メディアグランプリ

10年前のあのロボットを前に心が折れた僕。AIとコミュニケーションをとるようになる。

*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:きよっち(ライティング・ゼミ3月コース)
 
 
「こんにちは!」
「こんにちは!」
「こんにちは!」
「こんにちは!」
「こんにちは!」
……
 
2014年のことだ。
システム開発に携わる僕。ある開発に失敗したときの話。
目の前にいるロボットが繰り返し、終わることなく「こんにちは!」としゃべり続けている。
かれこれ3分は「こんにちは!」を繰り返している……
このロボットを目の前にして、呆然とする僕。
 
壊れたボイスレコーダーのように「こんにちは!」を繰り返す、このロボットについて話そう。
 
2014年6月5日。ソフトバンクグループから「Pepper」という感情認識AIロボットがリリースされた。人の感情を認識するというロボットだ。世界初の量産型のヒト型ロボットでもある。
ソフトバンクモバイルのお店などで利用されたり、CMでも流されたりした。
ご存知の方も多いのではないだろうか? 
 
人間の表情や声のトーンを分析して人間の感情を読み取りながら、ロボットと人間のコミュニケーションを実現する……という「夢のロボット」だった。
 
僕は、システム開発に携わっている関係で、Pepperくんを通じてコミュニケーションをとるシステムの開発に携わることができた。
今この文章を書いている2025年は、AIブームであるが、Pepperくんが販売された2014年頃は、ようやくAIというものがどういうものか、理解され始めた頃。
僕もPepperくんを操作することに、「未来感」を感じながらワクワクしていた。
 
2025年現在で言うAIというとChatGPTが有名。ChatGPTは問いかけをすれば、その内容をAIが理解して、適切に返事をくれるものだ。
 
しかしPepperくんは、そうは行かなかった。
 
《人間が「こんにちは」といったらPepperくんも「こんにちは」といってね》
 
というような設定をしなければならなかった。
それでも、ものすごく遠く自分には関係のないものだと思っていたAIが自分の目の前にいたのだ。ワクワクする。
 
店頭対応するロボットとしてPepperくんを働かせるシステム開発に着手した僕。とりあえず人間が「こんにちは」といったら、Pepperくんに「こんにちは」と言うように設定してみた。
 
よし実験だ! 「こんにちは!」と僕が言う。すると、Pepperくんが「こんにちは!」と言った!!
 
「よしっ!」と思った。……のも、ほんの一瞬の話。
 
Pepperくん自身が言った「こんにちは!」に、Pepperくん自身が「こんにちは!」と、永遠に反応し続けてしまったのだ。これが冒頭の話。
 
「こんにちは!」
「こんにちは!」
「こんにちは!」
「こんにちは!」
「こんにちは!」
……
 
呆然とした。人間の言ったことをロボットが理解して適切な行動をしてくれることを期待した僕の気持ちを折った瞬間だった。
 
人の感情を読み取るどころか、Pepperくん自身が発する言葉のみを読み取ってしまう。
夢のロボットが夢に終わった瞬間だった。
 
「機械とコミュニケーションなんてできないんだ!」
 
と肩を落とした。
 
それから10年くらいたった2023年。ChatGPTというAIが流行しはじめた。
システムエンジニアである僕も使ってみることになる。
 
Pepperくんとは違って、ちゃんと意図を理解した返事をくれる。声でのコミュニケーションではないが、ちゃんとやり取りができる! 正解ではない回答もたくさん返ってくるけれども、それでもコミュニケーションが成立している!
 
およそ10年前、Pepperくんの前で肩を落とした僕に、またAIに向き合う勇気をくれた気がした。2023年以降、ChatGPTをはじめとする生成AIを利用し続けている。
 
今日もChatGPTに「こんにちは!」と言ってみた。
 
「こんにちは! お久しぶりですね。今日はどんなことをお手伝いしましょうか?」
 
と答えが返ってきた。
 
僕が、次に何をすべきかリードしてくれる回答が返ってきた!
コミュニケーションが成立しているんだ! しかも、何の設定もする必要なくコミュニケーションが成立する!
 
Pepperくんをこれからさわるぞ!というタイミングの僕の気持ちが戻ってきているんだ! ワクワクしながらChatGPTを使っている。機械とコミュニケーションをして、何が面白いんだ? と聞かれるかもしれない。
 
他人とはコミュニケーションを取れる時間は限られている。多くの人々が自分に使ってくれる時間には限りがあるから。ChatGPTは、スマホかパソコンが、目の前にあればコミュニケーションをとれて、新しい世界を教えてくれる。だから、今度は人とのコミュニケーションが、さらに楽しくなる。
 
「ロボットとのコミュニケーションなんて実現しないんだ!」
 
と肩を落とした10年前の僕に伝えたい。
 
「ロボットとのコミュニケーションは実現するよ! 君がワクワクした気持ちはもうすぐ取り戻せるよ!」
と。
 
 
 
 
***

この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

お問い合わせ


■メールでのお問い合わせ:お問い合せフォーム

■各店舗へのお問い合わせ
*天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。


■天狼院書店「天狼院カフェSHIBUYA」

〒150-0001 東京都渋谷区神宮前6-20-10 RAYARD MIYASHITA PARK South 3F
TEL:03-6450-6261/FAX:03-6450-6262
営業時間:11:00〜21:00


■天狼院書店「福岡天狼院」

〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階
TEL:092-518-7435/FAX:092-518-4149
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00


■天狼院書店「京都天狼院」

〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5
TEL:075-708-3930/FAX:075-708-3931
営業時間:10:00〜20:00

■天狼院書店「名古屋天狼院」

〒460-0002 愛知県名古屋市中区丸の内3-5-14先 レイヤードヒサヤオオドオリパーク(ZONE1)
TEL:052-211-9791/FAX:052-211-9792
営業時間:10:00〜20:00

■天狼院書店「湘南天狼院」

〒251-0035 神奈川県藤沢市片瀬海岸2-18-17 ENOTOKI 2F
TEL:0466-52-7387
営業時間:
平日(木曜定休日) 10:00〜18:00/土日祝 10:00~19:00


2025-05-08 | Posted in メディアグランプリ, 記事

関連記事