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絶望は希望のスタートライン?! アラサー女子の失恋克服奮闘記


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:伊東 江梨(ライティング・ゼミ5月コース)
 
 
「君と結婚はできない。カナダまで来られても困るんだ!」
 
ショックで息ができなかった。
やっと彼に会えた嬉しさから一気に不幸のどん底に突き落とされた。
人生最初の絶望だった。
 
今から10年以上前のことだ。
元々大学時代の短期留学先だったカナダで出会った年上の彼。
とにかくサプライズ好きで優しい彼が大好きだった。
付き合った年のクリスマスにカナダの彼の実家を訪れ、婚約者だと紹介された。
私の両親や祖母にも会ってもらい、結婚の承諾も得た。
プロポーズされて舞い上がり、夢見ていた結婚が現実となったあの頃が幸せの絶頂だったと思う。
 
その半年後に彼はカナダへ帰国した。私と一緒に住むためにより給与の高い仕事を見つけたのだと言っていた。その3ヶ月後に突然連絡がつかなくなった。
 
最初は忙しいのだろうと思っていた。
もしかしたらサプライズを考えているのかもしれないとすら思っていた。
 
しかし、いくら待ってもメールの返信はなく、彼は電話をもっていないので話もできない。私は諦めずに約3ヶ月毎日のようにメールを送り、彼のフェイスブックの動向をチェックした。彼の友人にメッセージを送ったところ、彼は友人たちとも連絡をとっていない様子だった。
 
精神的に追い詰められていた私は、強硬手段に出た。気持ちが走り出したら止まらなくなった。上司や同僚に頭を下げて仕事を調整し、1週間休みをもらってカナダ行きのチケットを取った。
 
そのことをメールに書いたら3ヶ月ぶりに彼から返信があった。
彼は体調を崩して職場を離れ、カナダの実家にいることがわかった。
 
私は単身でカナダに向かった。空港に迎えに行けないし、実家には来ないでほしいと言われたのでホテルから毎日メッセージを送った。
 
彼に会えたのは私が日本へ帰国する前日の朝だった。
突然私の宿泊するホテルのロビーで会おうというメッセージ。
「ここはサプライズなのか」と複雑な想いで彼を待った。
やってきた彼は思ったより元気そうで少し安心した。
 
しかし、どれだけ連絡が取れなかった理由を聞いても体調が悪かったとしか言わない。結婚できない理由もはっきりしない。体調が回復したらもう一度考えてと伝えても気持ちは変わらないと言われた。今後の彼の人生に私という存在は必要ないと言われた感覚だった。今から思うと別れに向かう覚悟を決めにカナダまで行ったようなものだった。
 
そこからどうやって帰国したか記憶がない。
帰宅して祖母と両親に結婚が白紙になったことを伝えた。
祖母と両親は何も聞かずに無事帰ってきたことを喜んでくれた。
それが嬉しいような悔しいような悲しいような感情が渦巻いて襲ってきた。
そこから私は自分の部屋で泣き尽くした。泣きすぎて何度か意識が遠くなり、気が付くと眠っていた。食事もとれず仕事も休んで泣いて暮らした。生きていること自体がどうでもよくなっていた。
 
いつ寝ていつ起きたかもわからずに朦朧としながら布団の中に潜っていた。
すると「このまま人生終わらせていいのか?」 という心の声が聞こえた。
とうとう精神崩壊?! 人生に絶望すると幻聴が聞こえるようになるのか?!
回らない頭で考え始めたら、ふつふつと私の心に怒りが込み上げてきた。
 
好きな気持ちは一方通行だったかもしれない。
思い込みで動いて彼に迷惑かけたかもしれない。
結婚を焦っていたのかもしれない。
全力で必死に走り続けているのに結婚というゴールテープは切れなかった。
 
そして布団から飛び出して「悔しい! 私だって幸せになりたい!このままは嫌だ!」 と言っていた。
ひとまずこの熱があるうちに目標を決めよう。人生であと何が叶えたいのか書いてみようと思い、近くにあったノートに思ったままを無心で叶えたいこととして書いた。
大好きなあんこをお腹いっぱい食べる、フルマラソン完走、講師になる、転職する、47都道府県すべてを回る、世界一周旅行をするなど、すぐ叶いそうなものから壮大なものまでどんどんあふれ出てきた。書いている中に結婚が出てきたときには笑ってしまった。
でも、書き出してみたらあとは淡々と叶えるだけだと妙に冷静になれた。
 
さすがに有休休暇も減るし、仕事も滞っているだろうなと思い出してやっと社会復帰したのは、帰国してから3日目の朝だった。
意外と時間は経っていなかったこと以上に自分の気持ちが晴れ晴れしていたことに驚いたのだった。
 
ここから3年後、私は今の夫に出会い結婚した。当時のやりたいことリストは8割叶えて、今も書き足している。そして次の絶望に出会うことになる。だから人生はわからないし面白い。私の人生はきっと絶望と希望の繰り返しなのだろうとすら思う。
 
絶望の渦中にいる時は悲劇のヒロインが憑依していた感覚だった。でも、その感覚を飽きるほど感じ切った先には怒りとともに生きる活力と希望が湧いていた。やりたいことリストを抱えて人生のリスタートをきれたのは絶望のおかげだ。あなたも私と一緒に絶望を感じたら人生が変わっちゃう感覚を味わってみませんか。
 
 
 
 
***

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2025-06-12 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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