耳から始まる特別なご縁《絶対麗度ライティング》
*この記事は、「絶対麗度ライティング」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
記事:伊藤美那(絶対麗度ライティング)
ここまでの人生を振り返ると、良い出会いに恵まれているなぁと心から思う。
例えば、嘘のような本当の話だが、【世界的ガラス作家】とは公私にわたって非常に親しくさせてもらっている。お食事をご一緒したりBBQに行ったり、日本での個展の際にはお手伝いを頼まれることもある。
先日親しくなったある女性はフランスに長年住んだデザイナーで、その作品は洋服から家具まで多岐に渡る。
彼女がデザインした家具は美しく機能的で、世界の一流ホテルにも収められている。
その他にも、有名オペラ歌手のご自宅に誘われたことも、とんでもないセレブリティのホームパーティーに呼んでいただいたこともある。
そういった場で、また新しい方と出会い、不思議なご縁がどんどん繋がっていく喜び。
けれど。
美しい作品を見たり、華やかな集まりに参加した帰り道。
心が、スン、と冷える時がある。
今年の春先も、そういうことがあった。
素敵なマダムに呼んでいただいた【ちょっとした食事会】には、プロの演奏家や科学者など、錚々たるメンバーが集まっていた。
会話を楽しみ次の約束が決まる中で、おそらく唯一の庶民である自分に気づく。
すごい人と知り合ったって、別に私の価値が上がるわけじゃない。
私自身はフツーの会社員で何も生み出せないし。
今日の集まりも、地下鉄乗って駅から坂道テクテク歩いて来たのなんて私だけだろうし。
素敵な方々に囲まれるほど【何物でもない自分】との落差を感じてしまう。
落ち込んで卑屈になり、自分のつま先を見詰めたまま地下鉄の階段を降りていく。
程よく空いている地下鉄に乗り込み、ドア横の空間にちんまりと立つ。
窓の中の少しぼやけた自分の顔を眺めていると、思考はどんどんマイナスに向かっていく。
こんな何の取り柄もない人間が、あんな集まりに顔を出すなんて場違いでしかないよね。
皆様とても優しいから気を遣ってあれこれ話しかけてくださってるんだよな。
次からは誘われてもノコノコ出て行かない方が自分の為かな。
悪い想像はいくらでも出てくる。
気持ちを切り替えたくても、一度はまった負のスパイラルからはなかなか抜け出せない。
乗り換えのホームでスマホを見ると、お誘いいただいたマダムからのメッセージが入っていた。要約すると、こんな感じ。
「いつもありがとう! あなたが来てくれると場が本当に明るくなるの。
どんな話でも熱心に聞いてくれて、質問して楽しく笑ってくれるのが嬉しいです。
偏屈で変わり者が多い会だからいつも明るく積極的に聞いてくれて、
楽しい空気を作ってくれて本当に助かってます」
確かに、知らない分野の話を聞くのは苦にならないどころか大好きだ。
今日も個性豊かなメンバーの中で突然誰かの大演説が始まっても、頷きながら楽しんでいた。
時には私の質問がきっかけで、更に演説に熱が入ってしまうこともあり、新しい情報をたくさん得られて私にとっても充実した時間を過ごすことができた。
こんなんで・・・良いのかな?
知らない話を楽しんで聞く。面白かったらリアクションを取る。
自分では意識せずにやっていた行動を急に褒められて、少し戸惑いを覚えながら振り返る。
そういえば、何百人規模の講演会で、最前列に座っていたわけでもないのに、終わってからの懇親会で講師の方からお声かけいただいたこともある。
「熱心に聞いてくれてましたね、話しやすかったです」と。
そこからの繋がりで、今日のマダムとも知り合ったんだった。
もちろん、ただ聞き流して表面的なリアクションをしていたら、誰も私に目を向けることはないだろう。
自ら積極的に、能動的に、楽しむつもりで耳を傾ける。
そうすると、話している相手との不思議な回路ができて、更に面白い話が引き出せる。
これは、1対1でも大人数の講演でも同じこと。
もしかしたら、私にできることはそれなのかもしれない。
その少し後、4月の絶対麗度ラボ総会で【アクティブリスニング】についての講義を受けた。
聞き手が深く反応をしていると、話し手との間で共鳴が起きて、強いつながりが生まれる。
あ、これだったんだ。
今まで、なぜこんなに素敵な方々が私の周囲にいてくれるのか、全くわからずにいた。
何もできない自分に対して向けられる好意に申し訳なさすら感じることがあった。
でも違ったんだ。私は自ら関りを作って、それを受け止めてもらっていたんだ。
自分らしくのびのびと楽しむこと。
ただそれだけで、私からも相手に渡せるものがあったのかもしれない。
そう気づいたら、少し気持ちが楽になった。
耳を傾けることから生まれる信頼感で、私なりの関係構築ができていたのだろう。
自分に対する謎が一つとけて、今までより自信を持って楽しむことができそうだ。
これからどんな素晴らしい出会いが待っているのか。
面白い話が聞こえてきそうな方向に、耳を澄まして進んでいく。
***
この記事は、天狼院書店の「絶対麗度ライティング」にご参加の方が書いたものです。
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