第13回 《週間READING LIFE「けっこん、します」》
記事:藤原 宏輝(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)
前回は第3章‘向き合うこと・関係の育てかた’として、皆さんの身近なパソコンを例に出してお伝えしました 。
今回は‘向き合うこと・関係のその先へ’についてです。
個人の見解で異なる事もあるかと思いますし、個人差もございます。これらをよくご理解頂いた上で、読み進めて頂きたいと思います。
結婚というテーマだけでなく、人間関係においても日々のメンテナンスを重ね、関係性を丁寧に育て上げる、その先の「真の信頼」の景色について触れていきます。
「私たちさぁ、あのままだったら、きっと別れてたね」
ある日、彼女はそう言った。
察して欲しい彼女と、確認したい彼の結婚論。
恋をしていた、あの頃。
「何が? どっちが?」
「別にいい」
「もういい」
という言葉を最後によく、会話もLINEも止まった。
お互いに主語がなく、コミュ力が低い。
感情だけがぶつかる。そんな、恋だった。
彼女は彼に気づいてほしいし、言葉にしてほしいタイプ。
構われたいけど、縛られたくないという、
‘繊細ゆらぎメンタル’の持ち主。それなのに
「別にいいし」
と返信。もちろん「別にいい」わけでは、全然ない。
むしろ「もっと聞いてよ、察してよ、気にかけてよ」
というヘビー級のサインだ。
彼は彼で、その空気圧だけの返信読みながら、
「気にしてほしいなら、そう言ってよ」
心の中で、つぶやいていた。
しかし、彼もまた
‘言葉にするのは、ちょっと負けっぽい’
と、どこかで思っていて、彼女の気持ちに全力ダイブできない。
だからこうして、返信もすぐに出来ず、いつも曖昧の応酬が続く。
「別にいいし」
‘いい’わけない、本当は全然良くない!
「歩み寄りたいけど、どう歩み寄ればいいのか?
彼女に踏まれずに済むか?」
それが彼には、分からない。
恋って時々、主語のない戦場みたい。
相手を想っているはずなのに、言葉が足りないだけで距離が生まれる。
この関係が、終わるか? 続くか?
こういう“はっきりしない関係性”を二人ともが変えたいと思っている。
なのに、変えるための最初の一手が怖くて打てない。
恋愛版PDCA(計画・実行・評価・改善)が、停止状態……。
ほんの少しだけ勇気を出して、
「私は、こう感じた」
「俺は、こう思った」
このひと言できっと、変われる。
未来がまったく、別物になる。
彼女は「早く、結婚したい」と思っているが、自分からは決して口にはしない。
彼からのプロポーズは、ない。
彼は、結婚し二人で生活していく自信がない。
でも、彼女の事が大好きだし、ずっと一緒にいたい。
もちろんお互いに、別れるつもりは全くなかった。
そして、半年後。
結婚式を迎えることができて、幸せの絶頂にいるお二人。
正しいとか、間違っているとか、
良いとか、悪いとか、
そんな二元論では語れないお二人。
ただ、一緒にいると落ち着く。
不器用なままでも、そのまま続く関係。
お二人の間に“言語化”というツールが、最初から存在していたら、
もっと早い段階で、恋から愛に変わり深くなったはず。
でもこれが“令和の愛のかたち”なのかもしれない。
言葉が、足りない。
勇気も、足りない。
でも、離れるという選択もない。
世の中には、こういう恋が確かに存在する。
誰もが完璧じゃないからこそ、その不完全さもまた、愛の一部として残っていく。
「言うのが遅くなって、ごめん」
その“ごめん”という言葉の破壊力に、ご新婦様は手で口を押さえた。
ご新郎様が、ちゃんと自分の言葉で謝っている。
それは、お二人の歴史の中では、前代未聞の大事件だ。
「俺の言葉で、ちゃんと言いたい」
結婚式が始まる直前。
バージンロードをお父様と歩んできて、お二人で「これから、結婚式」
という時に、
ご新郎様が突然、ひざまずき小箱を開いた。
リングが、光を受けて輝く。
「結婚してください。
俺はこれからもキミのこと、大事にしたい。
言葉でちゃんと愛を伝えられる、そんな夫になりたい」
会場がどっ! と、沸いた。
突然のプロポーズに、拍手と笑いの渦。
「はい」
目に涙をいっぱい溜めて、彼女は嬉しそうに答えた。
お2人が抱き合った瞬間。
何年も曖昧に漂ってきた感情が、やっとひとつの場所に着地した。
「これより、ご参加の皆さまに証人になっていただき、人前結婚式を執り行いたいと思います」
やっと今、言葉が追いついてきたお2人にとっての
