ポテトチップスから考える人間関係のあり方?
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:きよっち(ライティング・ゼミ3月開講コース)
小学生の頃、僕は「肥満」体型だった。今思えば恥ずかしい話だが、当時の僕にとって最大の関心事は、いかに美味しいものを食べるかということだった。特に、あのオレンジ色の袋に入ったポテトチップスは、僕の心を完全につかんでいた。
「おいしいものは、脂肪と糖でできている」
というあのCMのフレーズ。僕は納得していた。
ポテトチップスこそが、その最高傑作だと信じて疑わなかった。幸福感に満ちたあの食感、背徳感あふれる様々なフレーバー。嫌いな人なんているはずがない。
自称「うすしお味エヴァンゲリスト」として、何度あのオレンジ色の袋を開けたかわからない。袋を開ける瞬間ですら、もう幸福だった。しかし、そんな僕のポテトチップス人生に、ある日、転機がきた。
友人とのおしゃべりタイム、いつものようにポテトチップスを頬張っていた時のことだった。
「今日のロットは、なんだか好きな味じゃないなぁ……」
何気なく呟いた僕の言葉に、友人はきょとんとした顔を向けた。
「え? ロット? どれも同じ味でしょ?」
「いや、今日のは口当たりが重たいんだよ」
「は?」
この押し問答は延々と続いた。友人には全く理解してもらえなかった。でも僕は確信があった。製造ロットごとに、微妙に食感や風味が違うということに。
数え切れないほど食べてきたからこそ、僕は気づいてしまったのだ。同じ「うすしお」のポテトチップスでも、製造ロットによって好き嫌いが生まれるほどに、僕の舌は敏感になっていた。
まるで、大好きな恋人に対して「今日の髪型は好きじゃない」と言ってしまうようなものだった。
なんということだ! あんなに大好きだった彼女(ポテトチップス)の中に、「嫌い」が混じってしまったのだ! 今日会う彼女は、好きな彼女だろうか? そんなことを考える日々が始まった。
しかし、大人になるにつれて、盲目的な恋は経験に裏付けされた深い愛へと変わっていく。僕もポテトチップスについて、いろいろ調べるようになっていった。
ポテトチップスはじゃがいもでできている。そんなことは誰でも知っているだろう。
でも
- じゃがいもが植物のどの部分か
- 何科の植物か
- 世界に何種類あるのか
知っているだろうか?
意外かもしれないが、じゃがいもは「根っこ」ではなく「茎」なのだ。そして「ナス科ナス属」の植物で、世界には4000種類近くものじゃがいもが存在している。
ポテトチップスには糖度の低い品種が使われていることを知っているだろうか?
糖度が高いと、油で揚げる際に焦げてしまい、美味しくなくなってしまうからだ。
彼女を知りたいがゆえに、似た女性のことまで知りたくなってしまう現象……そんな気持ちだった。
そして、ついに友人が理解できなかった「ロットごとの味の差」の謎も解明された。僕が愛するメーカーは、数品種のじゃがいもを使用しており、季節や仕入れ状況により品種が変わる。品種が変わることで揚げ上がりが変わり、結果として食感や風味に違いが生まれるのだ。
知識を得た今、かつて「好きになれない」と思っていた品種のロットも、何度も味わううちに良さが見えてくるようになった。何度もデートを重ねれば、その人の魅力が見えてくるのと同じように。
今では、あのオレンジのパッケージを手に取る度に「今日はどの味かな?」と心躍らせている。結果として、あのオレンジ色のポテトチップスの全てを愛するようになってしまった。
つまり何が言いたいのか? 知れば知るほど、好きなものはより深く愛せるようになる。そこそこ好きだったものも、理解が深まれば確かな愛情に変わっていく。これは人間関係でも同じことなのではないだろうか?
でも、僕はまだ自称エヴァンゲリストのままだ。
「メーカーさん! ここにあなたの製品を心から愛している人がいますよ!」
そう声を上げ続けて、いつか両思いになりたいと思っている。僕の声が届く日が来ることを信じて、今日もあのオレンジ色の袋を開けるのだ。
***
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