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師匠がセミナー講師をしているときに言った「セミナーなんか来てる場合じゃないでしょ?」ということば


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記事:きよっち(ライティング・ゼミ3月コース)
 
 
「今日水曜の16:00ですよね? みなさんセミナーなんか来てる場合じゃないでしょ?」
 
25年ほど前のこと……
僕の師匠が、10回の連続セミナーの1回目に、受講者に言った言葉だ。
当時まだ僕は、社会人1年目。右も左もわからない新米だった。セミナーとは習うもの。
習うものとは聞かせて「もらえる」ものだった。
そりゃそうだ。ちょっと前まで大学生の僕だ。
まさに受動的な学習こそが、僕にとっての当たり前だったのだ。
 
基本的に、習うとは、すべてお行儀よく座って聞くものであったから。
講師が知識を一方的に伝え、学生がそれをノートに書き写し、
テストで再現する。それが学習だと信じて疑わなかった。
 
ところが、セミナー=授業に来るなと言わんばかりのこのセリフ。
 
「一体この人は何を言っているんだ?」
と思った。頭の中が「?」マークでいっぱいになった。
 
お金を払ってセミナーに来ているのに、来るなとはどういうことなのか。まったく理解できなかった。
 
セミナー受講者さんたちも、きっとこの言葉には
「え?」
って思っただろう。
会場の空気が一瞬凍りついたのを今でも覚えている。受講者全員が、同じような困惑の表情を浮かべていた。
 
セミナーの内容は「ECサイトの売上向上」だった。
つまり、インターネット通信販売の売上向上の方法のセミナーだ。
当時はまだECという言葉も今ほど一般的ではなく、
インターネットでモノを売るということ自体が革新的だった時代である。
 
ほとんどの受講者さんは、きっと、売上向上につながる「秘密のメソッド」があると思ってセミナー受講を決めて来たにちがいない。
魔法のような集客術や、劇的に成約率を上げるテクニック、競合他社が知らない裏技のようなものを期待していたはずだ。
 
ところがセミナー開講一発目が「セミナーに来ている場合じゃないでしょ?」だ。
 
多分多くの人が
セミナー = 聞かせてもらえるもの
と思っていたはずだ。僕と同様に。受講料を払えば、貴重な情報を教えてもらえる。そんな甘い期待を抱いていた。
 
人によっては落胆しただろうし……
人によっては怒りを覚えたかもしれない……
 
師匠はその後に、こう言った。
「みなさん。売上がほしいんですよね? こうしている間、もし手を動かせば売上を作ることができたかもしれない」
この言葉が会場に響いた瞬間、空気が変わった。
 
受講者のみなさんも、僕も「なるほど!」となった体験だった。
まさに目からウロコが落ちる瞬間だった。
 
売上を上げたいなら、セミナーで話を聞いている時間があるなら、
実際に商品ページを改善したり、顧客にメールを送ったりすべきではないか? 
当たり前のことだけど、この場にいた人は、その瞬間まで気づいていなかった。
 
師匠は常日頃から
「人は自分の行動を理解していない。そしてちゃんと説明ができない」
と言っている。
 
例をあげると、
誰かが「会社の売上を上げたい」と言っていたとする。
師匠が「それならば広告費をバンバン使えばいい」と言う。
すると、その人は「それでは利益が出ない」と言う。
すると、師匠は「それは売上がほしいのではなく、利益がほしいのでは?」と言う。
ぐうの音も出ない指摘なのだ。
 
この種の指摘を、僕は師匠から数え切れないほど受けてきた。
そのたびに、自分の思考の曖昧さ、言葉の不正確さを思い知らされた。
 
・本当に欲しいものは何なのか
・本当にやりたいことは何なのか
・本当に解決したい問題は何なのか
 
明確に言語化できる人は、実は驚くほど少ない。
 
ECサイトの売上向上のセミナーも
「セミナーを受けることが目的になっているのではないか?」
というぐうの音も出ない指摘であったのだ。
 
本来の目的は売上向上のはずなのに、
いつの間にか「セミナーを受講すること」が目的にすり替わってしまっている。
 
もちろんセミナーを受講することに意味はある。
 
もし、この時間、店内にいたとして、商品ページを改善していたとすると
・自分は何をしていたのか? 
・講師が言っていることと、自分がしていたことに差分はどれだけあるのか? 
ということを考えながら、セミナーを受講していれば、
漫然と受講しているのとでは雲泥の差が出るのは、間違いない。
 
どうしても僕たちは「テクニック」を持つと、それに依存してしまいそうになる。
「ECサイトを作るテクニック」を身に着けただけで
「モノを売ることができるテクニック」を身に着けた気になってしまうものだ。
 
しかし、実際は、テクニックでどうにかなるほど世の中甘くない。
結局は行動なのだと思い知らされた、出来事であった。
 
いまでも、この出来事は僕の指針の一つになっている。
何ができるのかを明文化しながら生活していこう!
 
 
 
 
***

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2025-06-05 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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