声が遅れて聞こえてきたら『逃げ恥』理論でポジティブに
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事::星空 志音(ライティング・ゼミ5月コース)
「文筆家になります!」
声が……遅れて……聞こえて……くるよ……。
あの有名な腹話術の名台詞と共に、自身が吐いた言葉が聞こえてきた。まさか一年前に口にしたその言葉がブーメランのように返ってきて、今現実になろうとしているなんて。
順番が逆じゃないか!
先に婚姻届を出して、契約を結び、のちに本当の愛が生まれた。
あの有名なドラマと同じ展開が私の身にも起こるなんて、思ってもみなかった。
「結婚しましょう!」
第1話で飛び出す突拍子もない宣言。それと同じく
「文筆家になります!」
私も大概突拍子もない宣言をしてしまった。しかも推しに。
推しに宛てて書いた手紙の一文。
淡い夢が種から芽を出したもののまだ土の中で、自分でもよく自覚出来ていなかった頃、何を血迷ったのか、私は推しに宣言してしまった。
正直その時はそこまで強い想いではなかった。なんせ文筆家なんて、どうやってなったらいいのか、なり方もわからないし、なれる人なんて極少数しかいないことはその当時の私でもわかっていた。
その上、何をするにも石橋をこれでもかというほど叩いて、衝動買いなどしたことのない、安心安全をモットーにしてきた性格の人間だ。そんな人間が勢いに任せて、人生を揺るがすほどの大胆発言をするなんて。
今思い出しても、どうかしていたとしか思えない。
愛が生まれる前に婚姻届を出したように、私も確かな想いが生まれる前に紙の上で宣誓してしまったのだ。
口に出した言葉はもう取り消せない。なかったことには出来ない。
有言不実行になりたくなかった私はそれから文章を書くことを日課にした。noteという場所に毎日言葉を書き綴った。推しに見られているわけはないことぐらいわかっていたが、サボってもバレない日記帳とは違う。三日坊主で辞めてしまったことも全て伝わってしまうその場所は、いい意味で強制力がかかり、結果今日まで一日も休まずに書き続けている。
そんな私が、天狼院書店のライティング・ゼミに出会った。
文筆家になりたいと毎日書き続けていたものの、上達の仕方が分からない。そんな時に偶然にも書くことを学べる場所に出会ったのだ。
「ライティング・ゼミ挑戦してみませんか?」
もし推しに宣言をする前に天狼院に出会っていたなら、店員さんの素敵な声かけも他人事のようにスルーしていただろうと思う。でもその時の私は、宣言した手前引くに引けない状態になっていたのだ。うっかり先に吐いた自身の言葉が退路を断つ。そこから4か月毎週2000字を書く生活が始まった。
まず1作目は、推しの影響で筋トレを始めた話を書いた。すると「影響を受け私も筋トレを始めました。志音さんも続いていますか?」という感想が届いた。これは言った手前私がやめるわけにはいかない。自分の放った言葉が自分を鼓舞する。結果、運動が大の苦手だった筋トレが、文筆同様毎日続いている。
それからも、人生はいびつな形でもいいと気づいた話だったり、「−1」の乗り越え方の話だったり、読んでくださる方が明るい気持ちを持って帰ってもらえるよう、ポジティブな言葉で終わるような文章を書き続けた。すると不思議なことが起こった。
「あれ? 私ってこんなにポジティブな人間だっけ?」
4か月の執筆生活が終わりに近づき、ポジティブな文章を書くことが当たり前になった頃、ふと思ったのだ。
「私ってネガティブの塊のような人間じゃなかったっけ?」
うつ病を経験し、自己肯定感が皆無で、後ろ向きな言葉ばかりに囚われていた少し前の自分は、どこに行ったのだ?
ネガティブまみれの私の人生を、文章を書くという過程でどうにかこうにかポジティブに変え、私の負の経験も誰かをポジティブに出来る何かになったらと。そうして紡いでいた言葉たちが一番ポジティブにしていたのは、自分自身だったのだ。
本来とは順番が逆。
ポジティブになってからポジティブな文章を書くはずなのに、書いたおかげでポジティブになる。
文筆家になるという道筋が立ってから伝えるべきなのに、先に宣言してしまってそれが本当の夢になる。
先に婚姻届を出し、契約上同居したりハグをしたりしていたら、最後に好きという気持ちが生まれる。本来とは全て逆の順序で進むのに、それゆえに愛が生まれた名作のドラマ『逃げ恥』
この不思議な逆転現象が起こると「逃げ恥と一緒だ!」と明るい気持ちになれることから、勝手ながら『逃げ恥』理論と名付けて生活に活かしてみることにした。
ニワトリが先か卵が先か?
どちらが先かわからないなら、先に産んでしまおう、ポジティブな言葉を。
だって言葉にした時にその言葉を一番聞いているのは、自分自身なのだから。
汚い言葉も綺麗な言葉も一番聞いている自分自身。
だからこそ、悪口は言わない。
誰かを下げるようなことは言わない。
自分を下げるようなことも言わない。
先に言葉があったっていいじゃないか!
「こうなりたいな。でもまだなれてないし公言できないな」って思うけど、言葉にしてしまえば現実が近づくことだってある。
自分を鼓舞するために、自分で自分に魔法をかけよう。
人の吐く言葉は自分には決められない。
でも自分の吐く言葉は自分で決められる。
どうせならネガティブな言葉よりポジティブな言葉に仲間になってもらおう!
遅れて聞こえてきた自分の声が、自分を励ます。
「文筆家になりたいって言ってみて良かったじゃないか。だって今こうして文章を書いている。マイナスなことだって乗り越えられるようになった。1年前から想像もつかなかった未来になっただろう?」
腹話術のようにもう一人の自分の声が聞こえた。
一年前の自分と、今の自分が、両の手におさまり、パペットのように会話している。
「一年前に宣誓してくれてありがとうね。ポジティブに生きてみる。そして本当に文筆家になるよ!」
この言葉がさらに未来の自分を鼓舞してくれると信じて。
***
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