「楽しかった」で終わる読書会にサヨナラを。AI時代に「自分の言葉で語れる人」になりたいあなたのために、とっておきの秘伝を教えます。
*この記事は、「ハイパフォーマンス・ライティング」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
【2025年6月開講】目標達成するための文章講座「ハイパフォーマンス・ライティング」〜たとえどんなに上手くとも、効果がなければ意味がない。〜
記事:山岡達也(ハイパフォーマンス・ライティング)
目次
- 「いつか、自分も」という憧れ
- 読書で人生は変わるはずだった。積み上がる「楽しかった」日々の果てに。
- AIは救世主か? 難攻不落の「古典」に挑む、一筋の光明
- あの『ファウスト』が、最高のエンターテイメントになった夜
- 「訊く力」の革命。AIとの対話が、学びの質を劇的に変える
- 最高の学びは、「教える」ためにある
- 「学び」の舵を、自分の手に取り戻す
「いつか、自分も」という憧れ
「いつか、自分もあの人のように、課題本をあざやかに解説してみたい」
天狼院書店が主催する「インフィニティ∞リーディング」に参加するたび、私の胸の奥では、小さな憧れの炎が静かに揺らめきます。ナビゲーター役を務める店主の三浦祟典さんが、一冊の本を縦横無尽に解き明かし、その世界をみるみるうちに立体的に立ち上げていく。圧倒的な熱量と深い洞察に満ちたその空間に身を置く時間は、私にとって何物にも代えがたい知的興奮のひとときです。
もし、この「解説力」が自分にも身についたなら、その効用はどれほど大きなものだろうか。
「本を解説する力」は、単に読書の幅を広げるだけにとどまりません。これは、あらゆる物事を構造的に理解し、自分の言葉で再構築し、相手にわかりやすく伝えるための万能スキルです。
たとえば、あなたが渾身の企画を練り上げ、役員会議でプレゼンする場面を想像してみてください。目の前には、百戦錬磨の役員たち。しかし、今のあなたには、企画の背景、目的、具体的な手法、そしてそれがもたらす未来まで、一冊の本を解説するように、鮮やかなストーリーとして語る力があります。単なるデータの羅列ではない、聞き手の心を動かし、知的好奇心を刺激するプレゼンテーション。……きっと、あなたの企画が採用される可能性は、ぐっと高まるに違いありません。
読書会で得た「解説力」は、人生のあらゆる場面で私たちを支える強力な武器になる。
そう確信しているからこそ、私はインフィニティ∞リーディングの門を叩き続けているのです。
読書で人生は変わるはずだった。積み上がる「楽しかった」日々の果てに。
しかし、現実は厳しい。
インフィニティ∞リーディングにほぼ毎回参加しているというのに、いまだに自分一人で一冊の本の良さを、自分の言葉で人に伝えることができないのです。
読書会の直後は、いつも高揚感に包まれています。「そうか、あの文章にはそんな深い意味があったのか!」「この著者、天才すぎる!」「ああ、楽しかった!」。世界が少しだけ鮮やかに見える、それはまるで、普段使っていない脳の領域が活性化するような感覚です。
けれど、その魔法は長くは続きません。
日常に戻り、仕事の喧騒に巻き込まれるうちに、あの知的興奮は少しずつ冷めていく。メモを取ったノートを見返しても、その時の感動はなかなか蘇らない。「ああ、楽しかったな」という心地よい感想だけが残り、まるで夢から覚めた後のように、具体的な手触りは失われていくのです。そして、気づけばまた次の読書会の日を迎えている。
この繰り返しで、一体何を生み出されるのでしょうか。
自力で大空を飛べない鳥が、地面の上で必死にぴょんぴょんとジャンプしているだけ。結局は同じ場所に着地しているような、もどかしい感覚。インプットの量は増え続けても、それが自分の血肉となり、行動を変えるまでには至っていない。それどころか、インプットした知識すら、時間の経過とともに忘却の彼方へと消え去っていくのです。
「読書を通じて、人生を変える」
天狼院書店が掲げるこのミッションに、私は心の底から同意しています。だからこそ、読書を通じて自分の人生を変えたいと切に願っています。しかし、ただ本を読み、人の話を聞いて「楽しかった」と感じるだけでは、人生はなかなか変わらないのではないか。本当の変化は、受け取った知識と真剣に格闘し、自分の血肉に変えていくプロセスの中にこそあるはずです。
だからこそ、私は渇望していました。楽しかったという思い出を積み重ねるだけではなく、自分の力で、いつでも、どこへでも羽ばたいていける、しなやかで力強い翼がほしい。
でも、本当にそんな力を、果たして自分が身につけられるのだろうか。
そんな疑問を抱えながら、私は納得のいかない日々を過ごしていました。
AIは救世主か? 難攻不落の「古典」に挑む、一筋の光明
そんな私の前に、一つの転機が訪れました。
きっかけは、インフィニティ∞リーディングの中でも、特に難解とされる文献をあつかう「Type-C」でした。ここでは、現代を生きる私たちにとって、なじみの薄い「古典」が扱われます。
