デブの素はオシャレに攻めてくる
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:まこと(ライティングゼミ11月コース)
「運動に対して栄養が足りないので、食べる量をもう少し増やせませんか?」
ジムのトレーナーさんによるカウンセリングで指摘を受ける。
僕はガリガリ体型で疲れやすく、体調も頻繁に崩す。なので体力をつけて、シンプルに「元気な人」になるのが目標なのだが、なかなか目標体重に届かない。
世の中の通念として「美味しいものは食べたいが、食べれば太る。太るは万病の元であり、見た目も麗しくない。ゆえに、人は肥満に悩むものであり、何にも優先して太ることを避けるのは絶対的な正義である」とされている。
そんな通念の下で、こんなこと言うと嫌味に捉えられる向きもあって困るのだが、僕は四十数年生きてきて「痩せたい」という希望を持ったことが一度もない。
どちらかと言えば、「もっと食べたい」という場面でも腹がはち切れそうで諦めたり、無理して詰め込んで気分が悪くなって後悔したり、下痢になったり吐き戻したりするのを今でも繰り返している。
実際このような体質の人は、風邪をはじめとした病気を貰いやすいわ、駅の階段を登ってもすぐに息が切れるわ、冬は寒いわ、何にもましてメンタル的に「やる気」が起こりにくいというデメリットだらけである。
このように、「見た目が細い」というのは必ずしも「健康である」ことと両立するものではない。でも「太る=不健康で悪」というドグマによって、それと対立する「細い」が過度に「健康で正義」として祭り上げられるのはどうにかならんもんかね。
また、男に生まれれば誰でも一度はデカくてマッチョな肉体に憧れはするので「細くて羨ましい」などと言われるのは、こちらからしてみたらコンプレックスを突かれるだけだし、「健康で元気な自分」というのが何よりも貴重な資産であることに気づいてほしい。
「食べられないんですよね。コンビニのおにぎり2個でお腹いっぱいなんです」
「うーん……。では液体で栄養補給しませんか? 『甘酒』とか間食にどうでしょう? かなり優秀でして、スポーツ選手も栄養補給に使います」
なるほど……。液体なら水筒で持ち歩いてこまめに補給することもできるかもしれない。そして「甘酒」は目から鱗だった。確かにコメそのもので、栄養満点には違いないよな。
さっそく甘酒を生活を取り入れることにしたのだが、その一方で「液体の栄養」という観点を手に入れてしまったことで、逆に普段「太っている」「痩せたい」と口にしている友人や同僚たちがどんな「液体」を飲んでいるのかに目が行くようになり気づいたことがある。
彼らは必ずと言っていいほど、牛乳入りの液体、味つきの液体、流行ってるオシャレな液体、これら3つのうちのどれかに該当する液体を仕事中でもそれ以外でも傍において摂取していることが多い。
スタバではカフェラテを頼み、コンビニではジュースを買い、ホイップクリームとかが乗ってるようなオシャレ飲料は当然のように滑らかに注文できる。絶えずエネルギーを身体に送り込んでるわけだから、そりゃ太りもするわな。
自分はといえば、コーヒーはブラックが好きだし、コーヒー以外は水くらいしか飲まないし、ペットボトルのお茶も買わないし、オシャレな飲み物なんて注文の仕方すらわからない。そんな調子だからガリガリを脱せない、味とカロリーへの意識の高さが圧倒的に違うのだと深く反省してみる。
トレーナーさんに尋ねる。
「あの、液体での栄養補給の話ですが、流行ってるタピオカ入りドリンクなんてどうなんですかね?」
「あ、いいですね! めちゃくちゃ優秀なエネルギー源です。よく売ってますしね」
「コーヒー飲みたいときは?」
「カフェラテにしましょう。99%牛乳ですから」
「なんかオシャレなクリーム乗ってるやつは?」
「んー、精製された砂糖入りのものは避けた方がいいでしょう」
「あの……
逆に考えると、痩せたい人は『牛乳』と『甘くてオシャレな液体』を
辞めたら効果あるってことですよね?」
「牛乳は確かに高カロリーではあります。気になさる方はブラックで。
でも『甘くてオシャレな液体』の方が遥かにヤバいです。
噛まずに砂糖ガブ飲みしてるだけですからね。
流行っててオシャレなやつは大体デブの素です」
結局、甘酒は継続するには手間がかかるので、無糖のタピオカ入りドリンクを仕事の合間に買いに行って、間食として一日一回飲むようになった。結果は自分でも驚くくらい良好で、トレーニング翌日に襲われる猛烈な眠気とだるさが軽くなり、疲労回復も早い気がする。
メンタルにも好影響があった。今まで僕が感じていた身体のだるさや、気分のムラ、いわゆる「元気のなさ」といったものは、少食でも工夫して適切に栄養を取れればもしかしたら克服できるのでは? という自信を持てるようになったのだ。
どうも僕が「タピ活」をしているという話になって同僚が声をかけてくる。
「私も飲みたいから、一緒に買いに行こうよ」
足りない栄養を補給してる僕と、単に飲みたいだけのお前じゃ大分意味が違うが大丈夫か? まあ、こういうカロリーへのあくなき向上心は、僕も見習った方がいいのかも知れないけど。
とはいえ、だ。
「お前さ、デスクに置いてあるペットボトルのカフェラテ、あれ甘いやつだろ?
せめてタピは無糖にしなよ」
「そんなヤバい? 大丈夫でしょ」
彼女の健康が心配だ。
そして、この文章の読者諸氏に置かれては、どちらかというと「太りたくない」方が多いであろうという前提で、「液体の栄養」について強調して終わりにしたい。
とりあえず流行ってる液体、味のついてる液体は全部栄養満点だ。何しろ噛まなくていいから食べたうちにカウントされないという「飲み物だからカロリーゼロ」的なイリュージョンが罠だ。
あいつらはどうぞお召し上がりくださいとオシャレに着飾って攻めてくる。
僕みたいに「食事だけじゃ栄養が足りてない」人ならまだしも、しっかり食事できてるのに、牛乳入り・味つき・流行っててオシャレな液体を買うクセのある方は「食事以外でおにぎり1~2個分は余計に」栄養取れちゃってるのでご注意くださいね、と言い添えておく。
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