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女神様は、スカートを履いたおじさんになっていたかもしれない。


人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:松下広美(チーム天狼院)
 
「本当に申し訳ありません」
 
心の中でつぶやき、そして口に出してみる。
ほんとうに小さな声で。
 
21時半頃だっただろうか。
誰もいない場所で、ひとりっきりでいるには広い場所で、パソコンの前に座っている。
 
もっと伝えることがなかっただろうか。
先にいろいろ考えておくべきだっただろうか。
反省しかない。
 
でも。
 
「祝杯あげましょう!!!」
 
そんなメッセージを、送る。
 
すぐに、
 
「祝杯を、ガチで!」
 
と、返ってくる。
 
私たちは、あるときから同志だった。
もしかして私だけが勝手に思っているだけ、なのかもしれない。
 
でもやっぱり何度考えても彼女とは同志なのだ。
 
 
今から2年半ほど前に彼女とは出会った。
池袋のスタジオで、とある撮影イベントに参加をするひとりだった。
そこでは何を話したかなんて、全く覚えていない。
普段は名古屋にいる私が東京で担当したイベント。前任者から引き継いだもののわからないことだらけで、バタバタしていたことしか覚えていない。
名古屋よりも人数が多い上に、私にとっては「はじめまして」の人ばかり。
でも、そんなことは言ってはいられず、どんどん進行していく。
 
そこから半年くらい、東京でそのイベントを担当をしている間、彼女とは毎月会った。
メッセージやメールでイベントのことをやり取りする間柄。
要するに、お客様とスタッフの関係だ。
 
一度、撮影とは別に飲み会のイベントを開催した。
そのときも彼女は参加をしてくれた。
 
その飲み会で語られたのは、
「秘めフォトに参加したきっかけ」だった。
 
そう。撮影イベントとは「秘めフォト」のことで、彼女は秘めフォトに毎月参加をしているひとりだった。
 
秘めフォトは女性限定のイベントで、参加する年代は幅広い。
18歳から73歳まで、参加をしている。
ただ、その飲み会に参加をしたのは偶然、私を含め、同年代だった。
 
40代。
 
アラフォー、アラフィフ、とカタカナで言えば少しカッコよくも聞こえるが、実際のところ、おばさんだ。
 
若さは大いにして残酷だ。
 
20代の時、少し年上のお姉さんに「若いっていいわね」と言われたが、今になって痛いほどわかる。
 
40代で若さの恩恵が受けられないのはもちろんだが、身体は無理が効かなくなってきてる。でも仕事ではベテランと呼ばれ、多少の無理も必要だ。そして、男なんかに負けられるかと鎧を着込む。
いちばんキツいのは、ふとしたときに鎧を脱いで
 
「私って、女としてどうなんだろう」
 
と、思うとき。
 
仕事をしているときであれば、まだいい。
それが深夜。ひとりでお酒を飲んでいるときに思うと、かなりキツイ。
 
彼女は後で言っていた。
「スカートを履いたおじさんになりたくなくて、秘めフォトに参加をした」と。
 
このことを聞いたとき、既に同士だと思っていたのかもしれない。
 
 
それからしばらく経ち、「絶対麗度ラボ」というものが立ち上がった。
秘めフォトから派生したサービスで、このラボに参加をすると秘めフォトが撮り放題になる。
ただの秘めフォト撮り放題ではない。
 
「絶対麗度」とは、
 
他人が決める相対的な美しさではなく、自分が決める絶対的な美しさ
 
である。
その、自分自身の絶対麗度を目指していくためのラボである。
 
彼女は、絶対麗度ラボのメンバーのひとりになった。
 
絶対麗度ラボでは、多くの女性が参加をした。
秘めフォト同様に、年代も幅広い。
20代〜60代の方々が参加をした。
それぞれに「絶対麗度」を定め、秘めフォトを毎月撮影し、ジャーナリングを残し、絶対麗度ライティングとして、自分自身を見つめる文章を書いた。
 
私はスタッフとして、秘めフォトでアシスタントを務めるのと、絶対麗度ライティングでフィードバックをお返しするという役目だ。
 
秘めフォトの撮影は、完璧な撮影をするカメラマンの三浦がいるので、全く問題ない。
既に秘めフォトの撮影だけで、彼氏ができた、結婚した、仕事がうまくいくようになった、と数多くの報告を受けている。中には、自殺するのを辞めた、という報告もあったくらいだ。人生を変えるのは、秘めフォトだけでも十分なのだ。
 
問題は絶対麗度ライティング。
内面をさらけ出すのが文章だ。外見は華やかでも内面はこんな状態だと伝えるのは、裸を見せるより恥ずかしいかもしれない。
 
私ってこんなひどいことを思っているって知られたくない。
ドロドロの状態なんて見せたくない。
コンプレックスだらけの私なんて嫌いだ。
 
自分と見つめ合うことは、正直辛い。
しかも、それを人に見られるなんて……。
 
でも、毎月のライティングを、参加者のみなさまは提出してくれた。
絞り出すような言葉で短く書かれている方、とにかく出し切ってしまおうという想いを感じる方、と、いろいろな方がいた。
 
お会いしている方は、それぞれの方の顔を思い浮かべながら、フィードバックをすることができたので、案外すんなり書けることが多かった。
こんな言葉で伝えると、きっとポジティブな気分になってくれるだろうと言葉を綴る。
ときには、そんな状況だったの? と驚くこともあったが、それは会ったときに伝えるのでもいいなと思ったりした。
 
