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50代独身ハイスペ女子の「鉄壁の要塞」を崩したプリンの奇跡〜愛される戦略的「隙」の作り方〜


 

 

 

 

*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

記事:マーガレット・佐々木(ライティング・ゼミ 2026年1月コース)
※この記事はフィクションです。登場人物は(マーガレット以外)実在いたしません。

第1章:タワマンの窓に映る「正しすぎる孤独」

「ねえ、マーガレット。私、このままココで孤独死するのかな」
深夜2時。ワイングラスを片手に、よしこが絞り出すように言った。画面越しの彼女の後ろには、都心の一等地から見下ろす宝石のような夜景が広がっている。彼女がまとうシルクの部屋着も見るからに上質で、全てが隙なく完璧に整えられていた。

よしこと私は親友とも呼べる旧知の仲だ。彼女はトップランクの国立大学を卒業し、外資系コンサルで熾烈な出世競争を勝ち抜き、今や共同経営者層であるプリンシパルにまで昇りつめた。ある夜、そんな彼女が婚活コーチの私に、「正しすぎる」絶望をぶちまけた。

「私が『こいつはできる』って信頼していた男たち……同級生も、同期も、後輩も。誰一人として計算高い女性の本性を見抜けなかったわ。見え透いた媚びに鼻の下を伸ばして、結局『あざと女子』ばかりを選んで結婚していった」 ターゲットの男性の前でだけ声を裏返し、嘘泣きを武器に、酔ったふりで仕留める。それは、よしこの美意識では有り得ない仕業であった。

「この年になってもまさか、『あざと女子』でなければ婚活すら土俵に上がれないなんて。誠実を旨として誇り高く生きてきた。なのになぜ、それじゃダメなの……」

 

第2章:三度目の正直と、残酷な宣告

その日、よしこはマッチングアプリで出会った「唯一会話の通じる」男性との三度目のデートを迎えていた。日比谷で個人事務所を経営する、彼女に引けを取らないスペックの持ち主だ。
「今日あたり、告白されるかも……」 と、密かに心ときめかせてデートへ臨んだよしこ。しかし、彼の言葉は残酷だった。
「君と話すのは、楽しくて時間を忘れるよ。よかったらこれからは友達として、また食事に付き合ってくれるかな」

私は気に入られている……そう自負していただけに、女性として見られていなかった事実を突きつけられたよしこの衝撃は、私が想像するにしても余りあるものだった。

「ね、よしこ。この前、タクシーの中で彼に手を握られたって言ってたわよね? 」 女性として不合格というよしこの話と食い違うので、私は確認した。次回は告白されるかもと彼女が語っていた、その根拠だったから。「まさかアナタ、振りほどいたりしてないわよね?」

「もちろん拒んでないわ。そこは一応、私も大人だし」
「え、握り返してもいないってこと?」
「……そこまでしなきゃダメ? 私が悪いの?」 この期に及んで、勝ち負けや白黒で愛を測ろうとするよしこに、私は「友達として」告げた。「男女の仲にどっちがいいも悪いもないわ」 

彼女は未だ要塞の中に居た。守らねば食われる世界で生きてきた彼女も、愛される幸せを手にするには、要塞を出て泉のほとりまで歩いて行かねばならない。
「ただね~何でも出来て、普通の男性より稼ぎもあるアナタが、無理して婚活する必要ある?」
私が尋ねるとよしこは、意外なことを語り始めた。

 

第3章:要塞に空いた風穴

「昨秋、父の葬儀をしたでしょ。その時、弟の嫁……血の繋がらない義妹が、父のために泣いてくれたの。私や母の分まで。父の言葉や、他愛ない思い出を幾つも話しながら、ね。それが私には衝撃だった。『他人のために泣ける』ってことが理解できなくて」

