継続は力なり、の意味に気付くのは数十年後
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
記事:立野亜美(ライティング・ゼミ1月コース)
「継続は力なり」
子どもの頃、通っていた塾の出席簿に書かれていた言葉。
意味は分かるけど、ちゃんと理解はしてなかった。
「ふーん」と思うくらいで、 でも当時好きだったアイドルの座右の銘が偶然にもこの言葉だったから、頭の片隅にはずっと残っていた。
大人になってからの私は、“簡単に夢が叶う方法”みたいな、すぐに効果がありそうなタイトルに興味を惹かれて、何十冊もの似たような本や手帳を買っては知識をつけてきた。
だけど人生は平行線だし、夢はぼんやり叶ったり、叶わなかったりしている。
少なくとも私が読んだ本の著者達みたいに、劇的な変化はなかった。
私はアウトプットにとても苦手意識がある。
「アウトプットが大切と聞くけれど、それってどうやるの?」
といつも疑問に思っていた。
やり方がわからないことは、とても難しい。
極端な話、本を読んだ翌日には人生が変わるくらいの行動力が身についていて、私にはそれができていない。 本に書いてあることをやってみようと思っても、三日坊主になってしまう。そしてまた、自分にはできないと諦める。
けれど、新しい視点や考え方を知ることが好きだったので、私は“読む、読む、ちょっと活かす”の繰り返しで読書習慣を続けていた。
その日は、SNSで流れてきたお菓子のレシピがおいしそうで、作ってみようという気持ちが湧いた。
ちなみにお菓子作りは得意というほどではないけれど、時々気になったものがあれば作ってみようかな、くらいの趣味。
材料を揃えて調理をしながら、一回ではレシピを覚えきれないので、また見ては作る。その繰り返しの動作の中、泡立て器を持っていた私はハッと気付いた。
「料理って、もしかしてアウトプットなのでは」
衝撃。
あんなに苦手でわからないと感じていたアウトプットが、こんな些細な日常の中にあったなんて。
思い返せばお菓子作りも最初から上手にできたわけじゃない。
子どものころ、図書館で見つけたレシピ本に書いてあったトリュフチョコに憧れた。
それまではチョコを湯煎で溶かし、アルミ型に入れ冷やし固めたものしか作ったことがなかったけれど、なぜか出来そうな自信だけはあった。
結果は惨敗。
不器用な性格も相まって、コンロや作業台、床、シンクの中がチョコまみれ。 おまけに、6個入りのトリュフチョコを8箱作りたかったのに、計量を間違え、80個のトリュフチョコが爆誕。呆れる母。
そういえば、初めてマフィンを作ったときもやらかしている。
小麦粉は作業台に飛び散り、バターは電子レンジでうまく溶かせずに爆発。 ようやく焼きあがったと思ったら型に生地を入れすぎていて、全部飛び出し悲惨な状態に。
洗い物も面倒だし材料を揃えるのもめんどう。
もうやらない、と思っても、どうしてかまた「お菓子作りたい欲求」がやってきて、作り始めてしまう。
そして不思議なことに、大きく失敗したことほど脳は覚えていて、次に作るときに回避ポイントを自然に教えてくれる。
そんな日々の中で、成長を感じられたのは短大生になったころ。
仲の良い友人たちとビュッフェへ行く機会があり、その店には自分たちでクレープが焼ける丸い鉄板があった。
自宅で作るときもあったけれど、お店にあるような本格的な機器でクレープを焼く経験はなし。
ちょっとわくわくしながら、でも、絶対に失敗するだろうな、と思いながら、友人たちと一緒に作った。
お玉に半分ほどの生地を流しいれ、専用の棒でスーッと鉄板の形に沿うように、くるりと円を描く。 予想に反して、綺麗な丸い生地が出来上がった。
「あれ、意外に簡単」
友人たちからは一目置かれ、私はそこではじめて、自分がお菓子を作ってきた経験が活きたことを実感した。
大人になってからは自炊を始め、料理を作る感覚が更に身につき、今では材料の準備も混ぜる加減も、型への分量も、ほぼスムーズにできるようになった。
まさか料理がインプットとアウトプットに繋がっていたなんて、日常のことすぎて気付きもしなかった。
その時から私は、アウトプットに苦手意識を持たなくなった。
自信がなくても、ひとまずやってみたら、次への行動が開かれる。
私の学びの継続は、お菓子作りにとてもよく似ている。
面倒だしやる時間もない、できないから諦めようと何度思っても、「学びたい欲求」が湧いてきて結局コツコツと取り組んでいる。
大人になってからの勉強は、子どものころと違って親にも先生にも強制されることはない。自分の興味がある分野を学べるのが良いところだけれど、その分、自分自身で時間や環境を用意してあげる必要がある。そして、根気強く継続するための力も。
やり方がわからないことは、とても難しい。
だけど、できるようになってくると、とても楽しい。
あのとき「ふーん」と思った言葉は、今では私の座右の銘となり、頭の中に堂々と君臨している。
≪終わり≫
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