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明後日のインフィニティ∞リーディングを予想してみた――『宝島』が教えてくれる「立ち上がる」ことの意味


*この記事は、「ハイパフォーマンス・ライティング」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【2025年6月開講】目標達成するための文章講座「ハイパフォーマンス・ライティング」〜たとえどんなに上手くとも、効果がなければ意味がない。〜


記事:山岡達也(ハイパフォーマンス・ライティング)

 


はじめに――衝撃的な気づき


週末の土曜日、私はとあるYouTube動画を視聴していた。

【超・有料級】全人類が受けた方がいい「AIハイパーリーディング講座」

https://www.youtube.com/watch?v=oKvxUTIx8_k

この動画の主な目的は、天狼院書店が開講する、AIを駆使した究極の読書システム『AIハイパーリーディング』という講座の紹介である。しかし、動画の16分過ぎから、この講座の開発者である三浦崇典店主が語られた内容が、自分にとって衝撃的であった。


毎週水曜日に開催されている「インフィニティ∞リーディング」。これまで私は、この読書会を単に「優れた本を紹介してもらう場」「三浦店主の解説を聞く場」として捉えていた。しかし、それは大きな間違いだったのだ。


インフィニティ∞リーディングとは、究極の読書法そのものを体得する場である。


三浦店主は、毎回の読書会でただ本を紹介しているのではない。自らの実践を通じて、「一冊の本をどう読み解き、どう語り、どう自分の人生と接続させるか」という読書の本質を、私たち参加者に示し続けているのだ。


気づいたこと――私はいまだ観客のままだった


この気づきは、私に痛烈な問いを突きつけた。


インフィニティ∞リーディングを受講し続けていると、そのうち、自分も三浦店主のように、一冊の本を熱く語れるようになる。いや、語れるようにならないといけないのだ。


しかし、実際に起きていることはどうだろうか。


私はいまだに、インフィニティ∞リーディングの「オーディエンス」にとどまっている。受け身の姿勢で話を聞き、「なるほど」と頷き、感心して終わる。それでは人生は変えられない。本当の意味での読書の力を手に入れることはできない。


ではどうすればよいのか。


答えはすでに見えている。三浦店主がいつもやっているようにすればよいのだ。


実践への決意――自分が読書会マスターになってみる


そこで私は決意した。
10月22日(水)に開催予定の「インフィニティ∞リーディング/INFINITY ∞ READING」TYPE S 10月課題本『宝島』について、自分がマスターになったつもりで読書会をデザインしてみたくなった。

https://tenro-in.com/event/369509/

これは単なる予習ではない。三浦店主が毎週実践している「本を立体的に読み解き、参加者の人生と接続させる」というプロセスを、自分なりに追体験する試みである。


もしあなたが、インフィニティ∞リーディングに興味を持ちながらも、「難しそう」「自分にできるだろうか」と躊躇しているなら、この記事を読んでほしい。私の試行錯誤が、あなたの一歩を後押しするかもしれない。


『宝島』という作品について


まず、今回の課題本『宝島』について簡単に紹介しよう。


本作の舞台は、第二次世界大戦後の沖縄である。日本から切り離され、アメリカ軍の統治下に置かれた沖縄では、住民たちが極度の貧困と抑圧にさらされていた。日々の生活もままならず、自由も尊厳も奪われた社会の中で、人々は静かに耐え忍ぶことを強いられていた。


そのような時代に登場したのが、「戦果アギヤー」と呼ばれる若者たちである。彼らは、米軍基地から物資を盗み出しては、貧しい島の人々に分け与えるという行動を繰り返していた。法に背きながらも、人々の暮らしを守るために命を賭けた彼らは、占領下の沖縄における「義賊」的存在であり、抵抗の象徴でもあった。


物語は、戦果アギヤーとして活動する若者たち――オンちゃん、グスク、レイ、ヤマコ――の視点を中心に展開する。友情、恋愛、家族への思い、そして島への愛を胸に、それぞれが激動の時代を駆け抜けていく。


『宝島』は、戦後沖縄という過酷な歴史的現実を背景にしながらも、単なる政治小説や歴史小説にはとどまらない。むしろ、登場人物たちの生き様を通じて、**「人が生きるとはどういうことか」「尊厳とは何か」「希望とは何か」**といった普遍的なテーマを力強く描き出す青春群像劇である。


小説は単行本で2018年に出版され、直木賞・山田風太郎賞を受賞。2022年には文庫化(上下巻)されている。オーディオブックも利用可能だ。加えて、2025年9月には映画化もされ、現在全国で上映中である。


