メディアグランプリ

目玉焼きは‘新しい家族’のかたちにつながる 


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記事:藤原 宏輝(ライティングゼミ1月コース)
 
 
家計を支える優等生‘卵’は定番であるが、昨今の物価上昇にともない‘卵’もだんだん値段が上がってきた。
とはいえ‘たまご料理’は多くの家庭では、ほぼ必須であろうと思う。
 
そこで‘たまご料理’といえば色々なものがあるが、
「よく問題となり、時と場合やまた人によっては。おおごとになる」それは私の中では‘目玉焼き’がけっこう危険である。
「目玉焼き? え? おおごと、何それ?」
と皆さんは感じることであろう…。
 
なぜか? 
 
「目玉焼き焼きすぎず、黄身は当然半熟だよ」
「えッ! しっかり焼いた固めのほうがいいじゃん」
この春に結婚式を挙げるので、年明けから一緒に住み始めたご新郎様とご新婦様の会話である。
「じゃあさあ、目玉焼きに何をかけるの?」と彼は彼女に聞いた。彼女はすかさず、
「目玉焼きには、塩コショウでしょ」と答えた。すると彼は、うなずくとか同意するとかではなく、
「違うよ、絶対に目玉焼きにはしょうゆだよ。そこにマヨネーズ」と彼女を否定するかのようにムキになった。
「えーッ! 目玉焼きにマヨネーズならソースでしょ」と彼女も自分の意見を押し通して、引き下がらなかった。
こうして‘目玉焼き論争’が、その後も続いた。
 
ご新郎さまは関東出身で濃いめの味つけがお好みのようで、ご新婦さまは名古屋出身で濃いめではあるが関東の味とは違う感じで、お2人の食に対する好みや違いは、どうやら数多くあるようだ。
例えば‘おうどんのだしは、昆布か? かつおか?’や‘肉じゃがのお肉は、牛肉か? 豚肉か?’や‘肉まん? 豚まん?’さらに‘すき焼き’の作り方や‘うなぎ’の焼き方も全く違う。
さらに名古屋には‘名古屋めし’という独特の食文化がある。
‘冷やし中華’にはマヨネーズを入れるし、どこの家庭にもたいてい‘赤みそ’があり、お味噌汁は‘赤だし’が定番で、おでんや冷ややっこやとんかつには、だし入りの赤みそを付けて食べる。
 
結婚式前に同居したお2人は、それぞれのご家庭で育ってきて‘食の違い、好みの違い’に直面して、何度も意見が衝突しているご様子だった。
 
‘結婚する’ということは、決してゴールではなく‘新しい家族の始まり’だ。
だからこそ‘目玉焼き’ を一緒に食べる。ということは…。
‘目玉焼き’の焼き方、かけるもの、食べ方がそれぞれの家族の中にルールがあり、そのルールをお互いに否定することなく認め合うこと。が大事な気がする。
‘目玉焼き’に、塩コショウをかける人。しょうゆとマヨネーズをかける人。マヨネーズとソースをかける人。他にはトマトケチャップの人もいるかもしれない。
‘新しい家族’として、お互いに自分の食べ方やかけるものを譲る必要もないのだが、もしかしたら
「食わず嫌い」かもしれないので、相手に寄り添って食べ方を少しマネしてみる事や、2人の新しい味を見つけることも、この先の人生50年、60年とともに歩んでいく上では重要だ。
 
日本の中でも関東と関西は食文化が違い、さらに北や南に行くと‘食文化や食の嗜好’は地域や環境、人により変化する。お2人が一緒に生活をしていくという事は‘食の違い’だけでなく、‘洗濯もののタオルのたたみ方’や‘掃除のしかた’や‘ゴミの分別’など生活習慣の違いもたくさんあるのだ。
 
‘目玉焼き論争’から2週間後。
なんだか打ち合わせ中のお2人はよそよそしくて、どうやらまた喧嘩をしているようだった。
「彼女の味噌汁、大根の切り方が変なんです。うちとは全然違ってて、全然美味しくないし」
と彼がポツリと言った。彼女は、その言葉を聞き逃さなかった。
「じゃあ、実家に戻ってお義母様にお味噌汁作ってもらったら!」とキレた。
彼は「味噌汁の大根の切り方を、うちと同じにしてみてって頼んだだけじゃん」と言い返し、だんだん険悪な雰囲気になった。
思わず「大根の切り方、ですか?」と私は首をかしげた。
しかし、お2人にとっては‘味噌汁の大根の切り方’が今回の問題だった。
 
育った環境が違う彼女とお義母さまの大根の切り方は、違っていて当たり前!
ということを十分に理解した上で、ぜひ! 新米夫婦のみなさまには
‘お互いに相手を敬い、認め合い尊重し、思いやりの心で譲るところは譲り、主張すべきところは主張する。そこから“新しい家族のかたち”を作っていってほしい’と私は強く願う。
 
その後‘目玉焼き論争’は、どうなったのか?
「目玉焼きには、マヨネーズとトマトケチャップだね」と新たな挑戦が、結果的にはとても美味しかったようで‘目玉焼き論争’は終わったようだ。
大根の切り方も、落ち着いたのか? ご夫婦でその後もずっと、仲良く暮らしている。
私は「お2人は分かり合えたのかな。‘目玉焼き論争’は、お互いが歩み寄ることでお2人をさらに深く結びつけ、‘新しい家族のかたち’をずっと、これからも作り続けていくのかな」と思い、嬉しくなった。
 
 
 
 
***

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2025-03-06 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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