‘未来へのスタート’だった。
お二人の結婚生活が始まり、それから半年ほど過ぎた休日。
食器洗いをめぐって、火花が散りかけた。
妻の「察してほしい」精神が、たまに顔を出し、
夫は「言ってくれないと分からない」モードが発動する。
しかし、夫がふと立ち止まった。
「これは‘どっちが、良いとか悪い’じゃなくて、‘どっちが、言語化したか’なんじゃない?」
その言葉に
「食器洗いの話をしていたはずなのに、未来に向けた話になってる」
と妻は笑った。
こうしてご夫婦の関係は‘言語化’というツールで、未来に向けてさらに加速し始めた。
「私たちさ、あのまま言語化しなかったら、たぶん別れてたね」
「そうだな。言葉がないってさ、いつか限界が来るなあ! って身にしみた」
あの頃、
「何が? どっちが?」
「別にいい」
「もういい」
感情だけがガチンコにぶつかり‘今の幸せ’を求めるだけで、いっぱいいっぱいだった。
それが恋愛。
二次元と三次元を、あちこちバタバタと行ったり来たりする。
恋は感情で始まり、今を全力で生きてること。
お2人が‘相手に向き合う’と決めた。
その後に、ふと気づく。
「あッ、この人と一緒にいるのは‘好きだから’だけじゃない。
この人と未来を創りたいからなんだ」
向き合い続けたお二人は、やがて‘信頼’という真の景色に辿り着く。
「好き」よりも深い。
「信じてるよ」という言葉が似合う場所。
幸せは求めるものでも、探すものでもなく、二人で未来に向けて創り出していくもの。
それこそが、関係のその先にあるもの‘愛’なのだと思う。
~二次元・三次元・四次元について~
・二次元とは
恋愛の始まりは二次元。
そこにあるのは、
・好き
・嫌い
・会いたい
・会えない
・嬉しい
・寂しい
という感情の世界です。
あなたと私。
お二人の間に流れる感情が中心になります。
だから恋愛では、
「私を好きでいてくれる?」
「もっと会いたい」
「もっと分かってほしい」
という“今の幸せ”が重要になります。
恋愛は感情を共有するもの、二次元の世界です。
・三次元とは
しかし、人生は感情だけでは進みません。
結婚を考え始めると、
仕事
お金
家族
価値観
健康
子育て
などの現実が加わります。
二人の関係は平面から立体へ変化します。
好きだけでは乗り越えられない課題が現れます。
ここで初めて、
「相手は自分とは違う人間だ」
という事実に向き合うことになります。
恋愛の三次元とは、現実と向き合う世界です。
曖昧さの中でも言葉を選び、言葉を怖がらず、言葉で関係をメンテナンスする。
すると、三次元から ‘未来の幸せ’を育む(育てる)四次元空間へと移動していきます。
・四次元とは
ここで言う愛とは、二次元の感情と、三次元の現実を乗り越えた先に生まれるものです。
四次元に加わるのは、時間という概念です。
昨日の私たち、今日の私たち。
そして、まだ見ぬ未来の私たち。
愛は、今の幸せだけを求めるものではありません。
未来の幸せを育てていくものです。
四次元の愛にあるもの
・信頼
・尊重
・対話
・許し
・共同創造
四次元の愛は、未来を創る関係です。
これらは結婚ばかりに限ったことではなく、人間関係においても大切なこと。
同じ未来を創りたい人と、ともに歩き始めること。
‘向き合うこと・関係のその先へ’ぜひ一歩! 踏み出してみてください。
いかがでしたか?
今回は、現在から未来へ。二次元、三次元から四次元へ。
というお話を展開しました。
第14回は、第四章‘現実的な生活設計’
について、お伝えしていきたいと思います。
《終わり》
❒ライタープロフィール
藤原宏輝(ふじわら こうき)『READING LIFE 編集部 ライターズ俱楽部』
愛知県名古屋市在住、岐阜県出身。ブライダル・プロデュース業に25年以上携わり、2200組以上の花婿花嫁さんの人生のスタートに関わりました。思い立ったら世界中どこまでも行き、知らない事はどんどん知ってみたい。好奇心旺盛で、即行動をする。
何があっても、今を全力で生きる。切り替えが早く、とにかく前向き。
これまでのブライダル業務の経験を活かして、次の世代に、未来に何を繋げていけるのか?
といつも模索しています。2024年より天狼院で学び、日々の出来事から書く事に真摯に向き合い、楽しみながら精進しております。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
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