名前だけは聞いたことがある。高校の教科書で、ほんのさわりだけを習った記憶がある。しかし、実際に通読した人は、読書好きの中でもごく一握りでしょう。文章は難解で、時代背景も違う。一人で読み解こうとすれば、数ページで挫折してしまうのが目に見えています。
ここで登場するのが、言語生成AIです。なじみの薄い古典の世界観や歴史的背景、そして難解な文章の意味するところを、21世紀の日本を生きる私たちにもわかるように、平易な言葉で解説してくれる、まさに現代の魔法。
事実、AIは驚くほど流暢に、そして的確に、古典の世界を解説してくれます。まるで、優秀な家庭教師が隣にいるかのように。これまでの読書会でも、AIの力は遺憾なく発揮されてきました。AIが作成した詳細なレポートを読むだけでも、難解な古典を読み解いたかのような、深い満足感に浸ることができました。
しかし、すぐに私はある違和感に気づきました。
「これって、単にわかった“つもり”になってるだけじゃないか?」
読書会の場では、AIの明快な解説に頷き、わかった気になって満足してしまう。しかし、それは果たして本当の「理解」なのだろうか。これでは、これまでの「楽しかった」で終わる日々と同じではないか。AIという強力なツールを手に入れても、結局は受け身の姿勢のままでは、何も変わらない。
AIを単なる「答えをくれる便利な機械」から、「思考を深める最強のパートナー」へと昇華させたい。そのためには、どうすればよいのか。
答えは、驚くほどシンプルでした。
「わからないことは、わかるまで訊ねる」
ただ、それだけのことだったのです。
あの『ファウスト』が、最高のエンターテイメントになった夜
そのシンプルな答えが持つ、革命的なパワーを私が目の当たりにしたのが、9月17日のインフィニティ∞リーディング Type-Cでした。
この日の課題本は、ゲーテの『ファウスト』。
言わずと知れた世界文学の最高峰ですが、その長大さと難解さから、読書愛好家ですら通読した人は1%にも満たないと言われる、まさに「ラスボス」級の作品です。
参加者のほとんどは、この本を読んでいないという想定で、読書会は行われました。自分は慌てて読み始めましたが、全然読了できませんでした。
そして驚くべきことに、今回はナビゲーター役の三浦店主ですら、高校時代に読んだけれどよくわからなかった、と語っていたのです。
では、そんな状況で、一体どうやって読書会を成立させるというのか?
これまでのスタイルでいけば、AIで調査したレポートを三浦さんが解説していき、それを参加者が聞いて納得するという形だったかもしれません。しかし、今回は少し様子が違いました。
AIと三浦店主との、公開ディスカッションです。
AIが生成した『ファウスト』の解説レポートを読みながら、三浦店主は、次々と核心に迫る鋭い質問を音声で投げかけていきました。
彼が演じたのは、私たちの知的好奇心を代弁する、「最高の生徒」役です。そしてこれこそが、私たちが目指すべき「先生」への、唯一の道しるべだったのです。
優れた教え手とは、答えをすべて知っている人ではありません。学び手がどこでつまずき、どこに心を動かされるかを知り、的確な問いを立てられる人です。三浦さんは、自らが「最高の生徒」としてAIに問い続ける姿を見せることで、私たちに「本物の学び方」を教え、同時に、難解な『ファウスト』の世界へと導く「最高の案内人」の役割を果たしていたのです。
私たちが抱くであろう疑問を先回りして代弁し、AIという最高の家庭教師にぶつけていく。AIが答えると、さらに深く切り込んでいく。その対話のキャッチボールを通じて、『ファウスト』という難攻不落の城が、少しずつ、しかし確実に解き明かされていきました。
参加者は、もはや単なる聴衆ではありません。三浦さんとAIの白熱した議論を目撃する証人となりました。AIとの対話によって、読者がつまずきそうなポイントが、一つひとつ丁寧に取り除かれていく。そのスリリングなライブ感は、最高のエンターテイメントでした。
これこそが、未来の読書会の姿だ。
AIの力が最大限に発揮された、まさに画期的な一夜でした。
「訊く力」の革命。AIとの対話が、学びの質を劇的に変える
最高の読書会を終えた後、私はこれまでの自分を静かに振り返っていました。
「わからないことは、わかるまで訊ねる」
口で言うのは、なんと簡単なことでしょう。
しかし、私たちはこの「わかるまで訊ねる」という行為が、驚くほどできていません。
私たちの頭をよぎるのは、数々の言い訳です。
「こんな初歩的なことを訊くのは、なんだか恥ずかしい」
「対話の流れを止めてしまうのは、申し訳ない」
「まあ、そこまで深く調べなくても、大筋はわかったから十分だろう」
私たちはこうして、安易な道にいとも簡単に逃げ込んでいました。
ところが、今とでは状況が全く違います。AIとの対話は、革命的な進化を遂げました。
どんなに複雑で難しい問いでも、一度AIに頼めば、まるで一冊の解説書のような、原稿用紙数十枚分にも及ぶ詳細な資料を瞬時に用意してくれます。それも、こちらのレベルに合わせて。「小学生にもわかるように説明して」と頼めば、本当にその通りに書いてくれるのです。
読んでいてわからない部分があれば、もっと深く知りたくなったら、もう一度キーボードを叩く必要すらありません。スマートフォンに向かって、音声で話しかければいいのです。