「家族になるって、すごいことね。それを見て私、『家族が欲しい』と思ったの」

それは、これまで徹底した合理主義者だったよしこが、初めて「理屈を超えた優しさ」に触れた瞬間だった。聞いた私は友情を横に置き、彼女のためにコーチのマスクを被りなおすことにした。

「分かったわ。アナタがそこまで本気なら、二つの課題をあげる。死ぬ気でやってみて」

 

第4章:愛されるための「戦略的リフレーミング」

私が、彼女に授けた「極秘戦略」は以下の二つ。

その1:外見と内面に「隙」というデザインを施すこと  雑誌から抜け出たようなキャリアファッションを封印し、あえて「女子感あふれた、ちょいダサ」を演出してみる。レースでも水玉でも花柄でも構わないので、「いかにも女子」というワードローブを選ぶ。また内面では、「天然」を目標にすえ「ドジ」を披露すること。具体的な方策として、クスっと笑える言い間違いや天然ボケ案件を(誰の失敗でもいいので)ノートに書き留め、何度も読み返す。※Yahoo!知恵袋で調べるのもよい

その2:誠実さの定義を書き換えること  これまで「媚び」だと切り捨ててきた「あざと女子の振る舞い」を、男性への「敬意」と「信頼」であるとリフレーミングする。男性は、自分を男にしてくれる女性を求めているので、男性をヒーローにするために、あえて自分の弱さを見せ、男性へ全幅の『信頼』を寄せること。歯の浮くようなお世辞の必要はないが、目の前の彼を笑わせ、楽しませることに全集中し、少女のごとく天真爛漫にふるまう。

それを聞いたよしこは少し面食らったように見えたが、瞳には密かな決意が宿っていた。
「分かった!……ペットボトルの蓋が開けられないフリするくらい、カンタンよ」

 

第5章:プリンの奇跡

一ヶ月後、よしこからかかってきた電話の声は、これまで聞いたこともないほど弾んでいた。相手はバツ2で「女性なんてこりごり」が口癖の経済誌の記者だと言う。今まで、チャラ男だと切り捨てていた彼だったが、自分の「練習台」としては適任だろうと思ったのだそうだ。しかし、仕事上で彼女の有能さも十分に知る彼は、彼女のその変貌ぶりをつぶさに見て、自分から彼女を食事に誘ってきた。

「私やったわよ、マーガレット。デートの帰り際、彼が手土産にプリンをくれたの。いつもなら『そんな気を遣わなくていいのに』なんて可愛くないこと言ってた。でも思いついちゃったの。今しかない! 彼を世界一のヒーローにするぞって」

彼女は受け取ったプリンを、あろうことか自分の頭の上に載せ、少女のような笑顔で「わあ、嬉しい!」と、その場でクルクルと回って見せたという。 さらにそのプリンに頬ずりし、彼に向かって投げキスまでしてみせた。

「彼、最初は固まってたわ。でも次の瞬間、お腹を抱えて笑い出したの。『よしこさん最高! 君は面白い人だね』って。その時の彼の顔、私一生忘れない」 それは「鉄壁の女」が、プリン一つで自らの要塞を撃破した瞬間だった。 その夜、彼はよしこの手をとり、「君を一生守りたい」と告げた。女性なんてこりごりと言っていたバツ2男性が、よしこの「隙」にギャップ萌えし、一瞬でとろけてしまったのだ。

 

結び:鎧を脱ぎ捨てた後に見える景色

「頑張らなくていいよ、俺の前では」 そう言ってくれる男性は、よしこが重い鎧を脱ぎ捨てるのをずっと待っていた。 プリンを頭に載せて回ったあの夜、よしこは自分の気持ちに誠実だった。そして、これまで「ズル」だと思ってきた、自分の「隙」や「弱さ」を差し出す行為は、相手を騙すのではなく、「貴方が必要です」という究極の告白であると理解したのだった。

 

さあ次はアナタの番。 鉄壁の要塞を開ける鍵は、いつだってご自身の手の中にあるのですから。

 

 

 

 

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