AIとスキマバイトが運営する今風レストランは最高の読書スポット
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:まこと(ライティング・ゼミ11月コース)
配膳ロボットすらいない、スキマバイトだけで運営される未来の(いや、当世風のディストピアかな)レストランを体験してみたければ東京・渋谷に行こう。5つのビックリが待っている。
昨今、東京は観光客だらけで、ちょっと休憩しようにもカフェが常に満席で、どうにもならないと「カフェ難民」なる言葉も出てくるくらいだ。それなのに、今回ご紹介するレストランは駅直結・綺麗でピカピカ、それなのにガラ空きと、まさに穴場と言って差し支えない。
そのレストランは、ある大規模商業施設の中にフードコートとして設置されている。
このエリアは「ハチ公」とか「スクランブル交差点」みたいな、いわゆるアイコン的な「渋谷」と比べるとかなり落ち着いている。その近辺で勤めている人たちが中心の、大人な裏渋谷といった雰囲気の場所を不動産デベロッパーが再開発した。
そのフードコートは、とにかく入りにくい。
入り口にはバイトのお姉さんが2名、常時スタンバイして談笑しているのだが、片付けの要因なので案内はしてくれない。
入り口にある液晶ディスプレイに「このフードコートの使い方」の動画が流れてるっぽいことに気づく。再生途中から見てしまった人は、リピートされるから動画が頭に戻るまで待つべし。
この文章では、動画の内容を要約しておこう。
「先に席をとり、テーブルのQRコードで注文せよ」
なるほど。
ここで、広いフードコートを見渡し、メシ時なのに空きテーブルが異常に多いことに一度ビックリしよう。本当に渋谷のど真ん中だろうか?
席に着いたらテーブルに置いてあるQRコードでメニューを見て、もう一回ビックリしよう。ピザ1枚3,000円、ラーメン1杯1,500円、フライドポテト1皿900円……。
なんてことだ。インフレ経済に転換したとは言っても、僕の給料は変わっていない。まぁ、こんな静かな環境でゆっくり食事ができるならそれも悪くないかと思えたら、フードコートを取り囲む各店舗を見て回ってみよう。3回目のビックリができる。
厨房で働いているのは皆高校生くらいのアルバイトの人たちで、学園祭よろしくきゃっきゃと楽しそうに仕事をしている。「おいおい大丈夫か」などと思うことはない。昨今このような飲食業は「セントラルキッチン」といって、工場でパウチ詰めした料理を現場で温めて出すだけである。
なんとなく納得したら実際に注文してみよう。
全てQRコード経由でスマホ注文するので、キャッシュ派の方はそもそも食事ができないのでご注意。
フードコートには「唐揚げ屋」もあるが、なぜか普通の唐揚げはなく「唐揚げおろしポン酢のせ」しかない。残念なことに、ここから「おろしポン酢を抜く」といった注文はできないので、普通の唐揚げは食えない。
同様に、特定アレルギーのある人が「これを抜いて欲しい」といった注文もできない。細かいアレルギー表記はなく、ホールには店員さんはいないし、厨房の店員さんもバイトなので質問には答えてくれないので、これもご注意。
さて注文はできただろうか。
食事の用意ができるとスマホに通知が飛んでくる。
ここで4度目のビックリ体験ができる。
注文したメシが別の店のカウンターに並んでいることがある。
何を言ってるかわからないだろう。
ラーメンが唐揚げ屋のカウンターに、サンドイッチが寿司屋のカウンターに、といった具合の現象が起こる。
尚、繰り返しになるが店員さんは淡々と注文をさばくだけなので、律儀にラーメン屋の前で受け取りを待っている人に対して「お客様のラーメンは寿司屋のカウンターにございます」とは教えてくれないので、これもご注意。
実際にそんなこと言われても「は?」だけど。
さて、食事を乗せたトレイを持って席に戻れただろうか。
食べてみたら5度目のビックリを体験できる。
美味しくないのだ。
1,500円のラーメンは湯切りが甘くてお湯の味がする。
3,000円のピザは小さい。
おろしポン酢のかかった唐揚げは異常にしょっぱい。
まあ、全部バイトだけで回してるんだからそんなもんなのだ。
さて、僕はこの不名誉にもガラ空きの穴場と化してしまった渋谷一等地のフードコートを悪く言って、皮肉っぽく不満足な食事についての愚痴を言いたいのではない。
かといって「デジタル化 vs 人間」の構図を煽って「やっぱり人間がやらねば」という主張をする気もない。
今、至る所でこういう「合理化されてるから我慢」と「人間がやるから柔軟」というバランスのせめぎ合いが起きている。
このフードコートの場合、受発注の全てをデジタル化、厨房をスキマバイトで埋めて、お客さんがセルフで配膳するという方式で運営している。本来ならその合理化の恩恵を「安い」とか「便利」とかで、お客さんが享受できないといけない。
でも金額設定が高く、味も不味く、不便で、学園祭レベルのオペレーションだから評判が悪い。当たり前だ。
結果、ガラ空きになり、利益も出ず、インフレを言い訳に金額を上げ、オペレーションはますますバイトに依存せざるを得ない悪循環に陥っているように見える。つまり「せめぎ合い」のバランスが悪く、その敗者側のサンプルになっている。
こういったデジタル化で、消費者にとって一番厄介なのは、改善について誰にも文句をいえないことだ。人間の店員だったら「店長呼んでこい!」なんてことも言えるけど、無人店舗だとせいぜいGoogleのレビューで叩くくらいしかできない。
叩いたら叩いたで、AIが「この文章はレビューに不適合」なんて判断して排除してくる。このような横暴は、あらゆるところで増殖している。
僕たち消費者にできることは「不買」なり「二度と行かない」なりで廃業や改善を待つだけなのだろうか?
僕の考えは真逆で、大いに利用することを推奨している。
おすすめの利用方法は「とにかく長居」だ。何しろ失敗してる店は不人気で空いているから別に迷惑にならない。静かな環境で読書も仕事もし放題だ。
席だけ取ってマックでハンバーガーを食って帰ってくるという荒技も試したが、何も言われなかった。スキマバイトの人たちは、そこまでの責任を負っていないので注意なんてしに来ない。
責任者みたいな人が注意しにきたら、むしろそこがチャンスだ。バランスの悪いデジタル化の弊害と、不便、不都合を人間に伝える機会のために、僕は改善案のメモをいつでも渡せるようにしてある。
***
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