〜大人と絵本シリーズ1〜 身近にあったどこでもドア 知らない世界に行ってみよう!
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:絵本専門士 冨山繁美(ライティング・ゼミ名古屋コース)
人気アニメの中に出てくるどこでもドアが実は身近にあった。と言われたらどんなことを思いますか?「そんなはずはない」「あれはアニメの世界だけ」そんな声が聞こえてきそうです。
保育現場で幼児教育の世界に長くいた私は、絵本が周りにあることは当たり前だと思っていました。しかし、それは保育士になった後のことで子どもの頃は絵本などほとんど家にないようなあまり裕福ではない家庭に育ちました。時は昭和40年代。1939年に東京オリンピックが開催され、新幹線や東京タワー。日本中が高度経済成長の真っ只中。両親は共稼ぎで市営住宅の6畳、4.5畳、3畳に5人家族。幼い頃は祖母に育てられていて、読み聞かせの記憶は無いものの絵本の物語はちゃんと覚えている、部屋の様子や絵本棚、絵本の表紙など鮮明に思い出すことができるのです。どうしてそんなにも覚えているのでしょう?
くるくる回ってバターになってしまったトラの物語を読んで、「トラと出会ったらどうしよう」と思っていたり、かにの持っていたおにぎりをサルに取られ敵討ちをとる物語を読み柿が本当に美味しそうで木に実っている柿の実を近所に探しに行って、サルに出会ったらどうしようと思っていたり、その頃は現実と絵本の世界を行ったり来たりしていました。その魅力が幼い私の記憶にしっかりと染み込んでいるからなのかもしれません。
保育士になり、母になり絵本を読むことが増えます。保育園では活動の合間や給食、おやつの前に絵本を読む時には読みながら次の活動や先生たちの動き、次の展開を予想しながら絵本を読むこともよくありました。膝に小さな子がちょこんと座って目の前の絵本を楽しむ姿、クラス全員が絵本に集中し冒険を楽しむ姿が好きで絵本を読んでいました。子育て中は寝かしつけの時に絵本を読みながら自分が寝落ちしてしまい顔の上に絵本が落ち痛さで我に返る毎日を送り絵本は好きなのに自分自身が絵本をじっくり楽しむなんてしてきませんでした。それでも子供たちが絵本を楽しむ様子のほうが価値のあるもののように思えていました。
そして30年以上も経ち、絵本を学ぶ機会に出会います。絵本専門士養成講座です。独立行政法人国立青少年教育振興機構が絵本の普及や地域の読書活動に貢献する専門性の高い役割を担う人材を育成するために平成28年に設置した民間資格。その中の課題で多くの絵本に出会い「絵本ってどこでもドアみたい!」と気付きそれと同時に、自分自身のために絵本を読んでいないことにも気づきました。
絵本がどこでもドアってどういうこと?
大人の今、絵本を純粋に楽しむとまずは絵の世界に引き込まれます。美しい風景、厳しい自然、みたこともない未来の様子。文字では表せない世界を絵で補っていて、その絵を丁寧に読み解いていくと絵に隠されたさまざまな仕掛けに気づくかもしれません。その世界での物語を紡いでくれるのが文章です。その時代の様子や、言葉遣いやい気遣いも文字から感じ取ることができ、そして一気にその世界に連れて行ってくれるのです。
時には中東の砂漠の中、フランスのカンザス地方の森、宇宙船に乗って月の表面へ行くこともできます。氷の世界、動物がしゃべる世界や怪獣たちの世界。過去にも未来にも、知らない国にもファンタジーの架空の世界にも。絵本を開くということは、自由自在好きな世界に行くことのできるどこでもドアを開くのと同じ、そう思えたのです。
大人の絵本の楽しみ方はその人のもの
子どもの頃に読んでもらったり、子どもたちに読んでいたりしていた時には気づけないものに気づけるというのも大人が絵本を楽しむ醍醐味のひとつです。絵本を開いてすぐの中表紙の色や、そこに描かれている絵などにも注目できます。本文の中の文字列や文字の配置にはどんな意味があるのだろう?という疑問から絵本を読んでみるのも面白いかもしれません。
絵本作家黒井健氏が「キツネのごんの毛のふさふさとした柔らかさをどうやって出したらいいのか試行錯誤をした」ということを講座でおっしゃっていました。そして輪郭を線で描くのではなく、試行錯誤の上、風に揺れるような主人公ごんの毛並みが生まれた、と伺いその後改めて絵本を見てみると、その柔らかくも儚いゴンの姿に心が動かされる経験をしました。
読んでもらっていた子ども時代や子どもたちに絵本を読んであげていた頃と、自分自身のためにと絵本との出会いを求め、いろいろな情報を得た上で選び読んでみるということは絵本に対するスタートからすでに違っています。いろいろな経験を経た「今」だからこそ、その絵本から何を感じ取ることができるのか?どんな楽しみ方ができるのか? それは読み手に託されていてどんな楽しみ方もできる。その可能性にとてもワクワクしませんか?
仕事・子育て・介護をはじめ私たちの日常は慌ただしく過ぎ、自分自身と向き合い自分の心のご機嫌伺いもままならないような毎日を過ごしています。どこでもドアでどこかに出かけていき、そこで冒険をするなんてアニメの世界だと思っていたことが、絵本を開くという日常の些細なことで叶えられる。さらに大人なならではの楽しみ方があることをお伝えしてきました。この機会に絵本を手にする方がいらっしゃればとても嬉しく思います。そして読んだら感想を教えてください。シェアをしあうというのも大人の絵本の楽しみ方です。一緒に絵本の世界を楽しみませんか?
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この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。
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