世界をまるごと味わうために ― 自然が差し出す扉の向こうへ
≪インフィニティ∞リーディング体験記:人間には12の感覚がある≫
*この記事は、「ハイパフォーマンス・ライティング」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
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記事:マダム・ジュバン(ハイパフォーマンス・ライティング)
孫との時間から始まった気づき
先日、7歳と4歳になる孫が私の家に遊びに来ました。
久しぶりににぎやかな時間になると楽しみにしていたのですが、ふたりが真っ先に手にしたのはタブレットでした。画面の中のアニメに夢中になり、時間を忘れて食い入るように見続けている姿に、私は少なからず驚きました。
もちろん、時々はお絵かきをしたり、少しだけ外遊びもしました。
それでも、彼女たちが最も多くの時間を費やしたのはタブレットの画面でした。
娘に聞くと、「見ている間は家事ができるからつい頼ってしまうの」と言います。便利さの裏で、親子にその習慣がすっかり定着してしまったのでしょう。
せっかく湘南の海のそばに来たのに、「暑いから外はいやだ」と拒む孫の言葉が耳に残ります。窓の向こうでは波がきらめき、潮風が吹き抜けているのに、タブレットから目を離そうともしない。
その様子に、私はなにか大切なものを子どもたちが見失ってしまっているのではないかと胸がざわめきました。
毎日忙しく働きながら家事をこなしている娘を責めることはできませんが「ちょっと見過ぎじゃない?」とつい言ってしまった私でした。
人間には12の感覚がある -動物たちに学ぶセンス・オブ・ワンダー
そんなとき、私は『人間には12の感覚がある 動物たちに学ぶセンス・オブ・ワンダー』という本を手に取りました。ふつう私たちは「五感」という言葉で、視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚を思い浮かべます。しかしこの本では人間には五感どころでなく、実に12もの感覚があり、それぞれが世界を豊かに味わう入口であると語られています。
例えば、渡り鳥は地球の磁場を感じ取る能力を持ち、遠くの大陸へも迷わず飛んでいきます。サメはわずかな血の匂いを海の中で察知し、イルカは仲間の体の中までエコーロケーションで感じ取ります。こうした驚くべき力は「動物だからこそ」と思いがちですが、この本では「実は人間も同じような感覚を備えている」と語られているのです。
たとえば「平衡感覚」は、私たちがまっすぐに立てることを可能にしています。
「運動感覚」は、無意識に体の動きを調整しながら歩いたり走ったりできる力です。
「生命感覚」は、体調の変化を察知して休もうとする内なる声です。
これらは派手さはないけれど、確かに人間のなかに息づく“野生の力”だと気づかされました。
インフィニティ∞リーディングでさらに読み解く
この本について私は天狼院書店のインフィニティ∞リーディングのゼミに参加しました。
これは様々なAIを駆使し集めた大量の情報を、天狼院書店の店主である三浦さんが自分の視点で分析し、語るという人気の講座です。
読むのにはなかなか手強い本もこの講座で読み解かれると、不思議なことにすんなりと入っていきます。
意識を少し解き放ち、言葉の波に身をゆだねるうちに、「ああ、そうだったのか」と体の奥にしみ込むような気づきが訪れるのです。
孫の姿と感覚の退化への恐れ
インフィニティ∞リーディングを観ながら、再び孫の姿が脳裏によみがえりました。
タブレットに集中する彼らは、視覚や聴覚は酷使しているかもしれません。しかし、汐風や海水を感じる触覚、波の音に包まれる聴覚、走るときの運動感覚、さらには「今、自分はここに生きている」という生命感覚――それらを味わう機会をどんどん失っているのではないか。
私は少し恐ろしく感じました。人間に本来備わっている12の感覚は、使わなければ退化してしまうのではないか。便利な道具が生活を助ける一方で、感覚の扉を閉ざしてしまうこともあるのではないか。
