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私ってバカだった──天狼院の三浦店主に二度も騙された話


*この記事は、「ハイパフォーマンス・ライティング」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【2025年6月開講】目標達成するための文章講座「ハイパフォーマンス・ライティング」〜たとえどんなに上手くとも、効果がなければ意味がない。〜

記事:前田 さやか(ハイパフォーマンス・ライティング6月コース)

 

マジか!

私は怒っていた。

まさか一日に二度も騙されるなんて。

しかも、同じ人物に。

いやもう、ブチ切れそうだった。

「劇場版百秘本物語」を見終えた帰り道、私は車の中でブツブツと呟いた。

「本気であの人、世界征服でも考えてるの? 頭の中、どうなってるんだろう。何刀流したら気がすむの? もしかして、あの人の頭の中って大谷翔平と同じ構造なんじゃ……!?」

私を二度も騙したのは、天狼院書店の三浦店主である。

ネット上でしか見たことのない人間に、何度も騙されてたまるか! と思っていた。

天狼院書店と「百秘本物語」の正体

「百秘本物語」とは、短い動画や演劇からなる天狼院書店が仕掛けたミステリー・エンターテインメントである。

そもそも「秘本」とはなんなのか?

実は表紙やタイトルを隠した小説だ。本の熱い解説は添えられている。購入者は解説を手がかりに、題名は知らされず小説を手に取る仕組み。

実は有名書店がどんどん真似をし出して、店主もお困りだという。

これまで天狼院では「秘本」は1900冊以上売れ、特に若い世代に支持されているのだ。

そして「百秘本物語」は「秘本」を題材にした演劇である。

演劇公演前からInstagramのショート動画が公開されている。

謎の男の声と囚われた女の子たちが映っている映像は、見たら誰だって怖くなるはず。

一度ぜひ、見てほしい。

イベントの詳細も載せておく↓

私はこの話の結末が知りたくて仕方なかった。

だからパブリックビューイングに行くことにした。

パブリックビューイング当日(7月21日)

名古屋天狼院に到着したのは19:30少し前。

演劇開始まで間がなかった。

しかもご飯を食べていなくて、受付で豚汁を急いで注文。

夕飯がてら、演劇も見られてラッキーなんて思っていた

最初は美味しい豚汁と格闘していた。

しかし、もぐもぐできない。

俳優陣の熱のある演技につい見いってしまう。

咀嚼を忘れる。

食べながら鑑賞のつもりが、結局箸を置いていた。

詳細な話の内容は書いてしまうとネタバレになるから、あえて内緒にしておこう。(再公演があるかもしれない。小説になる噂もちらっと聞いた)

私は後半で男性が言った会話に驚いた。

『え! AIだったのはこっちじゃなくて、あっちだったのか! やられた』

まんまと騙された。

AIと現実が入り乱れた世界。私の脳は混乱していた。

そして演劇最後の映像シーンでも、何やら女性が手術を受けていた。

最後は女の子が包帯を取って終わる。 

なんだ? 生まれ変わってしまったの?

もしや豚汁食べていて、聞き逃した?

これはもう一度見たくなるやつだ……! と思っていた。

さらに追い打ち「秘劇」「演劇版Book Love」の発表

演劇の余韻が残る中、アフタートークが始まった。

最終日のゲストは三浦店主。

私は演劇お疲れ様でした的な穏やかなトークを想像していた。

しかし全く違った。

『演劇版Book Love』

店主本人による、次なるプロジェクトが発表された。

「恋に落ちるまで演劇をする“演劇版Book Love”やります」

Book Loveとは、天狼院が主催する“恋愛目的読書会”で、本をきっかけに男女が出会い、マッチングを目指すイベントだ。渋谷・京都・名古屋・福岡で同時開催され、累計で302名が参加、72組がマッチングに成功する人気企画である 。

そのイベントを演劇に拡大するという。

3対3の男女が演劇をして、本気で恋に落ちてもらおうと、店主は考えているようだ。

「いやあ。ぶっ飛びすぎている。前代未聞すぎるでしょ笑」

私は心の中で叫んでいた。

もっとヤバそうな演劇が始まるらしい!

そしてもっと壮大なプロジェクトが紹介された。

「来年3月26日千秋楽で『秘劇』をやります! これは観劇じゃないです。参加型のイベントです。皆さんが演じるんです。しかも演劇のマーケティングも学べますよ。1人いくつの演劇をやるかはやってみないとわかりません」

書店の垣根を超えた、異次元のプロジェクトが発表された。

今、絶賛出演者募集中である!

秘劇のヒロイン、ヒーローを天狼院は探している。人生1度しかない興奮を、ぜひ書店の舞台で味わってみてはどうだろうか。

脚本はきっと百秘本物語を書いた店主のはず。面白いに決まっている。

そして、今回熱い演技を見せたスタッフ石綿も出演するだろう。

リアルな体験を一生の思い出にするチャンスだ。

天狼院のAIと“リアル”の価値をかけた戦略

三浦店主は熱く語り出した。

「AIが進んだ今、リアルがいかに大切かなんです。ミステイクや不完全さに価値があるんですよ。だから演劇には相当価値があると思っています」

実際に天狼院はAIに関する講座をいくつも行なっている。

天狼院のnoteでは、映像においては画像生成AIを使った制作の裏話を担当者が語る記事も公開されている。

『劇場版百秘本物語』には“動画作成×AI”の要素が重厚に絡んでいる。まさに三浦店主がやろうとしていることが、演劇として姿を表したのだ。

私の怒りは期待へと変わった

強烈なプロジェクトが立て続けに発表された。

店主の構想に最初は混乱し、私は怒りすら覚えていた。

「ジョーダンじゃない。演劇が最終日って聞いてたのに。全く終わりじゃないか。また騙された!」

しばらくして冷静になると、気づいてしまった。

三浦店主と同じことを考えている人がいることに。

あの大谷翔平選手だ。

彼は「二刀流」に挑み続けている。最初は批判されながらも自分を貫き、今や世界中に感動を届けている。

三浦店主もまた「伝統的書店×AI×演劇×恋愛×マーケティング」という異色の組み合わせを、“自分の世界”として貫き通そうとしている。

型破りなだけではなく、すべてには“お客さんに何かを体験してもらい、人生を変える”という強い意志がある。

気付けば私の怒りは消えていた。

感嘆と期待が残っていた。

私はふと思う。

自分には何か貫いているものがあるのだろうか。

残念ながら、私にはない。

もっと人生のビックプロジェクト考えてみたくなってきた。

気付けば自分まで触発されていた。

やっぱり、三浦店主とは恐るべき人間だ。

《終わり》

 
 
***

この記事は、天狼院書店の目標達成するための文章講座「ハイパフォーマンス・ライティング」を受講した方が書いたものです。「ハイパフォーマンス・ライティング」では、執筆いただいた記事をフィードバックしてもらえます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店/天狼院書店の公式noteのマガジン「READING LIFE/天狼院読書クラブマガジン」にアップされます。

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2025-08-04 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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