『国宝』と「花」と、ドラえもんな店主と──インフィニティ∞リーディングのすべて ≪インフィニティ∞リーディング体験記≫
*この記事は、「ハイパフォーマンス・ライティング」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
記事:前田 さやか(ハイパフォーマンス・ライティング)
⦁天狼院書店にはドラえもんがいる
私はある疑問を持つようになった。 天狼院書店の三浦店主は、本当にドラえもんなのではないか?こんなこと、恥ずかしくて誰にも言えない。 もちろん見た目の話ではない。(店主、もし失礼に聞こえたらごめんなさい) ただ、あまりにも自在に“新しい道具”を出してくる。 しかも、そのすべてが今の自分にとって必要なものであるという点が、どうにもドラえもんと重なるのだ。
私には、木曜の仕事帰りに欠かせないルーティンがある。 それが、天狼院書店で開かれる「インフィニティ∞リーディング」を車で聴くこと。7月23日のテーマは、現在映画でも大きな話題となっている『国宝』だった。
https://tenro-in.com/mediagp/369105/私はというと、当然映画は見た。読書会に合わせて原作も急ピッチで読み進めていた。
「よししっかり予習もしたし、これは話についていけるぞ!」 と思っていたが、甘かった。
三浦店主は、いつだって私の予想を超えてくる。
⦁天狼院おすすめの国宝の楽しみ方
「僕のおすすめはですね、
①映画を観る ②オーディブルで聴く ③『国宝』のインフィニティ∞リーディングに参加する ④『歌舞伎と血と藝』のインフィニティ∞リーディングにも参加する ⑤実際に歌舞伎を観に行く ですね」
ちょっと待って。 ここ、本屋さんですよね? 本を買って読めって話じゃないんですか?
……毎回、天狼院では何かしら“いい意味での裏切り”がある。
そもそも読書会なのに、「本は読まなくてもいいですよ」とスタッフから言われた時から、私は天狼院のスタンスに驚かされていた。
そして今回の衝撃のひと言。
「オーディブル、めっちゃいいんすよお。本物の歌舞伎役者が語ってくれてるんで」
マジか!?
私は本で読んでいて、歌舞伎の台詞の部分はちょっと理解が難しくて、読み飛ばしていたところもあった。
でも、音で聴くことで臨場感が生まれ、理解が深まるのだという。
しかも店主いわく──
「1.75倍までは人間、理解できます。2倍になると急に落ちますから」
いや、速聴の指南までしてくれる本屋の店主って、どこ探しても他にいないでしょう。
この「必要なときに、必要な情報や道具を出してくれる」感じ。
私はもう、三浦店主のことを“ドラえもん”と呼ぶことに決めた。
しかも、読書会が始まると更に驚いた!
なんとAIと会話を始めたのだ。
「こんにちは。ねえ、吉田修一のおすすめ作品、教えて欲しいな」
「吉田修一さんですね。『怒り』や『横道世之介』などが評価されています。人間の内面描写が深いですね」
「ほらね。今はAIと普通に話せるんですよ。うちの息子もAIに質問してますから」
ドラえもんは、毎回3人のAIを連れてくる。
しかも、そのAIたちの性格や癖、長所や短所まで把握していて、「いま一番活躍できるヤツ」を的確に選んで使う。
もはやAIとの“読書会”というより、“未来型対話空間”に近い。
そしてこの日、店主が放った宣言はこうだった。
「今日は『国宝』を500%楽しむ会にします」
その言葉──本当に嘘じゃなかった。 まずは、吉田修一という作家について。 名前は知っていたが、話を聞いて私はどんどん惹かれていった。 「吉田修一はね、日本一の作家です。情景描写がとにかく上手いのに、ストーリー展開も完璧。普通はどっちかが上手いんだけどね。つまり、彼は大谷翔平なんです」 ──なるほど、二刀流の才能ということか。 それは確かにやばい。 実際に吉田氏は歌舞伎をリアルに体験するため、黒子として現場に入り込み、全身で世界を吸収していたそうだ。 「そこまでやるの!?」というほどの熱量。もう作家というより“変人”だ。 そこから話は、映画『怒り』へ。 「『怒り』って観ました? あれも吉田修一原作で、監督は李相日。『国宝』と同じ組み合わせ。すごいですよ。喜久雄の子役やってた子が出てるんですよ。あの子の演技もやばかったよね」 ……この人、ほんとうに「国宝マニア」だ。 何と店主は、東宝が公開している制作秘話の特別映像まで紹介してくれた。⦁『風姿花伝』について店主が語る
