メディアグランプリ

失われた繋がりの恩恵。それはある日突然に


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:菊子(ライティング・ゼミ3月コース)
 
 
6月に入り、一週間も過ぎた土曜の昼下がり。
その知らせは突然届いた。
 
「お客さまの当月の通信量が、通信速度制限対象の容量に到達しましたので、通信速度を当月末まで128kbpsに制限させていただきます」
 
え。制限対象容量に到達。
え。通信速度が128kbps。
え。当月末、まで??
 
なんじゃあそりゃああああ!!!
 
説明しよう。
何が起きているのか。そして我が家の通信環境を。
 
まず、この出来事は、スマホではなく家のインターネット回線で起きている。そして、我が家のインターネット回線は、「工事不要、コンセントに差すだけで即ネット♪」と宣伝されている「ホームルーター」だ。
 
ホームルーターは、4Gや5Gなどの、携帯電話のように「電波」をルーターで送受信するしくみ。回線工事の時間やコストはかからないけれど、光回線のような高速さや通信容量の安心感はない。
 
ホームルーターも、基本的には通信無制限ではあるものの、「3日で10ギガ超えたら18時以降1Mbpsの低速通信」などのゆるい制限がかかる。制限は体感的に遅いものの、ネットも動画もまあまあ見られるレベル。
 
しかし、今回の制限は日々の「ゆる制限」とはワケが違う。
 
「ガチ制限」がかかる数日前、23:59までにアップロードしなければならないテキスト記事の〆切があった。提出時間が迫る中、「ゆる制限」でアップロード先のwebページを開くのにモタつき、焦った私は伝家の宝刀を取り出す。
 
「一時的に、ルーターのモードをハイスピードモードにチェンジ!!」
 
そう、ルーターには二つの通信モードが備えられており、通信量など制約は多いものの、通常より通信が早くなるハイスピードモードがあったのだ! 通信界のドーピングと言ってもよい。(個人の見解です)
 
かくして、その日の課題はギリギリ時間内に提出ができた。
ああ、これで一安心。よくがんばったぜ、私。
夜だけど、甘いものでも食べるがよい。
はあ〜至福。
 
……。はい。
察しのよい方はもう、おわかりですね。
 
私よ!!
モード切替戻すの忘れてるうぅぅぅ!!!
 
ドーピングをした者には相応の対価が。
ハイスピードの容量を超えたものには、月末までの超低速制限が。(金銭で制限解除ができない仕様でした)
 
かくして、 検索のトップページすら表示に何分もかかる、かつて体験したことのないネット環境に陥った。ほぼ不通状態。
 
これが…… あと23日も続くだと!?
そんな状態、耐えられるだろうか?
いや、耐えられない。(反語)
 
「家のネットが繋がらないなら、スマホの通信で全部済ませばいいじゃない」
 
パンがないならお菓子を食べれば位のテンションでそう思われるかもしれないが、スマホはそもそも、そんな大容量の契約をしていない。
 
結局、月末まで動画系は自粛、スマホの通信は容量段階制プランの上限まで許容、PCは瞬間的にテザリング、テレワークも月末まで出勤に変更、といった対処で落ち着いた。
 
常々、ホームルーターの非力さを感じてはいたものの、繋がると繋がらないでは雲泥の差だ。家でネットが繋がらないことがこんなに不便だとは思っていなかった。
 
そもそも、コロナ禍以前は「モバイルルーター」という、持ち歩きのできる無線ルーターを家のネット環境として使う位、消費容量は少なかった。
ところが、コロナ禍になり、強制的にテレワーク環境を整えねばならず、急いで手軽なホームルーターを導入したという経緯があった。当時は通信に不満はなかったけれど、近年、通信量は大幅に増えていた。
 
 
少し話は変わるが、数か月前にスマホが壊れた。
 
テーブルから落としてしまい、二つ折りだったスマホは90度までしか開かなくなった。
 
可哀想なスマホは、ゲーム的に言うと「HP1」の瀕死状態。
まずは機種ブランドの店がある原宿へ行くと、修理受付は2週間先まで予約がいっぱい。新宿にある携帯会社の直営店を勧められ、「たぶんあそこにあったはず」と、原宿から新宿までうろ覚えで向かった。
 
すると、行ったビルには違う店が入っていた。
 
目の前が真っ暗になる。新宿なんてそんなに土地勘はない。スマホは息も絶え絶え、こっちも画面が真っ黒。ネット検索などできたものではない。
これ……どうやって店を探したらいいんだ??
 
辺りを見回す。
目に入った大型電気店に入り、店員さんをつかまえ、恥を忍んで尋ねる。すると店員さんは、店の外まで直接案内してくれるという。なんて親切な…… そして店の表へ出たとたん、「あちらです」と指さした。
 
こんな近くにあったんかい!!
 
スマホがないだけで、こんな近くにあっても自力でたどり着けないとはふがいない。
 
ルーターがほぼ役に立たなくなったこと。
スマホが壊れたこと。
 
この半年の間に2回も、インターネットに繋がらない憂き目にあった。このことで、ネットにいかに依存した生活をしているかを思い知った。
 
私は今アラフィフで、生まれたときはアナログの黒電話からスタートしている。だから、携帯電話もインターネットも、なかった時代を生きてきたはずなのに。
ネットなしで生きる筋力がめちゃくちゃ衰えている。
 
ここで、東日本大震災が起きた時のことを思い出した。
 
あの時、私は東京の職場にいた。
当時はスマホが世に登場してまだ2~3年位。私はガラケーと、「Zaurus(ザウルス)」という、スマホとPCのあいのこみたいなモバイルを持っていた。けれど、通信が繋がったのは職場のインターネットだけ。Zaurusはもちろん、携帯も、電話とメールが長いこと繋がらなかった。
 
今、世の中では巨大地震に備えるテレビ番組をたまに見かける。地震の発生周期にはすでに入っていて、いつ起きてもおかしくないという。
 
とすれば、今のうちに「ネットに繋がらなくなった時、自分はどう対応するのか? 大切な人と連絡をどう取り合うのか?」と、考えたり相談しておくことは、とても必要なことだと思える。
 
一方で、ネット回線が衛星と繋がることで、空が見える場所ならネットと繋がるというCMを見た。これは、「いざという時もネットを失わない」という、企業の新しく大切なアプローチだなと感じた。
 
スマホやネットは本当に便利で、なくてはならない存在となっている。でも、その便利さが失われても生活していけるすべは、日ごろから想定して備えておく必要がありそうだ。
 
ネットに繋がらない突然の出来事は、改めて生活を振り返るよいきっかけだったと思う。
 
 
 
 
***

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2025-06-26 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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