理由のない1000万円の値引きがおしえてくれた、事業における「正しさ」の捉え方とは?
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記事:きよっち(ライティング・ゼミ3月コース)
「この出精値引き1000万円って理由はなんですか?」
「さあ?」
「え?」
例のウイルス騒動が始まる数年前のこと、ある会社の顧問をやることになったときの話だ。
僕は混乱した。1000万円の値引きを「理由なく」できる!?
え? ちゃんとした企業が、そんな「どんぶり勘定」をしてもいいのか?
頭が混乱した。
顧問は、カーナビみたいな仕事だ。
ざっくりいうと、社長さんの仕事は、会社の方向性を決めることだ。
でも、社長さんといえども、万能なわけではない。
顧問は、個別の専門性の高い知識や経験を、社長さんをはじめとする企業の経営者さんへ教えて導く。社長さんをはじめとする経営者のみなさんは、導いた先で最適な仕事を実行する、実行させるのが仕事というわけだ。
僕の場合は、ITの知識を使って、企業の「数値を見える化」することで、経営者が進んだ道が正しいのかを示す道しるべ役をする顧問を仕事としている。
なぜ僕を顧問として必要なのかを、経営陣に聞いてみると「株式上場を目指しているから会計を見える化して、確実なものにしたい」と言う。
会計は言うまでもなく
– その会社のお金の流れが正しいものか
– その会社の利益はちゃんと出ているか
といったことを、見えるようにするためにするものだ。
昔は手作業で紙に書いていたものが、現在では電子データでやり取りされる。
そこで僕のような専門家が現れるわけだ。
しかし、いろいろな会社の顧問をやってみてわかることとして、ちゃんと会計をやっている会社というのは意外に少ない。
結構勘違いされているが「システムがあるから、正しいデータができる」わけではない。
「システムに正しいデータを入れられるから、システムが活用できるデータを作ってくれる」が正しい。
が。システムを入れるだけでデータが正しくなると思い込んでいる方は意外に多いのだ。
「値引き1000万の理由がわからない」
というのは、あまりにぶっ飛んでいて面食らったわけだ。
だって1000万円だよ?
何人の人が生活できるのだろうか?
何台のパソコンが買えるだろうか?
もちろん1回の取引が数億にもなるような企業なので、わからなくはない。
理由のない多額の値引きは「正しいデータ」とは言えない。
では、正しいデータとはなんだろうか?
このとき僕は気付いた!
僕も「正しいデータ」の定義ができていなかった。
仮に理由のない1000万円の値引きがあったとしても、会社の経営が回っていれば「間違い」とは言えないのかもしれない。
もっというと、僕もまた、理由なく「理由のない値引きを悪」にしていたのだ。
よく考えれば、1000万円の値引きを長年の経験でOKとできていて、そしてその会社は何年もそれで回っているのだ。彼らにとっては営業戦略上では「生きる術」であり、まさに「正しい」ことだったのだ。
しかし、僕は、この会社で顧問をする目的は「上場をできるデータづくり」だった。
株式上場というのは、オークションみたいなものだ。
自分の会社の価値を、株式投資家たちが、自分の会社に属する人たちの意思と関係なく勝手に決めるのが、上場だ。
「理由なく1000万円を値引きする会社」
を、株式投資家たちはどう見るのか?
当然だが
「この会社大丈夫か?」
と思うに違いない。
会社における「正しいデータ」は「目的を達成するために、最新であり、活用することができるデータ」だと、僕は定義付けをした。
この会社の「理由のない1000万円」は、
上場を目指さない場合は、会社が永らえていくという目的において「正しいデータ」といえる。
上場を目指す場合は、この会社の価値を高めていき成長をしていくという目的においては「間違ったデータ」と言える。
極めて当たり前のことだが「正しさ」には多面性があり、ひとつの正しさがあるわけではない。
会社の方向性を決めるうえで、データと数値でナビゲーターとして導く人間として、そんなこともわからずに、顧問をやっていたことに恥ずかしさを覚えた。
最終的には、上場という目的の達成のための「正しさ」をこの会社は選択した。理由のない値引きをやめ、値引きをする場合は、その理由に必然性があるのか? というようなことを検討するようになった。
その分、その会社のスタッフがやらなければならないことは増えてしまった。
この点において「正しい」のかは、今もわからない。
目的には一歩近づいたという自負はある。
技術や知識を得ると、どうしても、その「正しさ」に人はしがみついてしまう。
「理由のない1000万の値引き」
がそのことを教えてくれた。
というのが今回のお話。
なのだが……
理由なく1000万円の値引きできるなら……
僕に100万くらいくれないかな…… 笑
***
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