私の準備プロセス――理想と現実のギャップ


本来ならば、原作小説を精読しなければならない。しかし、今回はいろいろと事情があり、日曜日から準備開始となり、とても時間が足りなかった。


最初はAudibleを試した。しかし、再生時間を見て愕然とした。あまりの長さに、水曜日までに聴き終えることは不可能だと判断せざるを得なかった。


そこで方針を変更し、映画を観ることにした。映画は3時間超えの大作だが、時間を忘れて没入することができた。戦後沖縄の空気感、若者たちの熱量、時代のうねり――すべてが圧倒的な映像体験として胸に迫ってきた。


ただし、問題があった。どのシーンが自分の心に突き刺さったのか、感動の核心が何だったのかが、クリアには覚えていないのだ。映画を観終わった直後は確かに感動していた。しかし、その感動を言語化し、他者と共有できる形にまで昇華できていない。


そこで、読書の出番である。


復習を兼ねて文庫版を買い求めてみたが、比較的大きな書店でも店頭在庫を見つけることができなかった。映画公開中にもかかわらず、である。それだけ多くの人が手に取っているのだろう。


それでも下巻だけは購入でき、読破することができた。映画を先に観ていたおかげで、読書しているうちに映画のシーンが鮮明に蘇ってきた。活字を追いながら、俳優たちの表情、音楽、沖縄の風景が脳内で再生される。その後の読書は驚くほどはかどった。


残念ながら、上巻を読む時間は確保できなかった。そこで、ChatGPTの力を借りることにした。『宝島』についての詳細なリポートを作成してもらい、それを読むことで上巻の内容を補完した。


完璧な準備とは言えない。しかし、この「映画→下巻読書→AIリポート」という組み合わせが、思いがけず立体的な理解をもたらしてくれた。


自分が読書会マスターならどうデザインするか


さて、ここからが本題である。


もし私がインフィニティ∞リーディングのマスターだとしたら、『宝島』の読書会をどうデザインするか。三浦店主のスタイルを参考にしながら、以下のような構成を考えてみた。


第1層:物語の「構造」と「熱量」を体感する


読書会の冒頭では、まず戦後沖縄という舞台設定と、登場人物の行動原理に焦点を当てる。


「戦果アギヤー」という義賊的集団を、私は**”希望を運ぶ若者たち”**として提示したい。彼らの「立ち上がる行為」そのものを、現代人の生き方のメタファーとして扱うのだ。


読者が最初に感じるのは、「奪われた中でも生きる」ことの圧倒的エネルギーである。米軍統治下という抑圧的な状況、極度の貧困、自由の制限――そのすべてに抗い、それでも希望を手放さない若者たち。この物語の持つ「熱量」をまず参加者と共有したい。


次に、物語の構造を解剖する。『宝島』は古典的な英雄譚の構造を持っている。


・英雄の不在:オンちゃんが消える
・探求の旅:グスク、レイ、ヤマコがそれぞれの道でオンちゃんを追う
・帰還と再生:真の「宝」の発見


この段階では、登場人物の象徴的意味を参加者と考えたい。


・オンちゃん=希望そのもの
・グスク=現実と向き合う力
・レイ=怒りと抵抗のエネルギー
・ヤマコ=癒しと継承の力


これら四人は、実は一人の人間が持つ多面性を表しているのではないか。希望を持ちながらも現実を見据え、怒りを抱えながらも他者を癒し、過去を継承しながら未来を切り開く――そんな複雑な人間存在の全体像を、この四人が体現しているのではないか。


この問いを参加者に投げかけ、それぞれの視点を共有する時間を持ちたい。


第2層:哲学的テーマ――「尊厳」「希望」「立ち上がるとは何か」


中盤では、物語が投げかける哲学的テーマを中心にディスカッションを展開したい。


特に重視したいのは、**「人間の尊厳」と「生き抜く力」**である。


『宝島』の登場人物たちは、あらゆるものを奪われている。土地を奪われ、自由を奪われ、未来さえも不確かな状況に置かれている。しかし、彼らは決して「人間であること」を奪われなかった。


なぜか。


それは、彼らが**「立ち上がる」ことを選んだ**からである。


ここで参加者に対して、次のような問いを投げかけたい:


・「あなたにとって”立ち上がる”とは何か?」
・「希望を信じるとは、どんな行為だと思うか?」
・「奪われたとき、人は何を支えに生きるのか?」


これらは抽象的な問いに聞こえるかもしれない。しかし、インフィニティ∞リーディングの真髄は、まさにこの「抽象と具体の往復」にある。


参加者一人ひとりが自分の人生経験や困難と照らし合わせながら、これらの問いに向き合う。自分が何かを奪われたと感じた経験、それでも立ち上がろうとした瞬間、希望を見出した出来事――そうした個人的な物語を、『宝島』という大きな物語と重ね合わせていく。


