メディアグランプリ

オタク女子、デートで凍りつく


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記事:アオノスミレ(ライティングゼミ・1月コース)
 
 
「欲しいものがあったら、なんでも好きなものを買っていいよ」
 
結婚相談所で知り合った婚活男子に、デート中にこう言われ、私は凍りついた。なぜなら、そこはオタク御用達のアニメショップ・アニメイトのBLコーナーの前だったからだ。
 
そして思った。これは腐女子を炙り出すための踏み絵なのだろうか、と。
 
私はBL大好きオタク女子。いわゆる腐女子と言うやつだ。そして、腐女子であることで嫌な思いをしてきた。そのため、江戸時代の『隠れキリシタン』のごとく、腐女子であることを隠し続けて生きてきた『隠れ腐女子』なのである。それなのに、なぜバレた。
 
BLコーナーの前で、動揺して心拍数が上がりまくる私。そんな私にBLをプレゼントしようと横でニコニコしている婚活男子。
 
いくらBL大好き腐女子でも、男性からBLをプレゼントされて喜ぶ腐女子はいない。と言うより、男性と一緒にBLコーナーに来たくない。ましてや、結婚相談所で知り合った婚活男子となんて、ありえないでしょう!
 
なぜ? なぜ? なんで、BLをプレゼントしようとしてくるの〜!
 
焦る私の頭に、同じく婚活中の女友達の言葉が浮かんだ。
 
「気になることがあったら、変な妄想に走らないで、フラットに聞いたらいいよ」
 
私は動揺を抑えつつ、勇気を出して婚活男子に聞いてみた。
 
「な、なんでさ。アニメイトに来ようと思ったの?」
 
婚活男子の言い分はこうだ。デートだし、女の子が喜びそうなものがいっぱい売っているお店で、女の子が喜びそうなものをプレゼントしたかった。アニメイトは女性向けのアニメショップで、自分が知ってる女の子が喜びそうなものが売っているお店といったら、それはアニメイトだ。そして、女の子が好きなものといったらBLだ。
 
私は、衝撃のあまり、あんぐりと口を開けてしまった。
 
この婚活男子、オタクだ。しかもかなり重度の。しかし、オタクと言うことを鑑みても、頭の中が偏りすぎだろう。女の子が好きそうな店=アニメイト。女の子が好きなもの=BL。その知識は一体どこから仕入れたのだ。
 
しかし、私を喜ばせようとない知恵絞って頑張ってくれたのか。発想がかなりおかしいが、ちょっと可愛いかもしれない。もうちょっと付き合ってみるか。私の友人の一言で命拾いをした婚活男子であった。
 
その後もオタク婚活男子とのデートは続いた。
 
「ウィンドウショッピングしたいな」と言ったら、連れて行かれたところは、プラモ屋、ゲーム屋、ゲーセンであった。連れていかれたゲーセンは、コアなゲーマーが集まる玄人向けのゲーセンであった。格闘ゲームマニアの男子たちがゲーム機の前で死闘を繰り広げる、その異様な雰囲気につい「ここって、地下闘技場か何かなの?」と聞いてしまった私である。
 
しかし、よく考えれば、女子なれしていないオタク男子にウィンドウショッピングなんて、曖昧なことを言った私にも非がある。それからはデートの場所は、「○○に行きたい」と具体的に言うようにした。
 
別のデートでは、おしゃれしてパンプスを履いていた私は歩き疲れて、「ちょっと座って休みたいな」と言った。それを聞き、オタク婚活男子が連れて行ってくれたところは、ゲーセンであった。「は?」となる私に、オタク婚活男子はゲーセンの隅にあるベンチを指差し、「ここ座れるよ」と言ったのであった。
 
いや、女子の言う座って休みたいは、カフェとかで休みたいってことなのだよ〜。コイツに曖昧な表現は本当にダメだと学んだ私は、それからははっきり「カフェで休みたい」と言うようになった。
 
デートで手を繋いで歩いたときは、パンプスを履いた女子の歩くスピードに合わせられずに、すごい勢いで歩くため、私は電柱に激突しそうになった。生垣に突っ込んだこともある。私は親戚の家で飼っている柴犬のことを思い出した。その柴犬は、人間のペースに合わせず、好き勝手に走っていくため、散歩させる方はあちこち引っ張られて、それはそれは大変なのだ。コイツは、あの散歩が下手くそな柴犬と同じだ〜。
 
オタク男子との手繋ぎデートで命の危険を感じた私は、それ以来、腕を組んで歩くことにした。これだと相手をガッチリとホールドできるので、自分のペースに合わせて歩いてもらいやすい。
 
これは私の体験である。婚活で色々な人に会うと言っても、ここまで変な男子に当たることはないだろう。しかし、自分の常識は相手の非常識だったりする。相手の行動に驚いて、おかしな妄想に走ることだってあるだろう。自分がして欲しいことと全く逆のことをされて、イラつくこともあるだろう。しかし、エスパーでもない限り、誰だって知り会ったばかりの人間が考えていることは分からない。だから、自分から言うのである。「ここに行きたい」「こうしたい」「どうして」と。
 
そう、そして私はこのヘンテコオタク男子と結婚した。
 
全ての婚活女子に幸あれ!!
 
 
 
 
***

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2025-02-06 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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