60代の母に「ピラティス」を勧めた
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
記事:米田 笑(2026年8月開講・夏休み「超」集中講座)
「ティラミスのこと?」
その語感からケーキみたいな名前にも間違えられる「ピラティス」。あなたはご存知でしょうか?
走るのは息切れして疲れるし、ジムでの筋トレは月1回すら続かなくなった、運動嫌いの私にもできそう。それが初めて体験したときの感想です。通っていたヨガスタジオの系列店で無料体験したピラティス。その後に筋肉痛にはなったものの、やっている時はそれほど難しくないかも? という印象でした。
私の通うピラティススタジオには、人気の女性講師がいます。
レギュラーレッスンが平日朝イチの時間帯にもかかわらず、満員になることもしばしば。そこまで身長が高いわけではないのに、スラッとした背筋で立ち姿勢が抜群にお美しい。たまたまその先生が私服姿の時に、ばったり街でお会いしたことがあるのですが、お洒落なトップスに長いスカートを履いていたのも相まって、20代にしか見えない後ろ姿でした。
なんとそのインストラクター、62歳なんです。
腰や膝をかばいながらゆっくり歩くうちの母と同世代だなんて、考えられない……。
ピラティスに対して、20-30代女性の趣味というイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。だけど意外と年配の女性や男性も多い。そのスタジオは常連さんが多いようで、私一人だけがヒーヒー言っていることもあります。
それにピラティスって実は、ジョセフ・ピラティスさんというドイツ人男性によって考案されたエクササイズなんです。ピラティスさんが実際にエクササイズを行う様子を映像で見たことがあるのですが、めっちゃムキムキなおじさんでした。(笑)
とは言え、トレーニングジムで行われる筋トレとは全くの別物。その目的はあくまで、「身体を正しく動かし、健康な状態をつくるための運動法」なのです。
“身体を正しく動かす”これがとっても重要。
人間誰しも、日々の生活の中で身体の動きに“クセ”が出てきます。肩に荷物をかけるときや立っているとき、無意識にいつも同じ側を使ってしまう。これも立派な身体の“クセ”です。
身体の使い方にアンバランスがあるのは自然なこと。だけどその偏りが積み重なると、特定の筋肉や関節に負担がかかりやすくなり、肩こりや腰の違和感、さらには怪我につながることもあります。そこで役立つのが「ピラティス」というわけです。
自分では気づきにくい身体のクセを見つけて、偏っていた使い方を少しずつ整えていく。言わば「身体の整理整頓」。部屋の掃除同様で、放置すればするほど散らかっていくし、元に戻すのも億劫になる。だからコツコツと継続して整えることが理想的と言えます。
そんな話を実家の母にしてみました。
「膝を痛めている私には難しいでしょ」
と、初っ端から拒絶反応。そう来ると思っておりました。ここですかさず、
「実は、寝たまま・座ったままでもできるピラティスがあるんだよ」
ピラティスの原型と言われるエクササイズをそのまま行うのは、シニア層や運動に苦手意識のある方にとってはハードルが高くなるもの。その内容をシニア層向けに工夫し、高齢者施設などで取り入れられているケースもあります。
私が教えてもらったものでは、手先足先を動かすだけでも、動かしやすさが変わったり、身体がぽかぽかしてきたりしました。
なんでこんなこと知っているかって? ピラティスインストラクターのお友達に、実践しながら教えてもらいました。持つべきものは友人ですね。せっかくなので簡単なエクササイズを教えてもらい、母親にも伝えてみたところ……
「これがピラティスなの?」
と、拍子抜けした本音と表情が漏れる。私はニヤッと、心の中でガッツポーズをしました。
そうなんです。思っているより単純な動きが多いです。シニア向けに工夫されたものは特に、ガッツリ運動するというより、テレビを見ながらできるような動きもあります。また次に帰省するときまでに、あと2~3個エクササイズを教えてもらおうと思いました。少しずつでも、身体を動かすきっかけになってくれたらいいな。
ただし、動きがシンプルだからといって、ピラティス=簡単というわけではありません。
私が受けてきたレッスンのほとんどは、始まる前後に身体の状態を確認します。もしどこか痛めていれば、その部位に配慮してくれるし、参加者の状態に合わせた誘導や一人ひとりの身体をサポートしてくれることも。
そして60分のレッスン後、開始前に行った単純な動作をもう一度。すると、開始時よりも動かしやすく、足全体で地面を押している感覚になっていることがわかるんです。個人的には、動画を見ながら自己流で行うより、インストラクターに身体の動きを見てもらいながら行う方が、変化を実感しやすくて満足感もありました。
母がピラティスを好きになるかは、まだわかりません。でも『膝が痛いから運動は無理』と思っていた母が、“これならできるかも”と思えただけでも、勧めてよかったと思っています。次に帰省するときまでに、もう少し勉強してみようかな。
≪終わり≫
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