メディアグランプリ

寄り道をこれからもしたい理由


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:うさごろう(ライティング・ゼミ9月コース)
 
 
「もしも、明日でこの世が終わるならどう過ごす?」
 
こんな質問をされたことがあった。
やり残したことはないか考える人もいれば
いつもと変わらず過ごそうと考える人もいた。
 
私は、いつもと変わらず過ごすと答える人にどちらかというとあこがれていた。
それは、現状に満足している証のように見えたからだ。
 
しかし、人間の本質はそう簡単には変わるものではなく、
私は、ライティングゼミの最終投稿を目前にやり残したことはないか考えていた。
4か月続いたゼミもこれが最後の投稿だと思うと、
名残惜しい気持ちから、今までにない行動に出た。
 
それというのは、自分以外の方の投稿を読みふけるという行為だった。
自身の投稿で必死だったのもあって、いままで他の方の投稿をあまり見る余裕がなかったのだが、理由はそれだけではなく、
 
ちょうどゼミが始まった頃、好きな作家さんの昔のインタビュー動画を目にしたとき
「私、自分以外の本は読まないの」と言っていたことも影響していた。
 
いつものパターンとして、木曜日辺りまでは余裕、金曜日から焦りはじめるのだが、今回はいつにない行動のせいで劣等感という感情までが加わり、いつも以上に苦しむことになってしまっていた。
しかし、他の方の投稿を見て感銘を受けた時間に後悔はしていない。
 
それに人間と言うのはそう簡単には変わることはできないのだ、
私はこの面倒な性格をこれからもしょっていかねばならないのなら、
この特性とうまく付き合っていくしかない。
 
そう決心したときに思い浮かんだのは
予定が3つほど詰まっていたある日のことである。
病院に行き、スポーツクラブに行ったあと最後は美容院に行っておわる予定だった。
計算でいけば、その隙間時間にあるカフェに立ち寄るつもりだった。
日本最古の、名だたる文豪が肩を並べたことでも有名なカフェ、
そこで本を読みながら看板メニューを食べたいという願望を兼ねてから抱いていた私は、
カフェに寄るのを暗に一番楽しみにしていた。
 
ところが、その日の予定は最初から頓挫した。
健康診断の結果を聞くだけのはずだった病院で採血をされてしまったのだ。
予期せぬ展開に予想以上に疲れて出発の予定時間が大幅にずれた。
スポーツクラブの予定をはしょり、目的地に着いたのは美容院の30分前だった。
 
普通なら、そこでカフェをあきらめるところだが、例のやり残したくない本能と、
ある友人の顔が頭に浮かんだ。
次の瞬間、私は後押しされるように店に飛び込んでいた。
 
「30分しか滞在時間がないんですが、このメニュー出来ますか?」
「はい、すぐ出ますよ」
ホールのスタッフは慣れた様子で答えた。
旅行客も多いこの店では、もしかするとよくあることなのかもしれない。
 
上着を脱いで、荷物を置き、キッシュとコーヒーが来るまで、本を手にした。
この本を書いた文豪が、もしかすると実際この地でペンをとっていたかもしれないと思うと心は激アツだった。
 
そのうち、注文品が運ばれてきた。
キッシュは熱かったが、昔、ラーメンはハフハフしながら食べるのが美味しいといっていた母の言葉が脳裏に浮かび、キッシュの熱さにめげることなく食べた。
 
コーヒーは、その店名物のブラジルのコーヒーだったが、昔もらったブラジル土産のコーヒーの味に似て飲みやすく懐かしい思いがした。
 
気付けば、私はたったの30分で1~2時間分楽しめていることに気付いた。
これは、どういう現象だろうか。
タイムリミットがあることにより、一刻一刻が貴重になり集中力も高まったからより楽しめたのではないかと思った。
こうなってくると、自分の特性も捨てたもんではないと思えてくるし、
頭の中で、私が勝手に登場させた友人にもお礼を言いたい気分である。
 
時間の使い方が上手いというよりは、楽しむ感覚に優れているその友人は、
目的地があるとすると、そこまでの寄り道を沢山盛り込むのだが、
私やほかの友人もそれに身を任せるのが嫌いじゃない。
本人は無意識のようだが、本能でそこに楽しみがあることを知っているようで、
彼女と一緒にいると新しい発見を今まで何度もしてきたからだ。
そして、どうやら私たちは類友らしい。
 
予定を遂行することや、時間を守ることは大事だと思う。
しかし、それに縛られるのではなく、
寄り道や隙間時間をより楽しむための手段として、目標や予定を立てていくスタイルがあってもいいのではないだろうか。
 
そして、このゼミの最終投稿が終わったあとは、書くことは勿論、読むことも今よりも楽しくなっているに違いない。
 
 
 
 
***

この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

お問い合わせ


■メールでのお問い合わせ:お問い合せフォーム

■各店舗へのお問い合わせ
*天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。


■天狼院書店「天狼院カフェSHIBUYA」

〒150-0001 東京都渋谷区神宮前6-20-10 RAYARD MIYASHITA PARK South 3F
TEL:03-6450-6261/FAX:03-6450-6262
営業時間:11:00〜21:00


■天狼院書店「福岡天狼院」

〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階
TEL:092-518-7435/FAX:092-518-4149
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00


■天狼院書店「京都天狼院」

〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5
TEL:075-708-3930/FAX:075-708-3931
営業時間:10:00〜20:00

■天狼院書店「名古屋天狼院」

〒460-0002 愛知県名古屋市中区丸の内3-5-14先 レイヤードヒサヤオオドオリパーク(ZONE1)
TEL:052-211-9791/FAX:052-211-9792
営業時間:10:00〜20:00

■天狼院書店「湘南天狼院」

〒251-0035 神奈川県藤沢市片瀬海岸2-18-17 ENOTOKI 2F
TEL:0466-52-7387
営業時間:
平日(木曜定休日) 10:00〜18:00/土日祝 10:00~19:00



2025-01-23 | Posted in メディアグランプリ, 記事

関連記事