「私」なんていらない。人間関係は、自分関係?
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:菊子(ライティング・ゼミ3月コース)
人間関係、上手くいっていますか?
人間関係と一口に言っても色々ありますよね。職場や学校、友達、パートナー、家族。その方々と、円滑なコミュニケーション、とれていますか?
私は、それなりに上手く出来てる。付き合えてる。
と、思っていました。
……あるものに出会うまでは。
* * *
何年も前に、少人数の会社で働いていた時のこと。勤務先の次期社長と、大喧嘩をして退職することになってしまった。大人げないとは思ったけれど、酒の席で出たパワハラ暴言が、日々の不満のダメ押しとなって、反射的にキレ返してしまった。こちらは下戸のしらふだというのに。
退職するまでの間、風当たりは強く理不尽なこともされた。私は正しかった! どう見ても向こうが悪い! と思っていても、心はくたくたで、深い傷も残った。
そしてまた、人生には祭りと祭りが同時開催みたいな、謎の山場な時期があるもので、退職に自分の離婚まで重なってしまった。
いつも前向きに人と接してきたつもりだったけど、
いったいどこで、何を、間違えたんだろな。
*
再就職なんて、疲れ切っててすぐに考えたくはなかったけれど、失業保険をもらうためにはハローワークで就活をしないといけない。
気乗りせずに行ったハローワークの面談で、ふいに、以前、顧客の苦情相談を受けたことを思い出した。話を聞いて、少しだけれど、相手の力になれたことがあった。
せっかくだし、これからは人の役に立つ、誰かを助ける仕事をしてみたいなあ。人の話を聞く仕事なんて、ありますか??
相談員さんが、一枚の職業訓練のチラシを差し出した。
そこには、「キャリアカウンセラー養成講座」と書かれていた。
*
キャリアカウンセラー。当時はこのような名前だったけれど、今では「キャリアコンサルタント」が正式名称になると思う。
「キャリアコンサルタント」とは、職業選択や、働く上での生活設計、職業能力開発などの相談を受けて、助言や指導を行う専門家のこと。なんだかすごい。
カウンセリングは、趣味の占いと通ずるところがありそうだし、新しい世界が開ける気がして養成講座に通うことにした。
習った内容は「職業支援」に関わることではあったけれど、講座名に「カウンセラー」という言葉が含まれているように、カウンセリングについての勉強も多かった。
初めて知ったカウンセリングの世界は、歴史も深く体系立っていて、人の感情・認知・行動・精神分析の理論や、技法の奥深さに驚いた。
私が無知なだけかもしれないけれど、日本で「カウンセリングを受ける」のは「重い心の病にかかった時」という印象があった。海外のように、「ちょっと調子悪いから行ってくるわ」みたいな気軽さは感じられない。
だから、カウンセリングは私にとって遠い存在だったし、自分に必要なものだなんて、微塵も思っていなかった。
授業で、講師から模擬的にカウンセリングを受けたり、受講生同士でコンサルティングの実習をしていくうちに、自分の気づいていなかった別の自分がボロボロ出てくる。
「自分の正義」の物差しを疑わず、他者に押し付けていたこと。
気持ちを正直に言えず、我慢しすぎる。そのことで怒りを溜め込んだ結果、攻撃的になっていたこと。
他者と自分の切り分けができず、人の問題につい介入してしまっていたこと。などなど。
ひとつひとつわかっていくうちに、私の人間関係なんて、まったくダメダメだったんじゃん……! と思い至った。
あまりの衝撃に悶絶した。ぐぬぬ。
私は自分を「フツーの人」だと思っていた。
人とは、誠実に意地悪もせず、対話もしようとして、
それはもう真っ当に生きてきた、つもりだった。
なのに。
そして更に、とんでもないことが見えてきた。
自分のダメな部分を、心の中の「子供の私」のせいにして、腹の奥底に押し込めていたこと。それが核となって、現在の人付き合いの不和につながっていたこと。
マジか……
私には、自分が想像もしていなかった、
大きな心の課題があるということを知ってしまった。
ひとりでは解決出来ない。
そこで、ゲシュタルトセラピーというカウンセリングを正式に受けてみた。
見えてきたのは、私は、人から必要とされたくて、ずっと良い子でいようとしていたこと。子供の頃は親から、大人になってからは社会から。
「人から必要とされない自分(ダメな自分や本心)」はごっそり捨てて、「人から求められる別の人」になろうと、いつも誰かの真似をしていた。このことについては、自覚もあった。
時々、「私って誰なんだろう?」と思うことはあったけれど、人から必要とされることは増えていたので、悪いことではないと思っていた。
カウンセリングを受けて、それが大問題だったと発覚する。
「押し込められた私」が、悲しみと怒りの炎を溜めに溜めて、誰かとトラブルが起きるたびに、その炎を一気に噴出させ、キレていた。これが真相。
我ながらアホすぎる。自分を捨てるなんて、できるはずもないのに。でも、そのくらい切実に、自分を変えたかった。人から必要とされる人間で、ありたかった。
カウンセリングを受けて、向き合ってこなかった幼い自分(=感情)と、ようやく対話することができた。
「誰か」ではなく、
「私」が、「私」を、必要とするように、なった。
* * *
今まで関係を断ってしまった友人、ケンカした社長、別れたパートナー。家族。カウンセリングを知っていれば、もしかしたらもっと、建設的な接し方が出来ていたかもしれないと思った。
そして、周囲を見渡せば、思いのほか「心に課題を抱えていそうな人」が多くいることに気がついた。非合理的な信念に縛られている人、何かを怖れて、自分を守るために攻撃的になっている人。
以前なら、困惑しか感じなかった人に対しても、「抱えている何かがあるのかもしれない」と思えるようになり、自分の接し方も変わった。
人間関係の困りごとは、案外他者とではなく、自身との関係にあるのかもしれない。
「上手くいかないな」と感じた時、「でも普通にあることだし」と思うかもしれない。けれど、本当に「普通」なのか。相手から自分に目線を移して、自分の心に問いかけてみると、思ってもみなかった返事が返ってくるかもしれない。「本当はね……」って。
行き詰った時の解決の一助として、カウンセリングも気安く選べるような世の中に、いずれなったらよいのにと思う。
ちなみに、キャリアコンサルタントの勉強は、あまりにも、あまりにも、あまりにも難しくて挫折してしまった(涙)
けれど、学んだ知識は、人と接するあらゆる場面で、今も役に立っている。
***
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