フツーな事がコンプレックスだったのに、フツーな事が、強みだった。
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:新野佐月(ライティング・ゼミ5月コース)
ずっと、何モノかにならないといけない、と思っていた。
私には、何もないんだから、資格を取らないといけない。スキルを磨かないといけない。
フツー過ぎる私を、克服しないといけない。
6年半前に、会社員を辞めた。
フリーになった時の気持ちは、半分は、すがすがしい解放感。そして、もう一つの気持ちは、生命保険を全部解約したような、恐怖だった。
私たちは、超氷河期のど真ん中に就職をした。そもそも、選択肢など、好景気など、
全くなかった。
置かれた場所で、考えるしかなかった。
この配られた弱いカードで、ポーカーをするようなものだ。
「制約が多いから」こそ、私は必死に考えるしかなかった。
3年前、夫が命にかかわる大病をしたため、体に後遺症が残った。
「暖かい場所にいると、辛くない。体が動くんだよね」と言った。
「冬は、暖かい場所に住もう」
二人の目標は、冬は暖かい場所に住むこと、だった。オンラインで仕事ができたら、私たちは場所の自由が得られる。
父も認知症になったから、時々、実家に帰らないといけない。
光がちょっと見えた瞬間だった。
地方に住んでいる私には、最後の手段のようにも見えた。
オンラインでできる仕事をして、場所の自由が欲しい。
ある方の前でこの話をしたら、鼻で笑われた。
「仕事はね、地道に、営業で頭を下げてやるものなのよ。オンラインとか、そういうの、甘いから」
確かに、そういうやり方もあった。
そういう時代もあった。営業で実績を上げた方さんだった。
周りに、私のような働き方をしている人は、いなかった。
私の専門分野は、地方では全くニーズがなく、
「あれ、私の経験、そんなに安くなっちゃうんだ」とショックだった。
悲しさと、屈辱感。理解されない、孤独感。
じゃあ、東京くれば良かったじゃない? とよく友人に言われた。
外資の会社にきたら? と。
でも、私は結婚していたし、単身赴任をする勇気もなかった。
私の最優先事項は、家族と、生活空間の心地良さ、だった。
私ができることを知ってもらい、
「高く買ってもらう」「価値が分かってくれる人を、場所を探す」
マーケティングを考えるしかなかった。
ここで、私は、大きく打ちのめされる。
真っ暗闇に落ちた。
どこまで行っても、私は、フツーなのだ。
どの分野でも、上には上がいて、私など、小さくなるしかなかった。
そして、私は、苦しいループにはまっていく。
もっと資格を取らなきゃ。
もっと頑張らないと。
もっと人より秀でるものがないと。
「私はフツーだ」
私を苦しめる言葉だった。自分がフツーであること認めるまでに、膨大な時間がかかった。
そして、一番、認めたくなかった事、でもあった。
「私、いったい、何したらいいの?」
落ち込む日々が続く。
私の年代になると、同級生が出世していく。
みんな、すごいな。
「友がみんな偉く見える」と言った、石川啄木の気持ちがよく分かる。
突き抜けたYOUTUBER……にはなれなそう。
キラキラ起業女子……そもそも、興味ない。
異業種パーティ……そもそも、地方にいるから無理。
営業して歩く……人脈ないから。
私は目立ちたがり屋ではない。
一人で、ドトールで本を読んでたい文系女子だ。
本当にフツーなんだ。
ないない尽くし、だ。ああ、どうしたらいいんだろう。
この仕事をしている人なんて、なんて、何万人いるんだろう。
「自分をどう分かってもらうか」「何を提供したら喜んでもらえるか」を徹底的に考えた。
私が、考え続けてきたこと、それはセルフブランディングというらしい。
6年後、私はオンラインだけで仕事ができるようになっている。
「どうやったんですか」
「自分には、何もないんです」
お客様にそんな事を聞かれることが増えた。
私がずっと、頭の中でリフレインしていた言葉、だった。
「そっか、みんな同じ事、悩んでたんだ」
私がやっていたことは、どうやって、自分を差別化するか、ということ。
「セルフブランディングだった」という事すら、気付かなかった。
ブランディングというものは、芸能人、作家、YOUTUBER、起業家には、当たり前の分野。
外資系の友人と話すと、
「自分のキャリアをどう構築して、どう見せていくか」
この話は、当たり前の気がする。
でも、これ、「フツーの人」は、全く知らない。
フツーの人も、昔の私のような人にも、これからの変化が大きな時代は、セルフブランディングが、必要だったんだ。特に、SNSの時代は。
「どんな人として、知られるか」
私は、自己分析すればするほど、フツーだ、って気づいた。
落ちこむ日々、だった。
この暗黒の日々を抜け出せたのは、メンターから言われた一言と、ブランディングの真理、だった。
あの言葉が、転機になった。
「あなたは、フツーの人の気持ちが、一番分かるでしょ? 最初からスゴイ人は、そんなの分からないんだ。フツーの人、何万人いると思ってるの? 君は、その人達を助けること、励ますこと、考えなさい」
「私は、フツーだ」と思ってたこと、それが、お宝、だった。
私は、フツーだったからこそ、フツーの人の悩みが分かる。
苦しみが分かる。
何万人もの人の気持ちが、分かる。
ブランディングを学んで驚いたことは、「すごい人になること」だけが選ばれる理由ではない、ということ。
「話しやすい人、私のこと分かってくれそうな人」
そんな、私にとっては、当たり前のことが、選ばれる理由になっていた。
私がたどってきた試行錯誤の日々は、今は、人に光を灯す道しるべになった。
人の強みを見つける仕事は、ダイヤの原石を磨く作業のようだ。
すごい人になることではなく、
その人が気づいていない価値を言語化する。
人に光を与え、チカラを与える作業だった。
フツーで良かったんだ。
フツーだから、良かったんだ。
突き抜けたYOUTUBERにはなれない私で、良かった。
悩んできたことが、全部、光になっている。
***
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