化粧と生命力
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:志村幸枝(ライティング・ゼミ1月コース)
「なんかしっくりこないな」
私は手持ちのアイシャドウが似合わなくなってきて、途方に暮れていた。
大学生の娘の肌と対峙していたら、こちら世代に必要なのはベースメイクの探求であると悟った。アイシャドウ云々よりも、まずは土台作り。透明感あるように仕上げれば、プチプラコスメもそれなりにしっくりくるだろうと、スマホ片手に情報収集してみた。すると一度のタップで、ストーカーみたいに追い回された。「シミが嘘みたいに消えるファンデ」とか「ひと塗りで陶器肌」みたいな広告が私に付きまとう。自分から探して近づいたくせに、そっちからガツガツ来られると冷めてしまう。そんなことに辟易して思考が停止した。結局、ますます途方に暮れた。
見たくないシミは消し、足りないツヤは補いたい。
はたして、そんな都合のいいものがあるのだろうか?
娘のアドバイスを聞いてみようとも思ったが、彼女は消したいものがないから参考にならない。さらにツヤに対しては、おそらく目指す方向は真逆のベクトルだ。彼女は若さゆえのテカリを消したい。私はこの際テカリでもいいからツヤを出したい。「生命力」と「ツヤ欲求」は反比例する。足して2で割れたらいいのに。
そんなことを思っているとタイミングよく、自分が目指したい感じのツヤ美肌の持ち主に出会った。すかさず、何を使っているのか聞いてみた。するとそれはデパコス(デパートで売っているコスメ)の化粧下地だった。シミを消すようなカバー力はないが、光を反射させて内側から輝くように見える肌をつくる、みたいな感じのものだった。手持ちのコンシーラーと組み合わせたら、自分が求める「都合の良いいい組み合わせ」になりそうだ。とっておきと思われるその飛び道具を駆使したならば、ツヤ美肌さんに見た目だけでも追い付けそう。前のめりになって情報をメモした。
「見た目だけでも」といったのには理由がある。
ミラーニューロンという言葉をご存じだろうか?
他人の行動を見たり真似たりすることで、自分の脳内で同じ動きや感情が活性化する神経細胞のことを言う。たとえば、一緒に暮らす親子のしぐさが瓜二つなどはその典型だ。ほぼオートマティックに稼働しているようで、望むとも望まなくとも、そっくり似てしまうのが何とも言えないところだ。これは自分の経験だが、10数年ぶりに合った祖母の、超絶日常的な「畳の上のごみを拾う」というしぐさが、母親とそっくりだったのには衝撃を覚えたくらいだ。
「形から入る」という言葉があるが、これはまさにミラーニューロンを利用してのことで、化粧にも当てはまるのではないかと思えた。
アイシャドウがしっくりこないことから始まったベースメイクの探求は、それなりになりたい肌に近づけてくれた。そこで気が付いたのは、自分にとって「ベースメイクでツヤを出したい」というのは、「生命力があるような見た目になりたい」と同義だということ。
というのも、私は20数年、漢方相談を仕事にしている。漢方医学は自然淘汰の過程で磨かれ、数千年の歴史の中でその素晴らしさは既に証明されている。それでも「腑に落としたい」、「実感したい」という思いから、自分の身体でも日々実践している。漢方の道を行く者として、細胞の生命力そのものがたらしめる、内側から輝くツヤを探求することは、一番大切にしたいところではあるが、「形から入る」化粧と並行して取り組めば、相乗効果が得られるのではないかと期待した。
その近い事例に、手相がある。手相には人生との相関関係があるといわれているが、人相もまた然りで、それを利用するというイメージだ。なりたい手相を油性ペンで書き込むといいように、なりたい状態に化粧をすれば、その方向へ状態が流れるのではないか。化粧下地でツヤを足せば、細胞が頑張ってツヤを出す。コンシーラーでシミを隠せば、メラノサイトがおとなしくなりシミが薄くなる。根拠はないが、化粧はなりたい自分に近づくための手段と考えれば、「未来の自分を先取りする」行為なのではないだろうか? なりたい顔を作ることはなりたい人生をつくることにつながるのかもしれないと。
今のところ、その真意は定かではないが、これからも化粧と生命力のつながりを等身大で探求していきたい。
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