優しく親切な人が!気づかないうちに窃盗犯????
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:冨山繁美(ライティング・ゼミ3月コース)
先日元保育士仲間からこんな電話がかかってきた。
「今回もA先生にやられちゃったのよ。次回からは誘うの、やめようかしら?」
毎回こんなことが続いている。A先生は全く気づく様子もなくむしろ親切で優しい。頼りになるし適切なアドバイスもくれ、盛り上げるのも上手だから一緒にいても楽しい。それなのにあるきっかけでみんなから敬遠されがちなのである。
私が気づいたのはひょんなことからだった。いつも楽しい食事会。話は保育園や同僚の話で盛り上がる。それぞれ最近楽しんだ旅行の話になった時に数日後に控えていた札幌研修のことを私は話題にした。
「今度、札幌での研修があって行くんだけど、札幌初めてだから観光も少し楽しみたいんだよね」
その言葉にA先生が
「札幌行くの?いいなぁ。また行きたいな。私は毎年行っているのだけど……」
と札幌に行く飛行機の選び方、新千歳空港内の楽しみ方やグルメ情報、新千歳から札幌市内に行くアクセス、市内にある海鮮市場のランチ情報、名古屋のテレビ塔と似ている札幌大通り公園の話、夜のご飯やお酒の後の〆パフェの話まで、事細かに説明をしてくれた。
もうお気づきの方もいらっしゃるかもしれないが、A先生は巧みに「話題を盗んでしまうタイプ」なのだ。私が困らないようにと自分の知っている情報をあれこれ教えてくれ、まるで映画を見ているかのような細かい描写やその場が浮かぶほどの話術で話を盛り上げてくれた。そこには親切心と優しさが溢れ悪気はひとつもない。しかし、私はA先生だけでなく、他の先生とも情報を共有したり、研修会の内容から保育の話もしたかったのだ。その場は楽しくA先生の札幌旅行日記を聞くのも悪くはない。でもみんなで楽しみたかった取り留めのないトークの話題を取られてしまったような、なんとも言えないモヤモヤ感が後に残った。
それを機会に自分自身を振り返った。確かに私もA先生と同じような「話題泥棒」になっていなかっただろうか?それには心当たりがあった。園長をしている時には職員や保護者から色々な相談を受ける事がある。お子様の発達について、お母様のお仕事について、保育内容や行事についてなど幅広く相談される。その度に頭の中に様々なアイデアや過去の事例、研修内容が降り注ぎ、対応や対策など時には映像も浮かんだりする。相談者の話を丁寧に聞くことに心をとめ、なんとか解決できないか?同じような事案はないか?わかりやすい例え話は?ついつい伝えることが多くなり私の方が多く話してしまう。そんな時「話題泥棒」になっていたかもしれない。
その時の私が何を考えていたかというとまさに優しさと親切心からの言葉だった。「できるだけ困らないように」「自分の経験と知識の共有」は時としてその人の話題ややる気、アイデアを奪ってしまっていたかもしれない、そう振り返るきっかけになった。
友達同士の会話にしろ、職場でのコミュニケーションにしろ、基本は傾聴と言われる。傾聴の研修やセミナーの多くは「相手の話を十分に聞く」「心や頭を空っぽにして話を聞く」「何を聞いてもフラットな気持ちで接する」などを習う。しかし自分から発せられる話題や話す内容、言い換えれば「話す力」が周りの人とのコミュニケーションに強く影響を与えるというのは傾聴以上かもしれない。今まで「話す力」を養うことをしていただろうか?
そこで私は話し方について3つ心がけてみた。まずは「〜してあげたい」という気持ちから「〜してほしい」という角度の変化だ。誰かに何かをしてあげたいと思った時私はどうも言葉や情報を多く伝えてしまいがちなので「話してほしい」「考えてほしい」「教えてほしい」と相手に話してもらうことを心がけた。次に情報は最小限にすることだ。たくさん伝えたいことの中の一部を伝えることでその先を相手に委ねてみる。すると思いがけない方向に話が動くことを感じた。最後に周りの様子を伺うということだ。楽しめているだろうか?話をしていない人はいないか、それに気を配ってみる。そして話が振られたり相談された時には周りの人の話も聞いてみる。友達同士の楽しいランチの時など他の人に話を振ってみるだけで私自身や他の人の「独壇場」を避ける事ができた。
3つを心がけるようになってから、特に職場では職員同士の対話が多く生まれたような気がする。誰かが「話題泥棒」になりそうな時には、そっと話に加わったり他の人にも振ってみたり、話題提案者に話を戻してみることでだいぶ雰囲気も良くなったと感じた。それと同時に相手の話がよく理解出来るようになったような気もする。
親切で優しい人ほど、誰かの問いかけになんとか力になりたい、教えてあげたいそんな気持ちからついつい情報を多く話しがちだ。それがいつの間にか自分の話になってしまい知らず知らずのうちに「話題泥棒」になってしまわぬように傾聴と合わせて話す力をつけていく事が大切だと感じる。
優しく親切なあなたもいつの間にか気付かぬうちに私のような「話題泥棒」になっているかもしれない。それを避ける第一歩は「話題泥棒」のことを知っておく、それだけでもかなり効果があるのだ。ぜひためしに実践してみてほしい。
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