私が「天狼院らしいな」と思ったのは、この作品の「花」というテーマについて、『風姿花伝』(世阿弥)を引き合いに出して解説してくれた場面だった。
実は本書もこの読書会で取り上げられている。
国宝を500%楽しむため、ドラえもんが古い道具を出してきたのだ。
【動画講座/2025年7〜9月】人生を変える、究極の読書体験「インフィニティ∞リーディング/INFINITY ∞ READING」TYPE C 7月課題本『風姿花伝・三道』
──そう、まさか現代小説の解説に、室町時代の芸能論が登場するとは。
『風姿花伝』には、こう書かれている。
「花とは、新しきなり」
美しいものの代表のように思える「花」だが、それは“観客にとって新しいもの”だというのだ。
『国宝』には、2人の主人公がいる。
喜久雄──その存在そのものが、美。誰もが見惚れる天才。
俊介──芸の家に生まれながら、見た目には恵まれなかった青年。
2人はともに「花」を追い続け、苦悩し、舞台に立つ。
俊介はやがて両足を失いながらも、舞台に立ち、人を感動させる存在となる。
その姿にこそ、「新しさ」が宿り、「花」が咲く。
生まれつきの才能だけが「花」ではない。
その人が何を積み重ね、どう生きたか。
そこからにじみ出る“何か”が、やがて人の心を動かす──。
『風姿花伝』を知ることで、『国宝』の奥行きがより一層深まった気がした。
⦁情報のシャワーに溺れる私
そのほかにも、俳優陣の演技、カメラワーク、映画と原作の違い、制作サイドの意図など、話題は尽きなかった。
店主の解説は、情報のシャワーだった。
とにかく濃い。濃密。情報まみれの2時間。
……だけど、不思議と苦じゃない。
天狼院は毎週、私を知の冒険に連れていってくれる。
未来の道具を使いこなしながら。
こんなふうに、天狼院の読書会は“読む”を超えていく。
AIとの対話も、映像も、音声も、すべては“作品をもっと味わうための手段”として融合している。
この革新性こそ、天狼院の「花」なのかもしれない。
⦁インフィニティ∞リーディングに私が病みつきになる理由
なぜ私は、毎週インフィニティ∞リーディングに通ってしまうのか?
1ヶ月ほど、受けてようやくわかった気がする。
私は「花」に出会いたいのだ。
心が震える瞬間に、出会いたくてたまらないのだ。
そして来週も、私はきっとドラえもんに会いにいく。
また、新しい“ひみつ道具”を受け取りに──。
≪終わり≫
■「インフィニティ∞リーディング 〔TYPE W/ウェルネス〕」とは?
究極の読書会「インフィニティ∞リーディングTYPE-W(ウェルネス)」は、健康や身体づくり、長寿に関する書籍を中心に取り上げ、参加者全員で深く学び合いながら“140歳まで生きる”という壮大な目標に向けて知見を広げる、新しいリーディング体験です。単なる学習の場にとどまらない「ウェルネス=健やかさ」を体得する場を目指しています。
具体的には、健康に関する名著や最新の研究、実践事例などをAI解析のサポートも取り入れながら多角的に読み解き、天狼院書店の空間ならではの対話を大切にし、参加者同士の交流から生まれる“化学反応”も体感できる点が大きな魅力です。本イベントを通して、日々の生活に役立つヒントを実践し、心身ともに健やかな状態を作り上げる。
そして、最終的には天狼院が掲げる“140歳まで生きる”というゴールへ、みんなで一歩ずつ近づく。そのためのプラットフォームとなるのが、この「TYPE-W」の目指す姿です。
ぜひ、あなたもこの知的体験を共有する一員となってください。
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