問題は、会ったことのない方、だ。
どんな人柄かわからない。どのような言葉をかけるべきなのか、強い言葉ではダメージがあるだろうか、でも当たり障りのない言葉では思いを伝えられない。
ときには、提出された文章を読んで、しばらく悩むこともあった。
 
Aさんは、正直どうしていいかわからない、ひとりだった。
毎月、しっかりと文章を提出してくれる。しかもなかなか重い文章だった。
心の中のグチャグチャしたものを、一滴残らず絞り出してしまいたいという想いのように感じられた。
私はこの文章に対して、フィードバックをする資格があるのだろうか、私の言葉でさらに傷つけてしまわないだろうか、言葉一つひとつ慎重に置いた。コメントを送った後、返答があるまで心配で仕方なかった。
 
聡明なAさんだから、私も救われた。
頼りないフィードバックの言葉に対し、いつも感謝の言葉を送ってくれた。
 
そして、少しずつ、文章が変わっていった。
ドロドロのネガティブな話から、置かれている状況も言葉も、階段を一段一段登るように、ポジティブになっていた。
これはフィードバックの力ではなく、絶対麗度ライティングの力だと思っている。
 
絶対麗度ライティングの中では、好きに書いてください、と伝えている。
ただし、ひとつだけ約束がある。
「最後、ポジティブで終わってください」と。
どれだけネガティブなことを書いても大丈夫です。でも、最後の一文だけでも、ちょっとポジティブに書いてくださいとお願いしている。
Aさんはこれを忠実に守ってくれたのだ。
 
 
このAさんの話を、同士の彼女と話すことがあった。
あんな素敵な方なのに、男は見る目がないのだろうか。
もっと自信を持っていいのに。
幸せになってほしい!
 
Aさんは、私たちにとっては妹のような存在かもしれない。
おじさんになりかけていた(なっていた)私たちには、Aさんは輝く存在でしかなかった。
 
「Aさんが幸せになるまで見守ろう」
と、いつしか合言葉のようになり、同士としての絆が深まった(と思っている)。
 
 
それから何ヶ月も過ぎ、先日の日曜日のこと。
イベントの前準備をそろそろ始めようかと思ったときに、ひとつのメッセージが届いた。
 
「昨夜、プロポーズをしていただきました」
 
それは、Aさんからのメッセージだった。
この一文だけではない、Aさんらしい何行にもわたるメッセージが届き、読み終わる前に涙が止まらない。
 
何度も冷静になろうと深呼吸して気持ちを落ち着けるが、メッセージを読むたび、そしていろいろと思い出す度に涙があふれてきて、今にも叫びだしそうな気分に……。
 
すぐにでも、同士の彼女にメッセージを……。
 
いや、だめだ、ここで送ってはいけない。
 
たぶん、Aさんのことだから、彼女にもメッセージをしているはず。
それに、絶対麗度のグループに報告をするはず。
私が勇み足をしてはいけない、と。
 
ただ、気持ちを持っていく場がなく、ひとり片隅で号泣をする、怪しい女になっていた。
誰にも見つからなくてよかったと。
 
 
その後、絶対麗度ラボのグループに報告があり、そして翌日のこと。
 
ただ、これは改めてお祝いメッセージを送らねばならないのでは、と思う。
さてどうしようかと考えたときに、絶対麗度ラボのグループでのFacebookライブだった。
スタッフという特権を手に、直接メッセージを伝えようとライブを開催。
 
しかし、やはり「おめでとうございます!」と言おうとすると、涙が出てしまい、うまく話すことができない。
お知らせを話しながら、もう一度話を戻そうと思うのだけど、思い浮かべるだけでヤバい状況。
Facebookライブで号泣!?
いやいやいや、と、ちょっとだけ残ったプライドが押し留める。
 
そして、当たり障りのない、そしてそっと静かなFacebookライブが終わる。
 
 
ああ、毎回こうだ。
嬉しすぎて感情が高まると、泣いてしまい、気持ちがしっかりと伝えられない。
今回だけではない。
昨年、絶対麗度ラボに参加をして、今年の春に結婚を決めた方にも、おめでとうございます! と直接伝えたものの、本当はもっといろいろ話したかった。でも泣いてしまいそうでなんだかそっけない態度になってしまった。
他にも様々な人の姿が浮かぶ。
 
結婚、だけではなく、仕事がうまくいくようになったという方もいる。
社内で、男女問わずモテるようになった方も、
別れそうになっていた彼とうまくいくようになった方も、
逆に、きれいに別れることができた方も。
 
絶対麗度ラボでは、人生が変わる。
 
「絶対麗度」という、自分自身の絶対的な美しさを決め、それに向かっていくことにより、人生が変わる。
 
人生が変わる書店である「天狼院書店」がご提供しているサービスの中でも、最大の力を発揮しているひとつのコンテンツである。
 
その中の、エッセンスとして、絶対麗度ライティングは存在する。
 
 
スカートを履いたおじさんになりたくない、と言っていた同士の彼女はというと……。
彼女も確実に変わっている。
 
外見で麗しくなっているのはもちろんだが、ここのところは、絶対麗度ラボにご参加の方々には「女神様」と言われている。
外見だけではなく、内面も素晴らしい彼女は、多くの方に慕われている。
地位のある方々にモテたり、社内の若い男性と仲良くなったり。そして、銀座で突然、花束をもらったりしているらしい。
 
私は、女神様との祝杯を、楽しみにしている。
 

***

この記事は、天狼院書店の「ライティング・ゼミ」を受講したスタッフが書いたものです。

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2025-09-29 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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