落語はオロナミンである。その理由。
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
「記事:宮藤紳(人生を変えるライティング・ゼミ3月開講)
日本人にとって落語はその存在は知っていても、それが何であるかが分からないものの一つだ。
落語を聴いた事はなくても落語家と呼ばれる芸人の名前を一人位挙げる人は多いだろう。また国民的番組といわれる『笑点』を知っている、一度でも視た事がある人はもっと多いと思う。
漫才はTVやメディアでの露出が大きく違うので、「漫才とはどんなもの?」を尋ねられても自分なりの説明が出来るのではないか。
それが落語となると「おじいさんが着物を着て座布団に座って面白い事をしゃべっている芸」くらいの説明が関の山だろう。
では近所の着物好きのおじいさんが座布団に座って貴方に対して面白い小咄を披露してくれたらそれは落語だろうか。
厳密に言うと答えは否です。
同じように近所のおしゃべり好きなおばさん二人の会話がボケとツッコミをしながら周りが聞いていても思わず吹き出す。これは漫才かと問われると答えは概ね是です。
この違いこそが落語とは何かを示します。
笑いを求めて話す行為そのものは漫才、落語に大きな違いはありません。
会話の内容を理解して笑いに転じる部分も同じです。
それでは何が違うのか。
漫才は見たまんま、聴いたままを面白がる芸です。
演者に役割が与えられてそれを演じる中で面白い会話や話が展開されるのが漫才です。
誰が見ても二人で話している事が視覚で理解できます。
それに対して落語は一人の演者が登場人物を演じ分けて会話を進めます。
ここで聴き手に求められるのは、複数人数が話していると理解する事です。
落語家が座布団の上から話している内容を一旦自分の頭の中で咀嚼して想像力で再構築をする事が求められるのです。
この聴き手に多くを委ねられる事こそが落語の本質と言えます。
演者たる落語家がしていることは、聴き手の想像力を刺激し客それぞれが勝手に頭の中に描いている世界を作り出すお手伝いをしているだけなのです。
同じ話を聴いても客が頭の中で描く舞台情景、登場人物のキャラクターや姿は、聴き手毎にバラバラです。
舞台装置は何もなく音響も最小限に抑え、男女どちらも演じ分け易い着物姿、またほとんど上半身だけのしぐさ、その簡素な形で聴き手をそれぞれの想像の世界へ誘っているのが落語なのです。
聴き手は単に会話や出てくる単語に詳しいから理解力が高いのではありません。
噺を集中して聴き自分なりの世界観を作れるのかどうかが、一番大切なことです。
上手いと言われる落語家は聴き手の想像を補助し邪魔をしないのです。
口跡がいいとすんなり噺が腹落ちし想像に身を委ね易い事はあります。
逆に滑らかな口調でなくても、その落語家の声と口調が自分には合うと言う事はあります。
相性といえばそれまでですが、自分の中にある何かと落語家の中にある何かが共鳴しあうのだと思います。
ある落語家が「落語は自分の中にあるものが現れる」と言っていました。
それは演者側だけでは無く、聴き手も同じです。
他のエンターテインメントでも同じ様な事はあると思いますが、落語ではその傾向が非常に強いです。
私は以前仕事帰りにふらっと寄席に行くことが多くありました。
それは落語を聴いている間は他のことは忘れて頭の中を空っぽに出来て、非常にリフレッシュして寄席を後にすることが出来たからです。
しかしライブで落語を聴いた事がある人は、非常に少ないと思います。
それは伝統芸能という枠で考え予備知識やマナーが大変そうと勝手に壁を作っているからです。
私は落語聴きに行くのを躊躇っている人に必ず言う事は「日本語で会話が出来たら無問題」。
また寄席は江戸も上方も年中無休で特別興行を除きほぼ当日券で入れます。
寄席には沢山の落語家が出てくるので、その中で自分に合う芸人を見つける事が出来ると思います。
また寄席のプログラムはよく考えられていて、想像力が必要な落語ばかりでは無く途中で漫才、奇術、紙切り、大神楽(傘回し等の伝統的な和風ジャグリング)などが挟まるので頭を休める時間もあるのです。
気が向いたら直ぐに出掛けて聴くことが出来る。
自分なりの想像の世界を体験して少し元気になれる。
これが落語です。
薬局じゃなく近くのコンビニやスーパーで手に入り、どこに効き目があるのかよく分からないけど何となく元気が出た気になる飲み物、オロナミンとよく似ていると思いませんか。
だまされてと思って、寄席の木戸をくぐってみてください。
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