せっかく湘南の我が家に遊びに来たのなら、砂の熱さに足を跳ねさせ、波に追いかけられて歓声を上げ、しょっぱい潮の味に顔をしかめる――そういう体験をしてほしかったのです。自然のなかで感覚を総動員させることは、子どもたちにとってかけがえのない学びになるはずだからです。
「ねえ、海行ってみようか」とあの時なぜ誘わなかったのか、私も少し反省しています。
自分自身のセンス・オブ・ワンダーを振り返る
けれども、思い返してみれば、私自身もまた感覚を閉ざしてしまうことが多いと気づきました。毎日湘南の海を見ても「きれいだな」と思うだけで、実際に浜辺で水の冷たさや砂の熱さを感じることはめったにありません。
気がつけば、スマホやパソコンの画面に向き合う時間の方が、自然のなかに身を置く時間よりも圧倒的に長くなっています。自然の豊かさを頭では理解しているつもりでも、実際にはその恵みを全身で味わえていなかったのです。
この本を通して「12の感覚」の存在を知り、私はあらためて自分の暮らし方を見直す必要があると感じました。感覚は意識しなければすぐに鈍り、やがて失われてしまう。子どもたちに「自然を大事に」と伝える前に、まずは自分自身がセンス・オブ・ワンダーを取り戻すことが大切なのだと思います。
12の感覚を日常で取り戻す
本に登場する感覚の中には、忘れられがちなものがいくつもあります。
たとえば「運動感覚」。運動音痴のこの私でも、歩くとき、重心をどう移動させるかを体は無意識に調整しています。階段を上るときのふくらはぎの張り、坂道を下るときのバランスの取り方――そうした微細な働きは、体に備わった知恵そのもの。
本当にありがたいことです。
「平衡感覚」もまた同じです。自転車に乗るとき、ブランコをこぐとき、あるいはヨガで片足立ちをするとき。体は揺らぎながらも倒れず、無意識のうちに世界との均衡を保とうとしています。
さらに「生命感覚」。お腹がすいて力が出ないとき、体の奥で発せられる「休みなさい」という声。体調が少し崩れたときの違和感。これらも立派な感覚であり、無視せず耳を澄ませば、自分を守る大切なサインなのです。
日々の暮らしの中で、このような感覚に意識を向けるだけでも、世界は違って見えます。海岸を歩けば、汐風が頬を撫で、赤とんぼが私を先導するように飛び交っています。
空は高く、トンビが大きく孤を描いて飛んでいる。
すっかり秋めいた浜でなお、波と戯れる人たち。夕焼け……。
これらすべてが「今を生きている証」だとあらためて気づかされるのです。
未来へのまなざし
この本と出会い、インフィニティ∞リーディングを体験して感じたのは、人間にはまだまだ取り戻せる力があるということでした。便利な生活の中で感覚を閉ざしてしまうことはあっても、意識を向ければ再び開くことができる。
「12の感覚」という視点を持てば、日常は単なる繰り返しではなく、豊かな発見に満ちた時間へと変わります。世界は私たちを常に刺激し、呼びかけているのです。その声に気づくかどうかは、自分の感覚次第なのだと思います。
これから私は、自分の日常をもう一度ていねいに味わいながら過ごしていきたいと思います。海辺を歩き、風を浴び、食べ物を舌で確かめ、人の言葉に耳を澄ませる。
そうして一つひとつの感覚を育みながら、人生をより豊かにしていきたい。
『人間には12の感覚がある』は、その第一歩を踏み出す勇気を与えてくれた本でした。そしてインフィニティ∞リーディングは、その扉を開いてくれる力強い鍵だったのです。
この季節、朝の海辺のウォーキングほど心地いいことはありません。
今朝も歩いていると、犬がボールを追い、波に向かって楽しそうに飛び込んでいました。
全身で風や水の感触を味わう姿に、「感覚を生かすって、きっとこういうことだな」と思わずにいられませんでした。
私に残された時間がどれほどあるかはわからないけれど、あの犬のように全身で世界を楽しむ心は、まだ私の中にあります。
だからこそ、これからも自由に、自然への畏敬と感謝を胸にこの世界を感じ続けていきたい――心からそう思います。
インフィニティ∞リーディングはコチラ
インフィニティリーディングで内臓までえぐられる──『人間には12の感覚がある』体験記 | 天狼院書店
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