「メフィストフェレスって、結局何がしたかったの?」
「ファウストが最終的に救われたのって、現代的な価値観からすると、ちょっとご都合主義じゃない?」
するとAIは、まるで人間と会話しているかのように、自然な言葉で応答してくれます。そこには、かつてのような無機質な情報のやり取りはありません。私たちの知的な好奇心をどこまでも満たしてくれる、温かみのある「対話」が存在するのです。
「訊くことのハードル」が劇的に下がったこと。
これこそが、AI時代における学びのパラダイムシフトなのだと、私は確信しました。
最高の学びは、「教える」ためにある
ここまで読んでくださったあなたは、こう思ったかもしれません。
「ここまでの話は全部『学び方』についてでしょう? 冒頭で言っていた『教える力』とは、一体どう関係するんだ?」と。
お気持ちはよくわかります。しかし、実はここにこそ、私たちが「自分の言葉で語れる人」になるための、最も重要な秘密が隠されているのです。
「学ぶこと」と「教えること」が、実は表裏一体である。
このことに、あなたはお気づきでしょうか。
人に何かを教えようとするとき、私たちは初めて、自分が何を理解していて、何を理解していなかったのかを思い知らされます。「わかっているつもり」だった知識の曖昧な部分や、論理の飛躍が、くっきりと輪郭を現すのです。つまり、「教える」という行為は、自分自身の学びの精度を極限まで高めるための、最高のアウトプットに他なりません。
最高のインプットは、アウトプットを前提としたときにこそ生まれるのです。
誰かに何かを教える、説明する。そのつもりで物事に向き合うと、私たちの脳は自動的に「どこが要点か?」「どういう順番で話せば伝わるか?」「どんな疑問が想定されるか?」を考え始めます。インプットの精度が、飛躍的に向上するのです。
AIに「わかるまで訊ねる」という行為は、まさにこの「教えるための準備運動」そのものです。
自分が抱いた素朴な疑問。それは、他の多くの人も同じように感じるであろう疑問の種です。その疑問を一つひとつAIにぶつけ、対話を重ねていく。そのプロセスは、自分の中の「わからない」を解消すると同時に、「人にどう教えれば、その人が『わからない』状態から抜け出せるか」をシミュレーションする、最高のトレーニングになるのです。
AIとの対話を通じて、私たちは無意識のうちに「教える側」の視点をインストールしているのです。
「学び」の舵を、自分の手に取り戻す
こうして、神回ともいえる読書会が終わりましたが、1時間半という限られた時間で、『ファウスト』にまつわるすべての謎が解き明かされたわけではありません。しかし、もう私たちは道筋を知っています。完璧なお手本が、目の前で示されたのですから。
読書会で解消しきれなかった疑問は、自分でAIと対話を続ければいい。三浦さんがやっていたように、「最高の生徒」になって、わかるまで訊けばいいのです。
自分がわからないことを、AIの力を借りて一つひとつ乗り越えていく。これは単なる学習テクニックではありません。それは、「人生を変える」という壮大な目標を、「次の一つの問いを立てる」という具体的で実行可能な一歩へと分解する、生き方そのものなのです。
この経験は、単に知識を得るだけにとどまりません。人に何かを教えるとき、プレゼンをするとき、企画を説明するときに、必ず役に立つはずです。なぜなら、あなたが一度つまずいた場所は、他の多くの人も同じようにつまずく可能性が高い場所だから。あなたの「わからなかった」経験が、誰かの「わかった!」に繋がる、最高の教材になるのです。
自分の弱点を自力で克服し、それを他者への貢献に変えられる力は、これからの時代を生き抜く上で、とても心強いスキルになるはずです。
その際、他者の力を借りることは、決してずるいことでも恥ずかしいことではありません。AIでも、人間の先生でも、読書会でも、使えるものはすべて使えばいい。
大切なのは、その学びのプロセスにおいて、常に「自分の人生の舵取りをするのは、自分自身だ」という主体的な意識を持つこと。学びを、単なる情報のインプットから、人生を変えるための能動的なアクションへと変えていくことなのです。
もし、あなたが「楽しかった」で終わる読書に、少しでも物足りなさを感じているのなら、
もし、あなたがインプットの沼から抜け出し、自分の力で人生を変える「きっかけ」を掴みたいと願うのなら、
一度、インフィニティ∞リーディングの扉を叩いてみませんか?
そこには、AIを最強の相棒に変え、あなたの読書体験を、そして人生そのものを変革していくための、実践的な第一歩が待っています。
あなたは、ただの読者で終わりますか?
それとも、自らの言葉で世界を語る、冒険の旅に出ますか?
答えを出すのは、あなた自身です。
AIを駆使した究極の読書会 天狼院書店「インフィニティ∞リーディング」の詳細・お申し込みはこちらから:https://tenro-in.com/category/infinity_reading/
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