月曜日の憂鬱をキャンセルし、仕事の質を上げる、たったひとつの方法《週刊READING LIFE vol.377「フリー」》
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
記事:五流内科医K(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)
突然ですが、質問です。
月曜日をいつも、どんな気持ちで迎えていますか?
おそらく、この記事の読者さんのほとんどが、日曜日の夕方から「また明日から仕事だ……」と憂鬱な気持ちになったりしている方が多いのではないでしょうか。
もしかしたら、せめてもの悪あがきとして
「寝るまでは今日だから!」
とばかりに、日曜の夜からゲームを始めたり、漫画を読んだり、飲みに行ったりして、現実逃避される方もいるかもしれません。
この「日曜夜の憂鬱感」について、実は名前がついていることをご存知でしょうか。
もしかしたらすでにご存知の方もおられるかもしれませんが、いわゆる
「サザエさん症候群」というものです。
日曜の夕方に「サザエさん」が放送されるあたりから、「ああ、日曜日が終わる」と思って憂鬱になることから、日本ではこの名前で親しまれているのかもしれません。
また、海外では「ブルーマンデー症候群」と呼ばれており、どうやら「月曜日」が憂鬱なのは、日本人だけではないようです。
私も、例に漏れず元々月曜日は大嫌いでした。
日曜日の夜は「ここで寝てしまったら日曜日が終わってしまう」と思い、深夜力尽きるまでゲームや趣味に興じて現実逃避したり、力尽きた後も、毎度「朝起きたら職場に隕石が落ちて爆発していますように」と願いながら布団につくのがルーティンになっていました(良い子、ならびに良識ある社会人の皆さんは真似しないでください)。
現在私はフリーランスで仕事をしていますが、それでもよほどのことがない限りは土日には基本的に仕事をしていないので、月曜日というものの憂鬱さは嫌というほど感じていました。
ただ、最近、あることがきっかけで、私はこの「月曜日の憂鬱」を完全にキャンセルできるようになってしまいました。
これをすることで、月曜日が来るのが楽しみになりました。
日曜の夜の現実逃避がなくなりました。
職場の崩壊を願わなくなりました。
余裕を持って仕事に入ることができるようになりました。
仕事に力が入るようになりました。
もしかしたら、これから紹介する方法は、疲れた社会人、いや、一週間のルーチンに縛られている人全員にお勧めできるものかもしれません。
ただ、この方法は、人を選ぶものです。
できる人間と、できない人間があります。
職場の環境や、周囲の方々のご理解も必要なものです。
やり方次第では、職場の方々の反感を買う可能性もあります。
しかし、これをすることで、日々の仕事の質や、場合によってはQOL(生活の質)が向上します。過労を防ぎうる切り札になる可能性もあります。個人的には、これは全人類におすすめできる、ある意味ではノーベル平和賞ものの発見とすら感じています。
そろそろ、「もったいぶらずにその習慣を教えろ」と思われる方も増えてきたのではないかと存じます。
ではお教えいたしましょう。
月曜日の憂鬱をキャンセルし、仕事の生産性を上げるたったひとつの方法、それは––
『月曜午前を半休にすること』
です。
そもそも、私が月曜の午前を休みにしたのは、本当に偶然の産物でした。
元々、私はダイエット目的に、某パーソナルジムに通っていました。
ダイエット成功後も運動習慣をつけたり、筋トレをするのが楽しかったので、仕事終わりに週2回で続けていたのですが、急遽私が通っていた店舗が閉店することになり、別のジムに移行を余儀なくされました。
その際に先方のトレーナーさんから
「セッションのひと枠は土曜日に取れたが、もうひと枠が、どうしても『月曜の午前中』しか開いていない」
と言われました。
しかも、提示されたのが、午前6時から10時の間のみ。
無理に早起きして6〜7時でアーリーワークにするのもいいのかもしれませんが、ただ、朝がすごく弱い人間なので、とてもじゃないが朝に続けるのは無理がある。
ちょうど、私はその時期フリーランスの内科医になっていたので、スケジュールの調整もある程度できると考え、
「それならいっそ、月曜の午前はジムの時間に充てて、思い切って月曜午前は休みにしてみよう」
と決断しました。
ところが、この「たまたま生まれた月曜午前休」が、私の生活と人生に驚くほどの好影響をもたらしたのです。
まず一番大きかったのは、日曜日の夜に「あぁ、明日から仕事か……」と仕事のことを一切考えなくなりました。
私には心配性な一面があり、仕事の前日には
「明日の仕事どう動こうかな」
「あの患者さん大丈夫かな」
なんてぐるぐる考えてしまい、結果的に無駄に消耗してしまうタチでしたが、月曜の午前中を休みにすることで、
「まあ、明日午前中にジムが終わった後ゆっくり考えればいいや」
と、穏やかな気持ちで日曜日の夜を過ごせるようになりました。
また、生活リズムのバッファとしても午前休は有用でした。
元々、土日休みの開放感にほだされ、ついつい夜更かしをしてしまう人間でした。その結果、週末で狂った生活リズムを持ち込んだまま月曜朝に突入し、眠い目をこすりながらダラダラと仕事をしてしまうことが多かったです。
しかし、週末につい夜更かしして乱れがちな生活リズムも、月曜の午前中をゆったり過ごし、ジムで汗を流してから仕事に入ることで無理なくリセットされました。その結果、午後から仕事に入ると、驚くほど頭がクリアになっていて、スムーズに仕事へ入っていけるようになりました。
「でも、今のところ、それってあなたの感想ですよね? 具体的な根拠を提示してもらえますか?」
もしかしたら、そう思われる方もいるかもしれません。
医師の端くれとして医学的な文献を調べてみたところ……「月曜の午前を休むこと」の効能を直接的に示すエビデンスは存在しなかったものの、身体的・精神的・社会的に理にかなっていることを示唆するエビデンスは多数ありました。
