いを表現できるなんて、本当に可能なのだろうか?」という疑問が心の中を占めていた。だが、試してみると、その懐疑は驚きへと変わった。
 
AIは私の曖昧な言葉の断片を拾い上げ、それを整理し、新しい視点を与えてくれる。それは、霧の中に隠れた景色が次第に明らかになるような感覚だった。私が頭の中でぼんやりと考えていたアイデアが、AIの手を借りることで明確な形を帯びていく。その瞬間、自分自身の可能性が広がったように感じた。
 
AIは効率的なツールだ。例えば、文章を骨格から再構成する提案をくれることもあれば、私が見落としていた視点を補ってくれることもある。この新しい相棒が加わったことで、私の執筆活動は確かに進化した。文章の完成度が上がる喜びを何度も味わった。
しかし、ある日、私は立ち止まることになる。AIの力を借りても、肝心の「書く」という行為が進まない時期が訪れたのだ。
 
仕事や家事に追われ、日々の忙しさの中で、自分の中の「創作意欲」がしぼんでいることに気づいた。「書く」とはただ技術を駆使するだけでなく、感情を形にする行為だ。どれほど優れたAIがいても、そこに込める感情や思考は人間自身が紡ぎ出さなければならない。
 
このことに気づいたのは、ある日の何気ない会食の出来事だった。先輩が高級腕時計を自慢げに見せびらかす場面に出くわした。私はその瞬間、胸の奥に違和感を覚えたが、それをすぐに言葉にすることができなかった。その後、この経験を記事にしてみようとパソコンの前に座り、その場面を何度も思い返した。そして、違和感の正体を掘り下げ、味わってみた。
 
すると、その感覚は、父が愛用していた古びた腕時計の記憶と繋がった。父の時計には小さな傷がいくつも刻まれていた。それは、困難な状況に立ち向かいながらも諦めなかった父の人生そのものを映し出しているようだった。この思い出が浮かび上がった時、会食で感じた違和感が「父への敬意」という大切な感情と重なり、一つの記事へと昇華した。それが「小さな壊れた腕時計」という作品だった。
 
この経験を通じて気づいたことがある。文章を書く原動力は、私たちが日々味わう「感情」や「思い」にあるということだ。それをじっくりと味わう時間こそが、創作の真髄を支えている。
 
AIは優れたツールだ。しかし、人生の一瞬一瞬を味わう力は、私たち人間にしか持ち得ない。例えば、春の桜の香り、大切な人との別れの切なさ、何気ない日常に紛れた喜び。それらは、私たちが五感を通じて体験し、心に刻み込むからこそ意味を持つ。
「味わう時間」を確保し、小さな感情の種を育むことで、私たちは驚くべき発見に導かれる。その種は、根を張り、予期せぬ花を咲かせる。例えば、何気なく聞いた音楽が過去の記憶を呼び覚まし、新しい文章のアイデアを生み出すことがある。日々の生活の中で「感じる力」を養うことが、文章に深みを与える鍵なのだ。
 
私は今、「味わう時間」を意識的に取り入れるよう心がけている。たとえば、通勤時間にはスマートフォンを閉じ、周囲の景色をじっくり眺める。カフェでは静かに本を開き、自分の内面を見つめる。こうして蓄えた感情や思いをAIと対話しながら整理し、文章へと形にしていく。
AIの力を借りることで、文章は確かに効率よく洗練される。しかし、AIが提示するのはあくまで補完であり、核となるのは、私たち自身の「味わう力」だ。人間の感性が豊かであればあるほど、AIの力を最大限に引き出すことができる。これこそが、人間とAIが共存する新しい創作のかたちだ。
 
文章を書くという行為は、人生を深く味わうことと同義だ。
 
忙しい日々の中で「味わう時間」を確保するのは簡単ではない。しかし、それは私たちが人間らしく生き、創造的であり続けるための必要不可欠な営みである。
AIがどれほど発展しても、人生の瞬間を五感を通じて感じ、記憶し、形にすることができるのは、私たち人間だけだ。その特権を大切にしながら、AIという新しい力を活用していく。そんな新しい創作の在り方を、これからも探求し続けたい。
 
あなたも、今日から少しだけ「味わう時間」を意識してみませんか?きっと、それがあなたの文章を、そして人生をより豊かにしてくれるはずです。
 
 
 
 
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2025-01-23 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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