このパートでは、受講者一人ひとりが**”自分の中の宝島”**を発見していくよう導きたい。つまり、読書体験を自己省察のプロセスに転化するのが狙いである。


天狼院書店の広告にあった言葉を借りれば、「あなたの中の『希望』を、もう一度呼び覚ます」瞬間を、ここで創出したいのだ。


第3層:現代への接続――「読むことは、立ち上がること」


読書会の最終段階では、作品世界を現在の日本社会、そして個人の現実と重ね合わせる作業を行いたい。


米軍支配下の沖縄という構造的抑圧と、現代の労働環境、経済格差、孤独や無力感といった社会的抑圧。この二つを対比しながら、**「いまの時代における”奪われたもの”とは何か?」**を参加者と共に考察する。


1950〜70年代の沖縄は、確かに極限的な状況だった。しかし、形は違えど、現代を生きる私たちもまた、何かを奪われていると感じることがあるのではないか。


時間を奪われている。選択肢を奪われている。夢を奪われている。自分らしさを奪われている。


『宝島』の若者たちは、圧倒的な力を持つ米軍という「敵」が明確だった。しかし現代の抑圧は、もっと見えにくく、捉えどころがない。だからこそ、私たちは「立ち上がる」ことが難しいのかもしれない。


しかし、この物語は教えてくれる。


立ち上がることは、大きな敵を倒すことではない。 立ち上がることは、自分の尊厳を守り、希望を手放さず、仲間と共に生きることだ。


読書会の結論は、おそらく次のメッセージに収束するだろう:


『宝島』を読むことは、過去を知ることではなく、自分自身がいま立ち上がるための力を思い出すことである。


最後に、天狼院書店の広告にあった印象的な言葉を引用したい。


「読むことは、立ち上がること。」


この言葉の意味を、参加者全員で噛みしめる時間を持ちたい。読書という行為そのものを、生きる力の再発見として位置づけるのだ。


読書会の全体像(まとめ)


以上をまとめると、インフィニティ∞リーディングの『宝島』読書会は、次のような三層構造で展開されると予想する。


段階     内容              目的
第1層  登場人物と物語構造の理解    ”立ち上がる物語”の型を知る
第2層  尊厳・希望・生きる力の考察   自分の人生に重ねて読む
第3層  現代社会との接続        「読む=立ち上がる」ことの実感


したがって、インフィニティ∞リーディングの『宝島』読書会は、「尊厳」「希望」を軸に、物語から”自分を立ち上がらせる力”を見出す体験型読書として展開される可能性が高い。


実際にはどうなるのか――あなたも確かめてみませんか


以上が、次回のインフィニティ∞リーディングに臨む私のスタンスである。


しかし、これはあくまで私の「予想」であり、「練習」に過ぎない。実際の読書会では、三浦店主がどのような切り口で『宝島』を解き明かし、参加者とどんな対話を生み出すのか――それを体験することが、何より重要だ。


そして、もしあなたがこの記事を読んで少しでも興味を持ったなら、ぜひ実際にインフィニティ∞リーディングに参加してみてほしい。


インフィニティ∞リーディングは、単なる読書会ではない。


それは、本を通じて自分自身と向き合い、他者と対話し、人生を変える力を手に入れるための実践の場である。


私自身、これまで「観客」として参加してきたことを反省している。しかし、今回の準備を通じて、少しだけ「能動的な読者」に近づけた気がする。完璧にはほど遠いが、それでも一歩前進できた。


あなたも、その一歩を踏み出してみませんか。


『宝島』という傑作を通じて、「立ち上がること」の意味を、一緒に考えてみませんか。


10月22日(水)の読書会で、お会いできることを楽しみにしています。

インフィニティ∞リーディング/INFINITY ∞ READING TYPE S 10月課題本『宝島』
開催日時:2025年10月22日(水)19:00〜 (動画の後日視聴も可能)
詳細・お申し込み:https://tenro-in.com/event/369509/


読むことは、立ち上がること。
あなたの中の「希望」を、もう一度呼び覚ます時間を、共に過ごしましょう。

 

 

***

この記事は、天狼院書店の目標達成するための文章講座「ハイパフォーマンス・ライティング」を受講した方が書いたものです。「ハイパフォーマンス・ライティング」では、執筆いただいた記事をフィードバックしてもらえます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店/天狼院書店の公式noteのマガジン「READING LIFE/天狼院読書クラブマガジン」にアップされます。

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2025-10-23 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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