まず、月曜日は1週間のうちで最も心身に負荷がかかる曜日ということが、複数の報告から示唆されています。
京都の脳卒中データを解析した研究(1)や、米国心臓病学会誌の報告(2)によると、急性心筋梗塞や脳卒中の発症は「月曜日」に最も集中していました。さらに、自殺のリスクが最も高くなるのも「月曜日」でした(3)。
これらの論文の中では、どうしてこれらの重篤な病気を引き起こすかについてメカニズムまでは解明されていませんが、少なからず「休日から平日に切り替わる月曜日のストレス」は心身ともに負荷をかけ、これらの恐ろしい疾患の引き金になっている可能性も考えられます。
だとすると、月曜の午前休は、この危険な「週始まりのストレス」を物理的に回避、軽減する手段の一つになりうるかもしれません。
また、週末に夜更かしや寝だめをすると、体内時計がズレる「ソーシャルジェットラグ(社会的時差ぼけ)」が起こります。このズレが大きい人ほど、労働生産性に悪影響を及ぼすことが分かっています(4)。
月曜の朝に無理やり早起きして時計を戻すのではなく、午前休という余白を使って緩やかに調整することは、生活リズムを戻し、仕事の質の低下を防ぐ一つの方法になるかもしれません。
さらに、大規模な研究では、週40時間以上の労働はメンタルヘルスに悪影響を及ぼし(5)、週48時間以上働くと脳卒中などのリスクが跳ね上がるという報告もあります。(6)。
週5日の職場として、仮に火曜日以降をフルタイムで働いたとしても、「月曜の午前」を休むことで確実に週の総労働時間は減ります。仕事のやりがいから無自覚に働きすぎてしまう人にとって、この「強制的な半休」は、過労から自分を守る安全装置として機能するのです。
もちろん、職種や環境によっては「月曜の朝に休むなんて絶対に無理」という方も多いと思います。職場の理解も必要なので、これを実践できる方には限りがあるかもしれません。
しかし、もしあなたが有給休暇を自由に使いやすい環境にいたり、フレックスタイム制で始業時間をコントロールできる立場にいるのなら、騙されたと思って、一度月曜の午前を休みにしてください。
あれほど嫌だった月曜日の朝が、最高に優雅な時間になるはずですし、あなたも少しだけ月曜日が嫌いじゃなくなるかもしれません。
参考文献
- Shigematsu K et al; Weekly variations of stroke occurrence: an observational cohort study based on the Kyoto Stroke Registry, Japan (BMJ Open,5(3),e006294)
- J Wallert et al; Temporal changes in myocardial infarction incidence rates are associated with periods of perceived psychosocial stress: A SWEDEHEART national registry study(American Heart Journal,191,12-20)
- W Lee et al; Association of holidays and the day of the week with suicide risk: multicountry, two stage, time series study(BMJ,387,e077262)
- J Seol et al; Association of sleep patterns assessed by a smartphone application with work productivity loss among Japanese employees(NPJ Digital Medicine.2025 Dec 11;8(1);751)
- Kuroda, S et al; Why Do People Overwork at the Risk of Impairing Mental Health? (Journal of Happiness Studies, 2019,20(5), 1519-1538.)
- M Kivimaki et al; Long working hours and risk of coronary heart disease and stroke: a systematic review and meta-analysis of published and unpublished data for 603,838 individuals (The Lancet,386(10005),1739-1746)
お問い合わせ
■メールでのお問い合わせ:お問い合せフォーム
■各店舗へのお問い合わせ
*天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。
■天狼院カフェSHIBUYA
〒150-0001 東京都渋谷区神宮前6丁目20番10号
MIYASHITA PARK South 3階 30000
TEL:03-6450-6261/FAX:03-6450-6262
営業時間:11:00〜21:00
■天狼院書店「京都天狼院」
〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5
TEL:075-708-3930/FAX:075-708-3931
営業時間:10:00〜22:00
■天狼院書店「名古屋天狼院」
〒460-0002 愛知県名古屋市中区丸の内3-5-14先
Hisaya-odori Park ZONE1
TEL:052-211-9791
営業時間:10:00〜20:00
■天狼院書店「福岡天狼院」
〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階
TEL:092-518-7435/FAX:092-518-4149
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00







