恋する力は衰えない
＊この記事は、「絶対麗度ライティング」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
記事：紬野 しずく（絶対麗度ライティング）
「わたしにはいつも、わたしを女にしてくれる人がいる。」
数年前、デヴィ夫人のコラムで読んだ一文。
“だから彼女は美しいのだ”──そんな締めくくりの中に置かれていたはずだ。
その頃の私は「そんなものなのかな……」と半信半疑で、
いくつになっても恋ができるなんて思えなかった。
もう二度と心が動くことなく、静かに歳をとっていくのだとさえ思っていた。
でも彼と会うと、
「恋する力は、まだ私の中にあったんだ」と驚かされる。
恋をすると、心がそっと若返る。
乾いた皮膚が潤うように、
こころがじんわりとあたたかくなる。
秘めフォトでレンズの前に立つと、
普段は深くしまいこんでいた感情まで全部映し出される。
不安も、期待も、少しの色気も──
「まだこんな顔ができるんだ」と、自分でも驚くほど素直に。
そして気づく。
私はまだ、こんな表情を持っていたのだと。
恋の感覚は、それにどこか似ている。
恋をして心が緩むと、
押し入れの奥にしまっていた自分が、そっと姿を現す。
鏡の中の自分が少しだけ違って見えるのは、
肌やメイクのせいではなく、
“自分が自分を見る目”が変わるからだ。
光が強くなる。
輪郭がやわらかくなる。
説明できない“艶”が生まれる。
秘めフォトの中の私のように。
年齢なんて関係ない。
心が震えるたびに、
絶対麗度は上がっていく。
そして思う。
恋は誰かを変える魔法ではなく、
「忘れていた私」を呼び戻す合図なのだと。
恋する力は衰えない。
むしろ、歳を重ねた今のほうが──恐れず、静かに、迷いなく、まっすぐに。
私はまた、私を取り戻していく。
「わたしを女にしてくれる人」は、
誰かではなく、恋をした瞬間に目を覚ます“私自身”だった。
＊＊＊
この記事は、天狼院書店の「絶対麗度ライティング」にご参加の方が書いたものです。
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